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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第528話 殺人鬼一家の処理と救急隊

 ファーマー社の基地は、かなりずさんな事をやっていたようだ。なんと実験済みの死体を外に出していたのである。さらには逃げる人間を放置し、その処理も適当にしていた。だから逃げてきた男も、俺達と接触出来た訳だが。


 アビゲイルが言う。


「施設の管理者が……勝手に、そうやって金を得ているのですね」


「コンゴ共和国の事件といい、ファーマー社の管理も行き届かなくなっているって訳だな」


「そのようですね」


 壊滅しながらも、日本にあった研究所ではそんな事は無かったように思える。だが、どうやら国によってはその管理方法は違うらしい。このまま行けば、いつか必ず世界にゾンビが蔓延するだろう。


 それを聞いてクキが言った。


「おそらく、やつらはもう精神に異常をきたしてるんだ。俺も極限で戦って来た事があるから分かるが、正常な判断が出来なくなってくる。目の前で行われる、狂気の沙汰に精神が麻痺してしまうんだな。もうなんでもよくなってしまう……ってのが正確なところだろうな」


 皆が頷いた。それは皆にも当てはまるからだろう。度重なる過酷な戦闘で、敵とみれば直ぐに殺せるようになってる。もとは普通の市民だった彼らからすれば、クキのように戦う事なんてできなかったはず。それが今は平然と、日本刀で切りつけたり武器で潰したりしている。


 そしてミオも言う。


「麻痺するわね。日本じゃ、食べ物を取り合って日本人同士が殺し合ってた。学校の先生が、看護師が、警察官が、ヤクザが奪い合っていたから分かるわ。私達に正常な判断をもたらしてくれたのはヒカルだもの。ヒカルが居なければ、私達だってどうなっていたかわからない」


「美桜の言うとおりだぜ。俺達だって、感染したと分った途端に殺していたからな」


「なまじ平和な暮らしがそばにあるから、ここが異常に見えるだけなのかもしれないわね。だけど、こんな事を許していたら、絶対に世界は滅びてしまうわ」


「ああ」


「この家族も元は、犬の飼育をしていたと言っていたわ。それがファーマー社に壊されてしまったということね」


「だが……流石にこいつらとは一緒にされたくねえな」


「そうね」


 そんな話をしていると、建物の奥から電子音が鳴り響いた。


「電話か?」


 だが住人は答えない。そこでクキが立ち上がり、奥の部屋に行く。そして直ぐに戻ってきた。


「通信機だ」


 そんな事をしているうちに、通信機の発信音が消える。すると住人が言った。


「おまえら、どうせ逃げられねえ」


「あいつらが来ると言う事か?」


「どうせ、おまえらはあの基地から逃げて来たんだろ。俺達が通信に出ないとなれば、絶対に先兵を送り込んで来る。しかも死なねえ、おっかねえ人間だ」


 俺達は顔を見合わせた。どうやらゾンビ化兵を送り込んで来るのが、いつもの事なのだろう。だがそれを聞いてクキが言った。


「ヒカル。防空体制をとっておいた方が良い」


「兵士が来ないかを見張るのか?」


「いや、放っておけば恐らく砲撃されるか、もしくは他に何かされるかもしれない」


「了解だ」


 それを聞いて殺人鬼の住人らが言った。


「頼む逃がしてくれ! あんたらも逃げた方が良い! 爆破される前にここを離れた方がいいだろ!」


 だが俺はそれを聞くことなく、クキと一緒に外に出てみる。すると、何機かの飛翔物体が見えた。


「何か飛んできた」


「多分、ドローンだろうな」


「撃ち落とすか?」


「まあ、それで俺達がここに逃げ込んだことはバレるがな」


「大人数過ぎて隠れられん」


「仕方あるまい」


 俺はすぐに村雨丸を構え、剣技を繰り出した。


「空接瞬斬!」


 飛んでいるドローンの側に剣が現れ、そのこと如くを斬り捨てて行った。


「どうだ?」


「切り捨てた」


「恐らくは定点観測のドローンだろうが、恐らく、次に何かが来る」


「念のため、全員を室内に入れておけ」


 クキが建物に戻って行ったので、屋根に飛び乗る。すると遥か遠方の方に、静かに飛ぶ白い飛行物体が見えた。人の気配はしないので、恐らくはあれもドローンなのだろう。


「空接瞬斬!」


 それは空中で切られ落ちて行く。これで監視する飛行物体はいなくなった。だがクキの言うとおり、ここで何らかの異変が起きた事は敵に筒抜けだろう。しばらく屋根の上で、周辺の監視をしていると遠くから大きな飛行機が飛んできているのが分かる。


