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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第596話 正体不明の船を航行不能にする

 俺達はスーパーで回収してきた菓子を食いながら、敵に動きが無いかをずっと待っていた。俺はジュースを飲み、海の方を眺めている。時おりゾンビがうろついているが目標を失い、ただ彷徨うだけだった。


ツバサがオオモリに言う。


「大森君、スピーカー繋げて!」


「はい」


 また、通信がモニターから流れる。


 ガガ!


「こちらブラックオーガ、ゴーストプラント、聞こえるか?」

「ゴースト、聞こえる。どうぞ」

「タイタンを受け取った。スローンチェックを終え次第、顧客に届ける。オーバー」

「了解。タイタン、確認した。デッドフィッシャーの状況を伝えよ」

「デッドフィッシャーは眠っている。だが、顧客は飢えている。臨界は近い。オーバー」

「了解。スイッチを入れる許可を待て。繰り返す、許可を待て」

「ブラックオーガ、了解。アウト」

「ゴーストプラント、アウト」


 そして通信が途絶える。それを聞いて、皆が顔を合わせた。クキが言う。


「かかった」


 オオモリが画面に、通信先の地点を表示する。


「やはり海か」


 そこでオオモリが言う。


「会話、めっちゃ怪しいっすけど、どんな意味ですかね?」


 クキが答える。


「恐らくは、試験体。もしくはそれに準ずるものを運んで来るって事だ」


 腕を組んでシャーリーンが言う。


「ミサイルなどの兵器攻撃ではないという事ですか」


「それだとバレるからな。恐らく今のは、ファーマー社の通信を傍受したんだろう」


「アメリカ兵の裏切りも考えられますね」


「ああ」


 おおよその通信地点から、船が何処に向かうかを推測し始める。


 だがそこで俺が言った。


「いや、この湾に入って来るのだとしたら、すぐそこで捕まえればいい」


 するとクキがニヤリと笑って言う。


「そう言えばそうか、ここにはヒカルがいる」


「なら、この地点に行きましょう」


 オオモリが指さしたのは、湾の入り口のほうの先端だった。


「よし」


 俺達はすぐにトラックに乗り込み、その半島の先を目指して進む。その間もオオモリとマナが、改造した通信機を調整していた。俺達が目的地に到着すると、海のそばに白い建物があり、なんとまだそこにはゾンビ感染が広がっていなかった。


「あの建物に行って見よう」


 俺達がそこに行くと、周りには乱雑に車が止まっている。俺達もトラックを止めて、そのまま白い建物に向かう。建物周辺には、結構な人数の人が話合っていた。


「君らも逃げて来たのか?」


 中年の無精ひげの男が俺達に聞いて来た。


「そうだ」


 クキが話を合わせると、その男が聞いて来る。


「食料は無いか?」


 飲み物くらいしかないが、俺達はそれを差し出す。


「助かる!」


 すると逃げて来た、周りの人間達も寄って来た。なので、俺達は飲み物を全て渡してやった。


「あんたらも、避難して来た人らか?」


「そうよ。逃げて来たの」


「そうか」


 まだ生きている人が居るのは良いが、建物の中にゾンビ感染者の気配がした。


「建物の中には入らないのか?」


 俺の問いに、一人が答える。


「いや。感染している人間を中に入れている。閉じ込めて広がらないようにしているんだ」


「だが、まだゾンビではないのだろう?」


「いや、君らは知らないのか? ああなれば、じきにゾンビになる」


「俺を中に入れてくれ」


「何言ってるんだ? あんたも感染するぞ」


「大丈夫だ」


 そして俺は人を押しのけて、建物に近づいた。入り口がぐるぐるに縛られて、窓は外から打ち付けられている。すると、銃を持った警官が俺に言った。


「下がってくれ。中にいるのは感染者なんだ」


「大丈夫だ。俺達は、治癒の方法を知っている」


 すると、後ろからクロサキが俺を擁護してくれる。


「本当です。保健所の者です」


「……わかりました」


 そしてドアが開けられて、俺とクロサキが中に入った。すぐさま、ゾンビ除去施術の魔法を発動する。バッと光が広がり、建物内に寝ていた人間が真っ白になる。


 すると、寝ていた人らがムクリと起き上がって言った。


「あれ? スッキリしてる」

「あんなに頭が痛かったのに」

「噛みあとも塞がってる……」


 そこでクロサキが言った。


「保健所の者です! 今、特殊な薬品で皆さんを治しました! もう大丈夫です!」


 皆が立ち上がり始め、入り口に向かって行くので、俺が先に出て言った。


「治った。これでもう大丈夫だ!」


「うそだろ……」


 警官があっけに取られている。そして真っ白になった人間達が、外に出てきて言った。


「治った! もう痛くない!」


「ま、マジかよ」


 するとクロサキが、また同じことを言う。


「特効薬を使用しました。これでもう発症する事はありません」


「「「おお!」」」


 するとそこに、家族と思われる者達が駆け寄って来る。


「あなた!」

「おお、心配をかけたね!」

「ジョディ!」

「お母さん!」


 抱き合う家族たちを横目に、俺とクロサキが仲間達の下に行く。


「ゾンビにならずに済んだのね」


「そうだ」


「ここに居た人達は、ついているわ」


 ミオが嬉しそうに言った。そして俺に、オオモリが言う。


「そしてヒカルさん、そろそろ出番かも知れません」


「わかった」


「こっちの方角から来ます!」


 俺はオオモリに言われるままに、海沿いに立ちそちらに気配感知を放つ。


「いた……」


「見つけました?」


「試験体の気配だ」


「よかった。見つけたんだ」


「ああ」


 艦艇で運んできたようだった。俺はするりと仕込み刀の村雨丸を抜いて、海に向かって構える。


「動力を斬る」


「ああ、くれぐれも沈める事の無いように」


「空接瞬斬」


 遠い距離から、あたかも近くにいるような斬撃を飛ばす剣技で、その船の推進部分を二つ破壊する。

それで、船は推力を失い、ただ海を漂うしかなくなる。


 オオモリが言った。


「通信を傍受しました!」


「こちらブラックオーガ、メーデーメーデー」

「どうした?」

「動力損傷。航行不能! タイタンの配達が不能になった!」

「わかった! 至急、救出部隊を出す」

「早くしてくれ! タイタンが暴れ出したら終わりだ」

「了解!」


 受信を聞き、俺達はニヤリと笑う。そこに生存者たちがやってきて、俺達に声をかけてきた。


「まだ水は出るんだ。煮沸して飲むことが出来るようだ! ティータイムはどうだい?」


 建物を開放した事で、水が飲めるようになったらしい。


 そしてクキが答える。


「いただこう」


 俺とオオモリがそこに残り、クキ達が生存者から情報を聞きに行くのだった。


 そしてオオモリが俺に言う。


「まさか、彼らは、ここで軍艦を航行不能にしてるなんて思わないでしょうね」


「まあ……そうだな」


「さてと、餌は撒きましたし、接触して来る救援部隊とやらを待ちますか」


「そうしよう」


 そしてオオモリは、ポケットからチョコレートを取り出して俺に半分くれた。


「実はまだもってました」


「いいんじゃないか? お前はこれが無いとダメなんだろ。全部食え」


「甘いものが無いと頭が働かなくて、でもヒカルさんと食いたいんです」


「そうか」


 そして俺とオオモリは、チョコレートをかじりながら海を見つめるのだった。

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