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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第541話 ファーマ―社訴訟裁判の後に

 オリバーに俺達の潜伏するホテルがバレた為、すぐに違うホテルへと拠点を移す。もちろんカリムのホテルなので、調べられても俺達の行先がバレる事はない。

 

 ファーマー社を相手に訴訟しているという事を知り、俺達はオリバーに重要な情報を渡した。その為にまだ薄暗い早朝から、次の行動指針を決めるための話し合いをしている。


「クレイトン家の護衛能力、そしてオリバーの動きをしばらく見張るか」


 俺が言うとクキが頷く。


「だな。いきなり殺されたんじゃ、俺達も夢見が悪い」


 そこでシャーリーンが言う。


「しかし、クレイトン家はかなりの財力もあります。こちらが変に嗅ぎ回れば、我々に火の粉がかかって来る場合があります」


「俺達が睨まれるという事か?」


「はい」


 タケルが呆れ気味に言う。


「まあ……ファーマー社は手段を選ばねえからな。普通の守りじゃ守り切れねえかもな」


 ミオが言う。


「そうよね……。で、ヒカルが言うのは、陰から見守ってみるって事かな?」


「そうだ。全て陰からやる」


「なるほどです。ミスターヒカルの言う事は分かりました」


「どうだ? オオモリ。オリバーの動きをキャッチできるか?」


「はい。既に、彼のスマホにも僕のAIウイルスが入ってますから」


「上出来だ」


 コイツの仕掛けは、非常に面白い物だった。なんでも、オリバーのスマホに繋いだり通話したりすれば、AIウイルスとやらが広がり、全ての情報がオオモリに伝わって来るらしい。


「ほら、ヒカルさん。噂をすればですよ」


「動くか?」


「そうみたいです。盗聴内容を聞きます?」


「ああ」


 そしてオオモリがパソコンを弾く。クレイトンと、誰かが話をしているのが聞こえてきた。


「クレイトンです。予定通りに法廷に行きます」


「わかりました! 先生! お待ちしております」


「うむ。まあ……今日はあまりいい結果は出ないかもしれん……」


「そうですか……」


「っと、思っていたのじゃがな。もしかしたら、ある程度、相手を揺さぶれるかもしれんぞ」


「えっ!」


「まあ、詳しくは言えんが。後は法廷で、どうやらあんたら被害者はラッキーだったよ」


「そうですか、わかりました!」


「それでは四時間後ロスで会いましょう」


「はい!」


 通話が終わり、それを聞いてタケルが言う。


「早速。動くようだぜ、どうやら」


「悠長にはしていられん」


 だけどタケルが楽しそうに言う。


「あの弁護士の爺さん。法廷に立つ前に、ラスベガスで遊んでたんだな」


 それを聞いて、ツバサが言う。


「そんな遊び人、信用できるのかな?」


 だがそれに、クキが笑って言う。


「よっぽど人間らしくて、信用に足ると思うがな」


「そういうものかしら?」


「翼。遊び心満載の、武や大森をどう思う?」


「あ、信用出来るわ」


「そうだ。人間らしいってのは、そう言う事でもある」


「なるほどね」


「言って見りゃ、裏表がないって事だ」


「わかったわ」


「じゃ、急ぎましょう」


 シャーリーンの声に、皆が準備をし始める。もちろん行先はロサンゼルスだ。まだラスベガスの富裕層の調査はしてないが、その前にクレイトンの護衛を考えねばならない。特に裁判の前より後が問題で、ファーマー社が核心を突かれてどう動くのかが心配だった。


 そして俺達はホテルを後にし、目立つキャンピングカーはやめて、二台のボックスカーをレンタルして行く事にした。


 早朝のラスベガスは、夜ほど騒がしくはない。ジョギングをしているような人もいれば、犬を散歩させているような人もいる。至って平和な光景が広がっていた。


 ラスベガスからロサンゼルスまでは、約四時間弱で到着した。その町並みを皆が見ている。


「大きな町だ」


 俺が言うと皆が頷いた。


「ヒカル。とりあえず裁判所付近にいくぞ」


「ああ」


 オオモリの追跡で分かった、裁判所のそばに車を停めてみていると、オリバーが警護と共に入っていくのが見える。


「入った」


「さて。どうなるかね?」


「待つしかないだろう」


 そこに少し停まっていると、コンコンと窓ガラスを警官に叩かれた。


「はい」


「車動かして」


「わかりました」


「なら、俺とタケルは降りよう。クキ、行ってくれ」


「了解だ」


 ミオが言う。


「気を付けてね」


「そっちもな」


 俺達が車を降りると、クキが車を出発させた。すると、後ろにいたツバサが運転する車にも、声をかけれられている。車の中から、ミナミとシャーリーンとクロサキが下りてきた。そしてツバサが運転する車も行った。


 俺達は合流して話す。


「やはり都会だけあって、潜伏する場所が難しいですね」


 シャーリーンが言う。


「仕方ない。急だったし、これで十分だ」


「はい」


 すると、ミナミがスマホを取り出す。


「大森君から。とりあえずまだ裁判が始まったばかりらしいわ。近くのカフェの場所を伝えてきた」


「んじゃ、そこでゆっくり待つとしようぜ」


 俺とタケル、ミナミ、クロサキ、シャーリーンが、裁判所近くのカフェに入る。しばらくすると、どうやら二台の車も、駐車場に入ったらしい。


「どうします?」


「まずは待機だ」


 シャーリーンがスマートフォンでクキに伝えている。それから俺達はカフェを出て周りを確認したり、またカフェにはいったりして数時間を費やした。このロサンゼルスと言う町はとても慌ただしく、多くの人種が行きかっており、今まで見たどの都市よりもその傾向が強いようだった。


 そこで、ようやく動きが出たようだ。


「大森君からよ」


「なんと言っている?」


「裁判は今日で決着つかなかったみたい」


「こんなに時間をかけてか?」


 俺が言うとクロサキが答える。


「まあ……大抵はそうだと思いますよ。日本とアメリカでは違うかもしれませんが」


 だがそこでタケルが言う。


「んじゃ、みなさん。サングラスと帽子の準備はいいかい」


 そして俺達はサングラスをかけ、帽子をかぶってカフェを出るのだった。


 クロサキが電話をかけた。


「九鬼さん。こちら動きます。駐車場を出てもらえますか?」


「もう出た」


「了解です」 


 早ければファーマー社が動く可能性がある。こんな平和な日常をいきなり壊す可能性も少なくない。

そして裁判所の道向かいに到着すると、丁度オリバーと共に被害者の家族が出て来たところだった。


「来た」


 そして俺が四人に指示する。


「二人ずつ散開しろ。タケルとシャーリーン、ミナミとクロサキで状況次第、仲間の車と合流だ。俺は彼らを追跡する」


「りょーかい」

「わかったわ」


 二組に分かれて、裁判所の両側に回り込むように動いた。どうあってもすぐに駆け付けられるようにしつつ、俺は集中してオリバーを見ていた。


 そしてすぐに反応が生まれる。それは俺の気配感知に引っかかった、一台の車の反応だった。なんとその車に、ゾンビ化人間が乗っていることが分かる。


「普通の人間なら気づかなかったものを」


 俺はニヤリと笑い、フッと縮地でその場から消え去るのだった。

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