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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第588話 セーフティエリアに担ぎ込まれる罹患者たち

 ワシントン一帯を、米軍と一緒にゾンビ破壊薬でセーフティーゾーンに変えた。その事で境界線あたりには、ゾンビの死体が転がり始める。街道などは生存者が入って来るかもしれないので、ゾンビを除去しつつ開けておかねばならない。


 その状況を確認した大統領は、さらに多くの米軍の兵士をこの地に呼んだ。


「また来たか」


 ヘリコプターが飛んできて、ぞろぞろと軍人たちが下りて来る。米軍基地は壊滅しているところもあるので、まずはここを拠点にしようという事になったのだ。さらに、米軍が入って来た事で、生き残っていた生存者が建物などからぞろぞろと出てきた。


 それを見てミオが言う。


「パンデミックの日本と違うのは、アビゲイル博士が居てくれたことと、ヒカルが居てくれたことだわ。セーフティーゾーンがあるだけでも、全然ちがってくる」


 タケルが大きく頷いた。


「ああ。後はどれだけ薬品製造が間に合うかだな。製薬工場も市民からでた薬品に精通している人らのおかげで、急ピッチで生産出来ているらしいぜ」


 すでに、地下に居た専門家たちも地上に出て、解放されたペンタゴンで作業をしつつある。既にホワイトハウスも奪還し、大統領たちはそちらに本部を作り上げていた。


 そしてクキが言った。


「復興までの動きが、俺の想定よりも早い。どうやらアメリカは、緊急時のプロトコルがあったようだ。ここまでの甚大な災害も、ある程度想定されていたらしい。まあ、凄い国だよ」


