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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第606話 首謀者の一人、ガブリエル・ソロモン

 データセンターに着くまで、数人のファーマー社の私兵を殺害した。研究者は俺達にも怯えているが、デルがそれを落ち着かせるように言う。


「俺は海兵隊だ。彼らは、日本から来た部隊。だから安心して良い」


「「「はい」」」


 研究者が言う。


「ここです」


 俺がデータセンターの扉を斬り、脇にそれをどかす。


「入れ」


 そしてオオモリが真っすぐに、大型のサーバーに近づいて行った。


「流石は、世界有数の工科大学のデータセンターです。凄い数のサーバーですね」


 オオモリは歩みを止めずに、真っすぐ目的の場所に辿り着く。


「これで」


 自分の端末を繋いで、操作をし始める。しばらくして、オオモリが言う。


「やっぱり、ガブリエル・ソロモンは、いますね」


「ここにか?」


「ええ」


「そして、いろいろと情報があります。それもついでに取ります。もう少し待ってください」


 そのとき俺の気配感知に、異形の気配が引っかかる。


「兵士が消えた事でバレたな。敷地内を試験体がうろつき始めた」


 タケルが苦い顔で言う。


「あの、バケモンか……いやだねえ」


 すると研究者たちが狼狽え始めた。


「バケモノですよ! あんなのが来たらひとたまりもないですよ!」


「大丈夫だって」


「いや、ただのゾンビじゃないんですよ!」


「分かってるって。ちっとまってろ」


 タケルの声に、震えながらも研究者たちは黙り込んだ。そして、オオモリが言う。


「オッケ。爆薬の仕掛けも分かりました。範囲性の起爆装置ですね。破壊します」


「「「「えっ!」」」」


 研究員たちが唖然とした。


「あとは、手動の起爆装置が、どこかにあるみたいですね」


「どんなのだ?」


「ポータブルな奴です」


 ディスプレイにそれが映し出された。


「こんなやつです」


「探そう。多分、ガブリエルとやらがもってるんだろ」


 そのとき、ミオが言う。


「あ、たぶん、こっちに近づいて来た」


「その通りだ。試験体が徘徊して、ここに向かっている」


「あ、入り口は一カ所しかないんです!」


「なら、都合がいい。みんな、隠れろ」


 俺が入り口に向かい、そいつが来るのを待った。ドスドスと足音が聞こえ、だいぶ重いことが分かる。入り口にそれが現れ、室内を見渡していた。その筋肉が膨れ上がり、体のあちこちが鉄で覆われている。人間の形をしているが、今にも肉が破裂しそうな醜態。


