表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

592/661

第592話 ワシントンを緊急離脱する

 拠点に戻り、すぐに建屋の奥の一室へと進んで、俺は大統領にもらったメモを開いてみる。


「なるほど、見てくれ」


 俺は、クキにみせた。


「大統領は、感づいている」


「やはりそうか。俺達を、慌てて帰したからな」


「軍や関係者が激しく入り出して、そこに敵が含まれていることを感じとっているようだ」


「盗聴を気にして、メモにして渡したわけだ」


 大統領がわざわざメモにした理由、それを知って俺達は少し沈黙する。大統領のメモには、既に敵が入り込み、情報が伝わっている事を俺達に知らせて来ていた。


「既に……敵に伝わっているか……」


「と言う事だな」


 大統領は既に、軍や専門家が機能しない可能性を考えているのだ。このパンデミックで壊滅した状況を見て、この結論に至った事をメモに記していた。


 クキが腕組みをして、小さな声で言った。


「俺達が人払いをしたのは正解だが、核心に及びそうになり、話を聞かれたくなかったという事だ」


「どうするべきか?」


「大統領に託されるとはな……ヒカルはだいぶ信用されていたようだ」


「何故かは分からん」


「力を知ったからだろう。大統領は、ヒカルにアメリカを託そうとしているのかもしれん」


「敵を倒すことぐらいしか出来んがな」


 だがクキは少し頭を傾げながら、呟くように言う。


「それと……アビゲイル博士を、守る為だったのかもしれん」


「アビゲイルを?」


「あの時、確かに大統領は慌てていた。様々なことが想定される」


「狙われるのは大統領だけではなく……」


「俺達も……だろうなあ。ゾンビ破壊薬なんて、作っている奴らを排除したいと思うだろう」


 そこで俺は、ニヤリと笑って言った。


「俺を標的にしてくれるならば、いくらでもやりようがあるのだがな」


「まあな。だが、そろそろ俺達は姿をくらました方が良いのかもしれん」


「何故そう思う?」


「敵になるのは、ファーマー社だけじゃない可能性が出てきた」


「米軍か……」


「そうだ。万が一、軍上層部に裏切者が居れば、軍を率いてここに来るかもしれん」


 その時だった。バンッ! と、ツバサが入って来た。


「ヒカル! なんか変だよ!」


「噂をすればだ……」


「……そのようだ」


 そう、この拠点に向かって、かなりの台数の軍用車両が向かっている音がした。


 クキがにやりと笑って言う。


「大統領が慌てるわけだ」


「だな。ツバサ、皆は?」


「変だったから、食堂に集めた!」


「よし」


 俺とクキがツバサを連れて、食堂に駆け込むと、皆が焦った顔でこっちを見た。


「アメリカ軍にも裏切りが出ているようだ!」


 それを聞いたタケルが落ち着いて言う。


「んじゃ、逃げっかね。下手をすれば、裏切ってねえ軍人も相手するってこったろ?」


「そういうことだ」


 俺達は、すぐに工場の裏口に向かっていく。


「監視されてるな……」


 するとクキがにやりと笑って言う。


「米軍からくすねておいた」


 そう言って取り出したのは、手榴弾のようだった。


「それは?」


「煙幕弾だ」


 そう言って、入口の方に戻り、それを引いて外に放り投げた。


「行くぞ」


 そして裏口に着いた時に、俺がクキに言う。


「開けてくれ。同時に、狙っている奴を仕留める」


「了解だ」


 ガチャリとドアを開け、直ぐに俺は剣技を繰り出す。


「空接瞬斬!」


 俺達を狙っている気配が消えた。そして俺達は、悠々と路地を歩いて行く。


「どこかのビルに入ろう」


 俺達がビルに入り、通路を抜けて反対側の路地に出て確認する。そこには、敵か味方かが分からない、米軍の車が通りを行き来していた。


「さてと、ヒカル」


「ああ、あの中の一つを奪えばいいんだな?」


「ということだ」


 俺は縮地で、直ぐに通りかかった車両に飛びついて、ハッチを開けて中に侵入する。


「な、なんだ!」


 次の瞬間、思考加速を発動させて、車に乗っていた四人の意識を狩る。そして操縦席に行くが……操縦方法が良く分からなかった。だがそこに、タケルが飛び込んで来る。


「任せろ」


 キュウウと車両が止まり、仲間達が乗り込んでくる。意識を刈り取った軍人の服を剥ぎ取り、近くの路地裏に四人を捨てた。クキが男達に言う。


「武、大森、米兵の軍服を着ろ」


「了解」

「わかりました!」


「では私も」


 そう言って、シャーリーンも軍服を着こんだ。クキも米軍の軍服を着て、タケルとシャーリーンとクキが操縦席に座る。


「あとは皆隠れてろ」


 そう言われて、俺達は後部の装甲で囲まれた部分に座り込む。


「行くぞ」


 俺達が奪った軍用車両は、そのままワシントンの郊外に向かって走り出した。しばらく進んでいくと、セーフティーエリアの端に辿り着く。


 そこにはゾンビが詰み上がっており、それの処理で軍人が追われていた。


「手伝いに来た!」


 クキが言うと、歓迎するように兵隊が言う。


「助かる! どんどん増えて処理が追い付かない」


「よし! 変わってやる。お前達は少し休め!」


「ふうー。たすかったぜ」


 作業をしていた軍人が奥に消えたので、車両を降り、ゾンビ達があふれる都市の外へ飛び出していく。

ゾンビがうろついていたので、とりあえず全てを斬り捨てる事にした。


「飛空円斬」


「これでアイツらの仕事も少しは楽になるだろ」


「手伝うって言ったのは嘘じゃないな」


 俺達十二人は、荒廃した街へと走っていく。ここまで来ると既に米兵はおらず、周囲にはゾンビの気配しかなかった。


「生存者はセーフティーエリアに逃げたか。全滅してしまったか……」


「とりあえず、拠点を探そう」


「ああ」


 それから俺達は車を入手し、郊外へと走り続けた。


「このあたりにするか」


「ここにしよう」


 そこは、四階建ての建物だった。中に入り、ゾンビを駆除しながらも上へ上へと昇る。ゾンビを倒し、そして屋上に上がった。


「おお、いいね。見晴らしがいい」


「ヘリコプターが飛んでいるわね。バレないかしら?」


「まあ、ゾンビだとでも思うだろ」


「確かに」


 そこで俺は皆に、どうしてこうなったのかを説明するのだった。もはや逃亡には全員が慣れてしまい、誰一人として理解できないものがいない。


「大統領やオリバー達が心配だな」


「それは仕方がない。だが、全員が敵と言う訳じゃないぜヒカル。」


「確かにな、無駄に軍人を殺すのだけは避けたかった」


「その通りだ。俺達は、米軍に追われる事になっちまうからな」


「ああ」


 だが、アメリカが窮地に立たされている事には変わらない。俺達は一度、無駄な火種を出さないようにしたまでだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