「日本には無かったのか?」


「残念ながらな。自衛隊がいつでも戦えるようにしていても、政府や国民が平和ボケしていた。どうしようもなかったと言うところが、正直なところだな」


「なるほど」


 アメリカ軍がせわしなく走り回り、あちこちから生存者を連れてきているようだ。病院も復活させて、そこに運び込んでいるらしい。


「あとは、ファーマー社から、ここが嗅ぎつけられる事を警戒しなければならん」


 それを聞いてタケルが頷いた。


「ヒカルはしばらく動けねえだろうな。奴らがミサイルをぶっ放す可能性はある」


 そこでオオモリが言う。


「衛星が五割しか機能して無くて、迎撃システムが動かないんだそうです」


「「「「……」」」」


 それは……俺達のせいだ。


「あれだ。やっぱり、俺がいた方がいいだろう」

「そ、そうだな」

「そうね……」


 微妙な空気がながれた。


 いま俺達は、軍用車両の側に立っており、そこを拠点にして薬品工場を警備する事になっていた。そして、アメリカ兵達が銃を持って周辺を囲んでいる。


 そこに軍人が来る。


「外からの生存者搬入が始まりました!」


 それにクキが答える。


「それは良かった」


「ですが……」


「死ぬ奴が出て来たか?」


「はい」


「それは、重度の感染者だ。ゾンビに変わる寸前だったんだろう」


「体調不良になる者も続出しており……」


「それは、直ぐに治療をした方が良い。放っておけば衰弱する」


「死ぬのは阻止できますかね?」


「残念ながら、ゾンビ破壊薬にはそんな機能はない」


 それを聞いて俺が言う。


「ゾンビ因子除去施術をやればいい」


「ああ」


 そこでクキが、兵隊に言った。


「体調を崩した生存者や、感染していて死ななかった者を、ここに連れてくる事が出来るか?」


「可能かと」


「なら、ここに大型のテントをはって、治療所をつくってくれ。そして次々に連れて来い」


「治療が出来る?」


「そうだ」


「わかった! 直ぐに手を打つ」


 そう言って兵隊は去って行った。


「死ぬ奴が出たか」


「そうじゃないと、ゾンビが増える」


「そうだな。発症するまでにヒカルがなんとかすれば、生き延びられるか?」


「ああ。そして施術後に、必要ならポーションを飲ませてみよう」


 だが、そこでクキが言う。


「アメリカの許可をもらってないぞ。万が一死んだら……」


「いや。俺がヒールで何とか持たせる」


「わかった」


 それはすぐに来た。ヘリコプターで運ばれ、次々に担架に乗せられてくる。


 確かに死にそうだ。


「連れて来たぞ!」


 俺達の脇では、テントが張られ始めている。


 俺はすぐに、運ばれてきた奴に手を当ててゾンビ因子除去施術を施した。


「なるほど、ゾンビ因子は死んでいるが、それが体内に詰まってるんだ」


「ヤバイな」


 施術のおかげで、次第に真白になった感染者は目をパチリと開けて起き上がる。驚いたように言う。


「あれ?」


「どうだ?」


「なんともないです」


 すると兵士が言う。


「なぜ真白なんだ?」


「ゾンビのウイルスが外に出たんだ」


「ウイルスが?」


「これが詰まると、死んだり具合悪くなったりする」


 そこに、医師であるエイブラハムが呼ばれてきた。直ぐに兵士に、どうなっているかを伝えて来る。


「主に血管や神経が詰まる。特に、脳、心臓、生殖器、リンパに集中的に出てしまうのじゃ」


「だから死ぬのか?」


「そう言う事だ。それを、病院の医者にも伝えるのじゃ!」


「わかった!」


 米兵が腰から通信機をとり、今のエイブラハムが言った事を伝えた。


「伝えてくれたのじゃな?」


「伝えました。ドクター」


「これで、軽傷の者はどうにかなるじゃろ。重度の者はここに連れて来るのじゃ」


「は!」


 そして兵隊は走り去っていった。更に矢継ぎ早に体調不良者が連れて来られ、俺は次々にゾンビ因子除去施術を施して行く。


 すると、すでに意識を失い死ぬ寸前の奴が連れて来られる。


「おい、クキ。コイツでやってみよう」


「……そうだな。悪いが試験だ」


 俺がゾンビ除去施術を行うが、白くはなったものの目を開ける事は無かった。薄く呼吸をしているが、時間の問題で死ぬだろう。


 きゅぽっ。出来上がった赤いポーションを、おもむろにそいつにかけてみる。すると淡い光を放ちながら、薄っすらと目を開けた。


「う、うう」


「起きた」


「これを飲め! 薬だ!」


「ゴク! ゴク! ゴク!」


 しゅわあああ。


 ガバッ!


 突然、起きた瀕死の奴をみて米兵たちが銃を構える。


「違う! これはゾンビじゃない!」


 起きた奴が、びっくりしたように周りを見回した。


「お、なんだ? あんたらは何者だ? なんで俺はここに?」


 エイブラハムが笑って言う。


「あんたは助かったんじゃよ」


「あ、妻は? 子供は?」


 すると米兵が言う。


「子供は保護している。残念ながら、奥さんは分からない」


「こ、子供に会わせてくれ!」


「なら、病院に行こう!」


 男は連れていかれた。それで、エイブラハムが俺に言う。


「一人の子供の未来が救われたのじゃ」


「そうか……」


「一人でも多く救えるように、わしらもなんとかしよう」


「そうだな」


 そこにまたアメリカ兵が来る。


「すまない! もうゾンビ薬の補充はできるだろうか!」


 それを聞いて、ミオが言う。


「聞いてきます」


「すみません」


 クキが兵士に聞く。


「セーフティエリアは拡大してるか?」


「はい。だいぶ広がりました。ですが薬の量が足りてません」


「ヘリコプターのローターを回し続けろ。風が起きれば、広範囲に散らばる」


「わかりました」


 中からマナとツバサとミナミが、ゾンビ破壊薬の入った段ボールを運んできた。


「持って行ってください!」


「ありがとうございます!」


 慌ただしく米兵がそれを持ち去り、それと入れ替わりに感染者が運び込まれてくるのだった。

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