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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第613話 ブリッジISC技術とゲノム編集研究

 病院でアビゲイル達が情報を探ってみると、ある程度それに関連しそうな情報はあるようだ。俺達には分からないが、アビゲイルと医者たちが話をしている。


「テロメラーゼ遺伝子を、ウイルスに組み込んで……」


「ええ。研究は聞いてます」


「はあ……」


「どうされました? 博士」


「私は合成の遺伝子と、遺伝子治療の過程で……ゾンビ因子を発見してしまったのです。ゲノム編集で……免疫暴走を起こし、そこから偶然にもゾンビ因子が生まれてしまいました」


 すると、研究者の一人が言う。


「ブリッジ・インフォ・セル・コード……BISC技術……」


「そうです。ブリッジISC、通称ビスクです」


 それを聞いた、禿げ上がった初老の医師が言う。


「もちろん、ここでもBISC技術は研究されておりました。未完成のようですが」


「世界中で研究された技術ですから。ですが、私はそこにエラーを発見してしまったのです」


「エラー……ですかな?」


「はい。その上に……ゾンビ因子を発見してしまったのですよ。そこで、すぐにファーマー社に通告し、研究実験を即時中止にするように働きかけました」


「だが……ダメだった?」


「ええ。それからは、追われる身となりましたが、すぐに彼らに助けられました」


 医師と研究者が俺達を見渡す。


「日本人に……」


「はい」


 医師が言う。


「なんと、数奇な運命でしょう。まるで、アインシュタインが広島の人に助けられたようなものです」


「そのとおりです」


「しかし、遺伝子のゲノム編集……倫理的な問題が解決できぬまま、結局、こんな事になってしまった」


「はい」


 皆が静まり返った。しばらく、考え込んで初老の医師が言う。


「何とも皮肉なものですな。がん治療や、延命の研究の果てが……ゾンビとは」


 それには、エイブラハムが答える。


「神は、そんなことは許さんのじゃ。人は自然に生きるべきだと言っとるんじゃろ」


「ええ……ですが、私も医者です。人を助け、延命させる事が出来たら……という夢は見ました」


「その……夢の結果が、ゾンビじゃった」


 アビゲイルの顔が曇った。母親の命を助けるために研究したあげく、ゾンビ因子を見つけてしまった。人を救うつもりの技術が、このような状況を生み出してしまったのを、ずっと後悔しているのだ。


「ブリッジISC技術の慣れの果て……ですか」


 だがそこで、オオモリが言う。


「でも、世界中で研究されていた技術ですよ。いずれどこかで、見つけられた可能性があります。アインシュタインが見つけなくても、いずれ誰かが見つけてましたよ。きっと、そう言うものです」


