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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第586話 米軍との意思疎通

 計画を始める為に大統領が、俺達に向かって言う。


「部隊が、ペンタゴンにやって来る。だが地上がゾンビだらけでは、ヘリコプターの兵が下りられない。それをどうにか出来ないだろうか?」


「問題ない。ならば、俺を地上に出してくれ」


「わかった」


 皆が出てこようとしたが、俺は皆を制して自分だけで処理する事を告げた。大統領がエレベーターの操作をして開いたところで、大統領が俺に言う。


「本当に大丈夫なのだな」


「来る前に見ただろう」


「あれが、現実だったのかどうかすら分からない」


「現実だ」


「なら、頼む」


「締めろ」


 エレベータが締まり、一気に地上に向けて登っていく。到着しエレベーターが開くと、通路が光っており俺はそれを進んで行った。そこにあったディスプレイが付いていて、仲間達と大統領が映っている。


「気を付けてくれ」


「俺が出たらすぐに締めろ」


「わかった」


 そして俺は道を戻り、入り口に向かっていく。隠し扉が開いたので外に出ると、早速ゾンビがうろついていた。


「刺突閃」


 扉が閉まるまで、俺はここから動かなかった。扉が分からなくなったところで、俺はそのまま地上に向けて走り抜けていく。すると入って来たゾンビが、エレベーターやそこらにいた。ゾンビを切り捨てながら地上に出ると、来た時よりもゾンビが増えていた。


 思考加速と身体強化で、速やかにゾンビを倒し始める。俺に気が付いて走り込んで来るが、飛空円斬で一瞬に倒す。それから、ペンタゴンとやらの建物周辺を走り回り、ペンタゴンの敷地内のゾンビも斬り倒していく。


「だいぶ片付いて来たか」


 すると空の向こうから、ヘリコプターの音が聞こえてきた。どうやら軍隊がやってきたらしく、こちらに向けて数機が飛んでいるのが見えた。地上に下りてくると、どうやら周囲を警戒しているように上空に留まっている。


 何をしている……。


 するとヘリコプターは降りずに、次々に縄が垂れ下がり、スルスルと軍人が地上に降りてきた。そいつらは銃を抱えており、一人が下りると次の人間が続けて下りて来る。そして、そいつらが次々に、こちらに向かって走って来た。そして俺を見かけて、銃を向けて来る。


「手を上げるんだったか……」


 俺は両手を上げて、そいつらに合図を送った。


「大統領の命令で待っていた!」


「君は! 大統領のSPか!」


「そうだ、大統領に言われてここに来た」


「すぐ案内してくれ」


「ついてこい」


 そのまま軍隊を連れて行くと、その声をかけてきた奴が言う。


「なぜ、このあたりはゾンビが少ないんだ? 軍がいるのか?」


「それは、大統領に聞いてくれ」


「わかった」


 軍人を連れて隠し扉に行くと、扉が開いたので俺が誘導した。軍人を連れて奥に行くと、エレベータ―に乗り込んで、そのまま下へと降りる。エレベーターが開くと、すぐに軍人たちが整列していく。


 そこに大統領たちがいた。


「良く来てくれた!」


「大統領! ご無事で!」


「なんとかね。現在のアメリカの状況を説明する! 直ぐに作戦に移らねばならん」


「イエッサー!」


 軍人を防衛会議室に集めて、大統領と補佐官たちが説明を始めた。


「質問は?」


「その、ゾンビ破壊薬の効果は?」


 それにはアビゲイルが答える。


「間違いありません。ゾンビは行動停止します。揮発性が高いので風向きを読んで散布してください」


「こちらは?」


 大統領が紹介する。


「ノーベル賞受賞の、スミス博士だ」


「おお。どこかで見たことがあると思いましたよ」


「ここで研究をしてもらっている」


「わかりました。では風向きを計算しつつ散布しましょう」


「お願いします」


 それから確保しなければならない、薬品工場と電波塔などの場所を確認していく。まずはワシントンをセーフティーゾーンにして、ここを拠点にすることを考えているのだ。


「では! 健闘を祈る」


「イエッサー」


「そして、彼らを連れて行くといい」


 大統領に言われ、俺とタケルが前に出た。あとは、全員アビゲイルの警護として残す。


「彼らは、SPですか?」


 だが大統領は本当の事を言わなかった。


「彼らは、大統領直下の部隊員だ」


「イエッサー」


 実は俺達は、軍隊の警護のためについて行くことになっているのだ。これ以上、無駄に軍人を失う事の無いようにと言う、話し合いの結果こうなった。


 そして、大統領と一緒にいた軍のお偉いさんが言う。


「君らにアメリカの未来がかかっている」


「イエッサー! 最善を尽くします! 大佐!」


「期待している」


 そして俺達は軍人たちと共に、秘密の施設を飛び出して地上へ行く。俺が始末しているので、ゾンビはそれほど多くは無かった。見つければ軍人が撃つので、俺達は何もしなくていい。


