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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第585話 アメリカ復旧に向けた計画

 全土のアメリカ軍稼働率は、既に四十パーセントを下回っているようだった。既にあちこちの基地が、ゾンビに汚染され始め、流通は完全にストップし、ライフラインが止まってしまっている。


 大統領が眉間にしわを寄せている。


「これは、どうすればいいのだろうか?」


 専門家たちを前にして、大統領が縋るように言った。


「市民の避難を優先すべきです」


「それを誘導する軍人がいないのにか?」


「とにかく、ゾンビの排除に集中してはいかがでしょうか?」


「やって、あの結果だ」


「では、セーフティーゾーンを作り上げて、出来るだけ生存者をそこに集めては?」


「それをやった基地が、壊滅してしまったのにか?」


「毒ガスなどは効くのでしょうか?」


「一般市民も死ぬ」


 なるほど専門家とはいえ、ゾンビに関しての知識は無く、的外れな意見が多かった。そこでようやく、オリバーが俺達に目配せをする。


「あー、ちょっといいかな」


 クキが言うと、皆がこちらを見た。


「教えてくれ、自衛隊の人」


「皆さんも知っての通り、日本はゾンビで壊滅しました」


 すると専門家の一人が言う。


「ゾンビを防げなかった国の人間の意見を聞いても、意味があるのですか?」


「いや、彼らの力を見ただろう」


「ですが、広範囲に拡大している状況ですよ?」


「まずは、話を聞こうじゃないか」


 それを受けて、クキが頷いた。


「では。まず、救出についてですが、さっき大統領が言ったように感染者が入っていると、直ぐに拡大していきます。また、毒ガスなどはゾンビには効かず、頭を破壊せねば動きは止まりません。また、中には頭を破壊しても動く、試験体と言うタイプもいます」


「そんなものが……」


 すると軍関係者の一人が言った。


「大統領。大量破壊兵器の使用もやむを得ないかと」


「国内で使うのか?」


「拡大を抑えねば、生き残れる者も生き残れなくなります」


 クキがそれを制する。


「いや。それは悪手です。生存者も絶望的ですし、ゾンビを消しても、いずれまた出た時に対策を取れなくなります」


「なら、どうしろと言うのかね!」


 こいつらは、一体何を言っているのだろう? 俺達が対策を話そうとしているのに、自分達の意見が正しいとばかりに続けている。そのどれもが、間違いだというのにだ。


「ですから、私達にはそれに対しての対抗策があります」


 大統領が身を乗り出す。


「そ、それを聞きたいんだ」


「まずは、地下研究施設を借りて作っているのが、ゾンビ破壊薬なのです」


「どういうものだ?」


「揮発性の高いもので、その粒子に触れればゾンビは行動停止します。それを主要都市に散布して、セーフティーエリアを作る必要があります」


「おお! それは完成したのだろうか?」


「それはとっくに、ですが、その量が圧倒的に足りてません」


 すると軍関係の人間が、声を荒げて言う。


「急いで大量に作れんのか!!」


「ここの設備が小規模すぎるのと、人がいないのが問題だ」


「どうにかしろ!」


 だがそれにはオリバーが、手を上げて口を挟む。


「すまんが、私の家の息がかかった薬品工場でも作っていた。人数を動員してな、だがそこはファーマー社の襲撃にあって破壊された」


「だが、このままではアメリカが滅びるのだぞ!」


「だからですよ。まずは、地上に出て電源が確保された医療工場を探す必要がある」


「あの、地上に出るのか? ゾンビだらけの?」

 

 やはり、頭が悪い。そうしなければ、どうやって対応するというのか。オリバーは、怒らず冷静にそれに答えていた。


「全員で行く必要はないでしょう。だね、ラッキーボーイ?」


「そうだ。むしろ、全員で行く意味がない。まずは、破壊薬をもち、薬品工場の周辺をセーフティゾーンにしてしまう事だ。その上に、もうひとつ大統領命でやってもらいたい事がある」


「なんだ?」


「GOD社を占拠して、そこの技術者を誘拐する必要がある」


「どういうことかね?」


 そこで俺はオオモリを見る。すると、オオモリが頷いた。


「ゾンビは、ある程度コントロールできる性質があります」


「なんだって?」

「なんだと?」

「どういうことだ!」


「ええ、6Gと7G回線をつかうと、ゾンビ因子の行動を抑制できるんです」


「そんなことが……」


「本当です」


 するとようやく、今まで黙っていた専門家が言う。


「いただいたデータで見ました。大統領、恐らくですが理論的には可能かもしれません」


「そうか」


 ようやく話が伝わってきたようだ。さっきまで、怒鳴っていた軍の奴も黙り込んで聞いてる。


 そしてオオモリが続けた。


「日本でも実証されています。確保すべきは、電源と通信回線設備。そうすれば、各地にセーフティーゾーンが作られて行きます」


「そんな事が」


「あとは、時間との勝負です。軍人、エンジニア、自然保護管を集められるだけ集めて、直ぐに行動に移すしかありません」


 大統領がその話を聞いて、専門家達に聞く。


 すると、殺された獣医と二人で話していた女が言う。


「私は、彼らに従った方が良いと思います。少なくとも、彼の恨みを晴らしました」


「ま、まあ、それは個人的な感情であって」


「私は、よっぽど信じられました」


 それを聞いて、グレイブ・クレイトンが言う。


「大統領。彼らの力を見ただろう。あれは本物だ、わしは海でも凄い力を見た。やるべきだと思うがね」


 すると軍関係者の男が言う。


「責任は取れませんぞ」


 だが大統領が首を振る。


「いや、恐らくそれしかできないだろう。私が責任をとる」


 そして大統領補佐官に対して、直ぐに指示を出した。


「直ぐに計画を立ててくれ」


「イエス、サー」


 そして大統領補佐官が、くるりとクキに手を差し伸べる。


「よろしく頼む。一緒に、アメリカを救ってほしい」


「そのつもりで来たんだ」


 そしてすぐにパネルに、アメリカの地図が映し出され、薬品工場の位置や電波塔の位置、電気の供給源などが表示される。それをみて、オオモリが言った。


「日本よりだいぶ良いです。電力の確保が容易いでしょうから、日本ではそこからでした」


「なるほど、まずは薬品工場周辺の確保からですか?」


「お願いします」


 俺達が、このアメリカでやる事が決まった。滅びてからしばらく時間が経過した日本と違って、やれることは多い状態だ。食料などの物資があるうちに、出来る限りセーフティーゾーンを広げる事。それによって、まだ国民の半数以上を救う事が出来るはずだった。先ほどまで、不遜な態度だった軍関係者も協力的になり、どうやって戦力を確保するのかの話をし始めていたのだった。

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