 タケルが頷く。


「まったくだ。たまたま見つけた奴の責任だなんて、そんな馬鹿な話はないな。むしろ、それを悪用しようとした奴らが、百悪いよ。百」


「その通りです。武さんも、たまには良いこと言いますね」


「ひとこと余計だっつーの」


 その会話で、少しだけ場が緩んだ。そして医者が聞く。


「それで、ここにある情報はどうでしたか?」


「最先端のBISCの研究をしていたことは分かりましたが、直接ゾンビ因子や、ゲノム編集につながる物はありませんでした。当然ではありますが」


「でしょうね……」


「ただ……」


「はい」


「この病院のどこかに、BISC製剤が保管されています。先ほどまでの電力低下は、恐らくそこに集中していたからです」


 すると白衣を着た女が言う。


「それでしたら、冷凍保管庫です」


「そこに、案内してくださいますか?」


「はい」


 俺とアビゲイルと白衣の女が、その冷凍保管庫やらに行く事にする。


「一度外に出ます。ゾンビがいたらどうしましょう?」


「気にせず進んでくれ」


「はい」


 入ってきた場所から抜け出て、俺達は離れた棟へと歩いて行く。すると来た時には居なかったゾンビが、三体ほどウロウロしていた。


「あれは……生存者?」


「いや、ゾンビだ」


「ひっ!」


「刺突閃」


 剣技で倒れたゾンビを見て、白衣の女が驚いている。


「ど、どうして。銃も使わずに?」


 アビゲイルが言う。


「彼の力です。そんなことより、急ぎましょう」


 入り口から入ると、そこにもゾンビがうろついていた。俺がそれらを片付けて進み、その地下に目的の冷凍保管庫とやらを見つける。


「冷凍室は動いているみたいですね」


「優先的に、ここは守られていました」


「では、幾つか運び出します。入りましょう」


「はい」


 俺がカギを壊し、重厚な鉄のドアを開ける。奥に進むと、自動ドアがありその先に入った。


「立派な冷凍庫ね」


 そこに、大きな保管用の冷凍庫が数台置いてある。


「理想的な保存状態だわ」


「輸送用のケースもありました!」


「ありがとう。じゃあ、入るわ」


 ガチャと、レバーを引いて最後の鉄の扉を開き中に入る。アビゲイルが壁に掛けてあった手袋をかけ、重厚な冷凍庫のレバーを引いて開く。


「ケースに入るだけ持って行きます」


「はい」


 そして二人は、試験管のような細さのガラス管を取って、輸送用ケースに入れる。


「行きましょう」


「はい」


 俺達が、再び皆が待つ部屋に戻ると、すぐにアビゲイルが医師や研究員に言う。


「ありました」

 

 そこで、禿げ上がった医師が聞いて来る。


「いや、BISC製剤は、まだ不完全ですよ? それをどうするつもりです?」


 アビゲイルが落ち着いて答える。


「完成させます」


「えっ。いや、完成は数十年かかると言われています。そんな簡単に」


「私はその完成間際で、ゾンビ因子を見つけました。そこで研究をやめてしまったのです。もう少しで、辿りつけそうだったのです」


「……わかりました。なら、私達も手伝いましょう」


「では、研究施設へ」


 また全員で移動する。研究施設にもゾンビはいたが、難なく俺達が処理した。


「しかし、数十年も未来の技術と言われている物です。本当に完成するのですか?」


「させます。それしか、彼らを延命させる方法はない」


 すぐ研究員に指示を出し、アビゲイル達が作業をし始めた。そこで俺達は、次の行動について話し合う事にする。


 クキが言う。


「さて、ビスクとやらが完成するかどうかは分からん。いずれにせよ、それほどの猶予はないだろうな。なら、次の動きを決めておく必要がある」


 オオモリが答えた。


「高性能な衛星通信機器を入手しましょう」


「そうだな。とにかく、情報を繋がねばなるまい」


 それを聞いて、シャーリーンが言う。


「それですと、大きな都市に行かないとですね」


「ですが、ボストンは敵がいる可能性がありますよね」


「もう一度、ニューヨークに行くべきだろうか?」


 それに俺が答えた。


「奴らが、網をはっている可能性は高いだろう」


 するとオオモリが地図に指を這わせて、上になぞっていく。


「九鬼さん。カナダのモントリオールはどうですかね? ここから四時間くらいです」


「国境がどうなっているかだがな」


 そこで俺が言う。


「彼らの事もある。もし、まだ感染が広がっていなければ、そちらに逃がす事も出来る」


「それじゃ、決まりだな。まずは一旦そちらに向かってみよう」


 あとは、アビゲイル達が、どこまで製剤を完成に近づけるかにかかっている。


「しかし、腹減ったな」


 そう言うと、白衣の一人が言う。


「スナックの自販機がありますよ。そこに、ゾンビがいるかもですが」


「じゃ、取ってくっか。案内してくれ、みんなの分を取ってこよう」


 自動販売機があるところに行く間、ゾンビは適当に倒していく。すると、幾つもの販売機が置いてあるところに出た。


「おー、あるある」


「壊して取り出さないと」


 俺が、白衣の人間を制する。


「いや、このまま持って行こう」


「えっ?」


「だな。袋とかもってきてねえし」


「えっ!」


 俺が一台、タケルが一台ずつ自動販売機を担いだ。白衣の奴が目を丸くしているが、俺達は構わずに、自動販売機ごと食い物と飲み物を運んでいくのだった。

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