 地上に出ると、丁度ヘリコプターがやってきたところだ。


「こっちのヘリコプターに乗ってください!」


 二人は指示されたヘリコプターに乗る。


「すげえわくわくすんな」


 タケルが日本語で言ったので、俺も日本語で答える。


「アメリカ軍と自衛隊の違いを知れる」


「だな」


 ヘリコプターに乗り込むとすぐに飛び立つ。まずは薬品工場に向かう事になっていた。俺達の仕事は、軍隊に無駄な被害を出さないようにする事。軍人たちが危険にあわないようにしなければならなかった。


 ヘリコプターに座る他の軍人が、声をかけてきた。


「あんた、SPかい?」


「……そんなところだ」


「こんな作戦に、そんな上等なスーツをきていくのか」


「気に入っている」


「まあ、せいぜい足手纏いにならないようにな」


 するともう一人の軍人が言う。


「そもそも、戦闘経験はあるのかい?」


「ある」


「そうか。二人ともアメリカ人じゃなさそうだが」


「違う」


「巻き込まれて死んでも、文句を言わねえでくれよ」


「いわん」


「「「あはははは」」」


 笑う軍人を見て、タケルが苦笑いしている。そして日本語で言う。


「前なら、ヒカルが馬鹿にされたらぶん殴ってたかもな。だけど、かわいいもんだ」


「フッ。タケルも大人になったものだな」


「そりゃあな。あんだけ地獄見てきたら、大人にもなるわな」


「違いない」


 そして俺達は薬品工場の上空へと差し掛かった。するとまずはヘリコプターの上から、軍人たちが機関銃で地上のゾンビを撃ち始めた。だがヘリコプターの音と銃声に反応し、次々とゾンビが集まって来た。


「それではゾンビを引き寄せるぞ」


「狩り尽くせばいい」


 そんな事を言いながら、今度はバズーカ砲をとりだして地上へと爆弾の雨を降らせている。だがそれももっと大きな音を立てるので、次々に引き寄せていた。


「増援を呼びますか!」


「呼べ!」


 そしてしばらくすると、ジェット機の音が聞こえてきた。それが地上に爆弾を落として、そこらじゅうが火の海になる。俺とタケルは顔を見合わせて、苦笑いをする。


「このままじゃ、薬品工場が焼けるんじゃないか」


「たしかに」


 だがゾンビも火に包まれ、だいぶ数を減らしている。しかしその黒い煙が高く舞い上がり、それをみたゾンビが恐らく遠くから近づいて来る可能性があった。


「火を消した方が良くないか?」


 俺が言うと軍人が答える。


「ゾンビを駆逐しなくてはならん! 素人は口出しをするな!」


「いや。早く博士の薬を散布したほうが早い」


 それを上官に言うと、ようやく理解したようで、各自がゾンビ破壊薬の瓶を持ち始めた。それに対して俺が指示を出す。


「風向きを見ろ。西方から撒いていけば広範囲に広がるぞ」


「分った……」


するとヘリコプターが西側に回っていく。


「このあたりだ」


 すると指揮官が言う。


「では、皆! 薬の瓶を持て」


 皆が瓶を持って蓋を開けた。


「撒け!」


 一斉に、空中から散布し始める。ちょっと火炎と煙が邪魔ではあるが、少しずつ広がっていくだろう。そして俺は続けて言う。


「ここから円を描きつつ、空中からゾンビ破壊薬を撒き続けろ」


 俺が言った通りに、ヘリコプターが旋回しながら、ゾンビ破壊薬を撒き続けた。すると下界には蠢く影が無くなり、そして着陸場所を見つける。焼けた場所から距離をとり、ヘリコプターを着陸させると軍人たちが装備を持って後部ハッチへと歩いて行く。


「ハッチを開けろ!」


「イエッサー」


 後部ハッチが開き、軍人が外に出て行った。俺達も後ろから付いて行くと、軍人が驚いた顔で言う。


「本当に効いているのか? あの薬」


「そうだ、ここにゾンビは入って来ない」


「……すまなかった。信用していなかった」


「しかたあるまい」


 俺達は薬品会社に向けて歩きだす。そのとき、タケルが俺にぼそりと耳打ちした。


「あれさ。おっさんらが、怖かっただけだぜ」


「怖かった?」


「やっぱ、ゾンビの大軍は心理的に嫌だろうからな」


「だから、燃やしたのか」


「ああ。あんな所に降りたくねえ、ってボソリと言ってた軍人がいたぜ」


「そう言う事か」


 そして俺達は製薬工場の自動ドアを開けて、中にゾンビ破壊薬を放り込む。薬品工場を壊すわけにはいかないので、慎重に対応していった。その時、軍隊の奴が聞いて来る。


「あんたら、ゾンビのエキスパートなのか? 大統領直下の?」


「まあそんなところだ」


「わかった。なら俺達に何をすればいいかの指示をくれ」


「よし。それならば、ゾンビ破壊薬を携帯し、電源の復旧をするようにしてくれ。この工場が稼働すれば、アメリカの未来は明るいぞ」


「わかった! 取り掛かるぞ!」


「「「「イエッサー!」」」」


 そして俺達とアメリカ軍の、共同作戦は無事に始まったのだった。

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