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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第533話 試験体感染の人肉の行方

 俺達が仲間達の元に戻る頃には、もう朝になっていた。だが既にシャーリーンが手配した、車と物資が到着していて、俺達はすぐにモーテルを出る。長居をすれば、おかしな集団がいると通報されて、直ぐに警察がやって来るだろうと言う読みだ。


 そして俺達は何台目かのキャンピングカーを、スーパーの駐車場に停めて話していたのだった。


 オオモリが、新しく手に入れたパソコンを見ながら言う。


「うわあ……」


「どうした」


「今までのファーマー社の研究所爆破について、事故だったという見解から、テロリストの仕業だと塗り替えられてますね。見てください」


 映された動画には、空から取られた拡大映像で、目だし帽をかぶった俺とタケルが映し出されている。俺達がテロリストとされており、今までの事件を擦り付ける為の作戦に出たらしい。


 それを見てクロサキが眉間にしわを寄せている。


「スケープゴートにされましたね」


「逆手に取って来たか」


 だが、それにタケルはあっけらかんと言い放つ。


「別にいいんじゃね? 俺たちゃ日本人だし、もう消えた民族だ。どんなに調べたって出て来ねえ」


 オオモリが大きく頷く。


「その通りです。それより、見てくださいよこれ!」


 それはオオモリが作った、ゾンビ暴露チャンネルユウ&レイの画面だ。それを見て、皆が喜んでいる。


「大バズりですよ。もう五千万回突破。半日も経たずしてこれは凄いです。既に、データーがあちこち独り歩きして、SNSのあちこちに散らばってます。アメリカの会社だけじゃなく、いろんな国のプラットフォームにどんどん切り抜かれていってます」


「それは凄いのか?」


「それはもう。警察官やスワットの証言も出てますし、ニュースでもすっかりその話題でもちきりです」


 それを聞いて、マナが手をひらひらさせた。


「でも、また情報操作されていくんでしょう?」


「させませんよ。でもこれで、大きく分かってくる事があります」


「なに?」


「これの火消しに国、政府、団体、個人に至るまで、躍起になって動くでしょうからね。何処に金が流れたか分かります。関与している奴らと、大きな金の流れがつかめるはずです」


 クロサキが大きく頷く。


「ハッキングで追うという訳ですね」


「僕のAIウイルスが、じきに全部紐づけして引っ張って来ます。そのデータ解析用のプログラムをこれから作りますので、それにぶち込んでしまえば、ファーマー社や関連組織との繋がりが分かってきます」


「凄い……」


「例えば、国家でも関与している国としていない国、政府でも関与している政府としていない政府。というふうに、ハッキリして来ると思いますよ。火消しに走るには金をばら撒かないといけないですからね、会社や組織だけじゃなく個人にまで全てです。影響のあるインフルエンサーや著名人、タレントに至るまでだれが火消しするかでハッキリします。まあほとんどは真相を分からずに、本当にフェイクを信じて正義心でやるでしょうけど」


「騙されて、ファーマー社の片棒を担がされるという訳ですか」


「そうなりますね」


 皆がオオモリの言葉に注目していた。


 タケルがオオモリの背中をバンと叩いて言う。


「やっぱ、おまえすげえな! そこまで計算ずくで俺達を動かしたのかよ」


「別に、説明する必要はないと思いましたので」


「まあ……ねえな。やってみたから分かるけど、前もって言われても分からねえ」


「でしょ」


 するとアビゲイルがキラキラした目で言う。


「ミスター大森は本当に素晴らしいのですよ。ミスター武。この頭脳は本当に宝です」


「お、おう……」


 そして、それに対しクキが言う。


「で、それをネタに、大元や元締めを締めていくわけか。よくできてるな」


「はい。だから、今は泳がせましょう」


「まあ、それはおいおいか。それよりも、試験体のゾンビ因子を含んだ肉の行方だな」


「すみません。そっちはまだ捉えきれません」


「そりゃそうだ。あんな、得体のしれない殺人鬼のところを出荷された人肉なんて、普通に流通されるわけはないからな」


 俺達はキャンピングカーの窓から外を見て、平和な人達の動きを見ていた。今のところ、俺の気配感知に試験体のゾンビ因子は見つかってない。という事は、こういう場所には流通していないという事だ。


 シャーリーンが言う。


「普通のチェーン店には、出所の確かな食材が送られてきますから。それに加工されている段階で、ここで作られたものでは無い可能性が大きいです」


「その通りですね」


「何処に卸したか聞いておくべきだったか」


 そしてクキが言う。


「車を移動させよう。いつまでもデカい車が止まっていると怪しい」


「そうですね。何処に移動させます?」


「黒崎さんはどう思う?」


「こういう時は、聞き込み調査ですけどね。地元の飲食や出入りしている精肉店、ギャングなども対象になるでしょう」


「だな」


 そう。俺達は本来、次の目的地に進みたいのだが、試験体のゾンビ因子が流出した場所を探る必要があったのだ。その為に、まだロズウェルに足止めを食っている。


 そこで俺が言う。


「オオモリはSNSやネットの情報を分析して、ギャングのアジトを調べられるか?」


「いやあ……流石にネットには出てないかも。でもある程度の情報は、フワリとつかめます」


「やってくれ」


「どうするんです?」


「痛い目めを見せれば喋るだろう」


「片っ端からギャングをとっちめるんですか?」


「そうだ」


 するとクロサキが言う。


「それでは騒ぎが大きくなるので、聞き込みをしましょう。偽物の警察のふりをして」


「なるほどです。いいですよね九鬼さん?」


「そう言う事なら、黒崎さんの出番という訳だ」


 それに俺が言う。


「なら俺が、クロサキの警護にあたる」


「お願いします」


 オオモリが早速調べ始め、ギャングのアジトになりそうな所を地図でピックアップし始める。


 そしてクキが言った。


「アビゲイル博士。万が一、調理した状態で試験体の因子を食べてしまった場合、吸収されるまでどれぐらいかかるものですか?」


「ゾンビ因子は、粉末にしたところで死にませんからね。ですが、直接血液に製剤を入れない場合、長くて二週間で発症。身体機能が低下している人なら、数日ででる症例もあるでしょうね」


「もう、出ている可能性もあるか」


「暴れ出した人とか、そう言う方向も探してもらった方が良いでしょう。ミスター大森」


 そしてオオモリが言った。


「とりあえず。ギャングアのアジト周辺まで特定できました。数人の顔を見せます」


 不鮮明ではあるがギャングの顔が見える。


 そしてシャーリーンが装備を渡して来た。


「ヒカルさんはそのままのスーツで良いでしょうが、サングラスをかけて下さい。そして黒崎さんはスーツを着て眼鏡をかけましょう」


「わかりました」


 そこでタケルが言った。


「んじゃ、俺はヤクの売人にでも接触してみっか」


「なら私も行くわ」


 とミナミも手を挙げる。


 そして俺達は、スーツに身を包んである場所で車を降りるのだった。これまでの長い戦いで、俺達のパーティーはすっかり役割分担が出来ているようだ。スムーズに各自の任務とやるべき事が分かり、独自の判断で動き出せるように迄なっていた。


 クロサキの手元にあるスマートフォンには、ギャングの顔が移されており、そいつらを求めて歩きだすのだった。

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