「ひっ!」


 研究者の一人が声を出してしまった。そいつは、そちらに向けて動き出す。


「屍人乱波斬」


 ぴたりと試験体が止まった。次の瞬間、細切れになって崩れていく。


「なっ……」

「どういう……」

「崩れた」


「ヒカルさん。必要なデータのダウンロード終わりました」


「なら、行くぞ」


 俺達は、ガブリエル・ソロモンがいる場所へ向かって進み始める。研究者がガチガチに震えているが、それをミオやツバサやアビゲイルがなだめていた。


 全員警戒はしているが、リラックスしている状態。デル、だけがかなり心拍数が高い。


「デル。落ち着け」


「ふう。ふう。なんで、そんなに落ち着いていられるんだ」


 それには、クキが答えた。


「ポケットに、核弾頭を隠し持ってるからだ。俺達には、いざという時の核弾頭がある」


 そういうと、皆が俺を見た。俺は、タケルのようにふざけ笑いを真似て言う。


「ふふっ。核弾頭なんて大したことのねえ武器と比べるな」


 クキが苦笑いしつつデルに言う。


「だ、そうだ」


「まったく……わけがわからん連中だ」


 ツバサが言う。


「廊下の向こうから、何か来るわ」


 ガシュンガシュンと音を立てて何かが来る。だがそれには、全く気配が無かった。


 ミオが言う。


「気配を感じないわ」


 廊下の角を曲がって、人型の何かが数体現れた。それを見て、研究者たちが言う。


「工学科で作った、ヒューマノイドロボットです」


 それを聞いてクキが言う。


「ヒカルすぐ壊せ」


「冥王斬」


 人型のロボットが切れて落ちた。それでも、上半身が銃を構えてこちらに撃とうとした。


「乱波斬」


 バラバラになって銃が四散する。クキが俺達に言った。


「急ごう。カメラで視認された」


「わかった」


 俺達は隊列を組んで走り出し、俺が先頭でタケルが殿を務める。角を曲がる前に、俺が皆を止めた。


「先に兵士がわんさかいる」


 オオモリがスマホを見つつ言う。


「やっていいです。その扉の先に対象がいるかと」


「わかった」


 俺は思考加速をかけ通路に飛び出し、縮地で大勢の兵士達の中心に出た。もちろんそのスピードについて来れる奴がいる訳もなく、ゾンビ化兵も身動きが取れないでいる。


「屍人大龍深淵斬」


 俺の周囲の奴らが斬り落ちて、真っ二つになったゾンビ化兵も、復活できずに人に戻った。


「お見事」


「大したことはない」


 俺が言うと、研究者たちが少し落ち着いた。デルがぽつりと言う。


「核弾頭……か」


 クキが笑う。


「そういうこった」


 扉の前に集まり、タケルが扉を吹き飛ばして俺が中に突入する。そこには数人のスーツを着た連中と、同じ様に警備兵達がいた。


「う、撃て! 撃て撃て!」


 だが兵士達が引き金を引く事は出来なかった。その前に、全員の首が床に落ちたから。


「な!」


 そこでクキが言う。


「ガブリエル・ソロモン! やっと見つけたぞ!」


「ひぃぃぃ!」


 その白髪交じりのオールバックの白人の男は、太っているわけではないが腹がでていた。慌てて拳銃をこちらに向けるが、縮地でそいつを押さえて銃を取り上げる。


「な、しゅ、瞬間移動? なんだぁ!」


「まあ、おちつけ。お前に聞きたい事がある」


「ま、まってくれ」


「起爆剤はどこだ。彼らの頭の」


 するとガブリエル・ソロモンが言う。


「わかった。言うから、殺さないでくれ」


 しかし正面から見ていた、ミオがニッコリ笑って言う。


「ある場所はここね」


「なっ……」


「あなたの視線、筋肉の動き、そして声。正直で嘘つきだわ」


「な、なななな」


 ミオがすたすたと歩いて、ジュラルミンボックスに手を置く。


「これだ」


「ち、違う」


「あら。正解ね」


 ミオは既にレベルが上がって、人の感情や動きから分かってしまうスキルが身についていたのである。


 アビゲイルが前に出る。


「お、お前は!」


 俺がぎっと首を絞める。


「口の利き方に気を付けた方が良い」


「う、ぐぐぐ」


「ヒカル。死んじまうぜ」


 スッと緩める。


「あなた様は……アビゲイル博士」


「ええ。覚えていていただいて光栄です。まあ、良くもこんなことをしでかしましたね」


「ま、待ってくれ!」


 グッ!


「うぐ!」


 スッ!


「……ま、待ってくださいィ! 違うんです。これは必要な事なんですぅぅ!」


「これの、どこに必要性があるというの!」


「まって! まって!」


「話してもらいましょう。何をしているのかを」


「わ、私はしらん」


 グッ! スッ!


「ゲホゲホゲホ! うぐぐ。まってくれ! 知ってる事は話す!」


「全部話していただきます」


「わかった。わかったから」


 だがその前にタケルが言う。


「あー、だがよ。その前に、ちょっとやっておくことがあるんだ。いいかな?」


 皆が振り向いた。俺も何の事か分からない。


「あー、ちっとまってよ」


 そしてタケルはガンッ! と、切れた兵士を蹴り飛ばす。


「ヒカルよ。そいつをここに跪かせろ」


「ああ」


 力づくでガブリエルを座らせた。


「んじゃ、ここでいいかな。ヒカル、あと頼むぜ」


「ん?」


 タケルが拾い上げた、鉄の警棒をもって若い研究者に渡す。


「あー、これで、コイツを、おもいきしぶっ叩いていいぜ!」


「えっ!」


「命握られて、ムカついてんだろ? 気のすむまでどうぞ」


 若い黒人女性の研究者が、警棒を持ってガブリエルの前に来た。細かく震えている。


「や、やめろ! やめてくれ!」


 ばきぃ!!! 振り下ろした警棒が庇った手を叩いた。


「うぎゃあ!」


 手が下りたところで、もう一発顔面を叩く。


「ぴぎゃ!」


「はーい。そこまで! つぎ、お前」


 白人の女性は震えている。


「いいから。おもいっきりいってみよう!」


「は、はい」


 研究者はタケルも怖いようだが、警棒を持って血を流すガブリエルに振り下ろす。


 ガキィ!


「うげええ」


「んー、まだ弱い。んじゃ、そっちの筋肉のありそうな兄ちゃん」


「ぼ、僕ですか?」


「強そう。いってみよー!」


「は、はい!」


「やめろぉぉぉ!」


 バギィッィ!


「あが!」


「死にそうだな。ヒカル、ヒールだ」


「分かった。ヒール」


 傷が治り血が止まる。だが、飛んだ歯は戻らない。


「よっしゃ。次! 全員終わるまでやめねえかんな!」


「「「「は、はい……」」」」


 研究者たちは怯えながらも、思いっきりガブリエル・ソロモンに警棒をふるった。


「よーし! どうだ! スッキリしたか!」


「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

「ヒカル。ヒールだ」


「よし」


 シュウシュウシュウ……。


「やめ……やめて……もうやめて」


「ああ、やってほしくないなら、マジで洗いざらい言えよ」


「分かった……」


 そうして俺達の、ガブリエル・ソロモンに対しての尋問が始まるのだった。

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