 ゾンビ化兵が詰まってるか。


 俺はその飛行機も同じ様に斬った。


「空接瞬斬!」


 飛行機は斬り裂かれたが、そこからばらばらと落ちてくるものが見える。するとある程度の高度に来た時に、キノコみたいな物体に変わった。


 パラシュートか。


 どうやら脱出したらしかった。そこで俺は奴らが地表に落ちるのを待った。次々にパラシュートが荒野に降りて行くのを見ながら、全部の落下を確認した。


「よし」


 俺は精神を集中させ、闘気と魔力を練った。


「剛龍爆雷斬!」


 俺の剣先から光の玉が飛び出して、荒野の向こうに飛び去っていく。そしてゾンビ化兵達が散らばった荒野あたりに落ちて、大きな爆発となってゾンビ化兵を飛び散らせていった。しばらくするとその爆風がこちらに届き、建物をがたがたと軋ませる。それからもしばらく見張っていたが、敵に動きは無くなったようだ。日が沈みかけて来て、俺は部屋に戻った。


「そろそろ、日が沈む」


 それを聞いてタケルが言う。


「こいつらのピックアップトラックをもらおうぜ。そこの怪我人と、弱ってる人らを乗せた方がいいだろ?」


「そうしよう」


 そして俺達はここを出発する準備をし、弱っている人らをトラックの荷台に乗せた。するとここにいた殺人鬼の母親が言った。


「こ、このまま縛っていくのかい!」


 だが俺はそいつらの言葉は聞かなかった。


「まて! 助けてくれ! なんでもする! 金もあるだけやる!」


「死体を売った金をか?」


「ここに居たら、お、俺達が実験されちまう!」


「安心しろ。実験はされない」


「へっ?」


 そして俺達は家を出た。


「おい! 連れていけ! 置いて行くな!」

「この子達だけでも!」


 どうせ碌な事にはならない。俺達はその屋敷を離れつつ、俺が振り向きざまに剣技を放つ。


「大地裂斬!」


 その屋敷ごと深い地面の割れ目に落ちて行った。建物が崩壊し、その上に岩が降り注いでいく。俺が気配感知を巡らせていると、四人の家族の気配は消えたのだった。


「ファーマー社の奴らびっくりすんだろうなあ」


「研究所と同じ剣技を使った」


「いや。日本刀でやったなんて誰も思わねえよ」


 それを聞いてクキも言う。


「恐らくは未知の兵器を使われたと思うだろうな」


「そうか……」


 日が沈んだ事で、今度は逆に冷え込んできた。だが太陽光に焼かれて進むより、この方がいくらかマシだろう。少し進んで行くと、荒野に光る目がチラホラと見えた。


 それを見て俺が言う。


「動物がいる」


 すると助けた男が言った。


「このあたりにはイノシシがいるからな」


「そうか」


「しかし車は助かった。足腰弱ってる人らもいるし、うちの娘ももう限界だった」


「あいつらも少しは役に立ったという事だ」


「……あんな酷い目にあわされたあの二人は……助かるだろうか?」


「血が足りてない」


「都市まで持つかどうかという事か」


「そうだ」


「せっかく逃げられたのに……」


 そのあと、男は話をやめた。満点の星空が輝き、俺達の周りには車のライトだけがある。寒くなって来たので、歩ける奴らは足早に歩き始めた。するとライトで照らされた先を見ていたタケルが言う。


「道路だ! どうする?」


 そこでクキが言う。


「道路を行こう。もしかすると車が通りかかるかもしれん」


 そして俺達が道路を歩き始め、一時間もしないうちにヘッドライトが見えて来る。


「おーい!」

「止まってくれ!」


 だが、ぞろぞろと人が歩いている異様な光景に、その車は通りすぎて行ってしまった。


 タケルが笑って言う。


「はは……そりゃこんなところで、怖えよな」


 オオモリが言う。


「携帯の電波来ました!」


 それを聞いた皆がホッと息を吐いた。すぐに助けた父親が言う。


「911に!」


「わかりました」


 オオモリが電話をかけて、シャーリーンが電話口で話をする。


「すみません。観光バスが横転して、大勢の怪我人がいます。いま歩いてロズウェルに向かっているところです。ここは70号線のハイウェイ。西に向かって歩いています」


「わかりました。先ほど他の人からも通報が入っています! それでは、その場所を動かないようにして下さい。緊急車両を向かわせます!」


 なるほど。さっき通過した車は通報だけはしてくれたらしい。


 そして俺達は歩くのをやめた。そこに座り込んで数十分待っていると、道の向こうから赤いランプを輝かせた車が走って来るのが見えた。


 そこで俺が言う。


「余計なのがくっついて来た」


「なんだ?」


「ドローンのようだ」


 剣を抜き放った。


「空接瞬斬!」


 夜の空を飛んでいたドローンが、バラバラになって落ちて行く。そうしてようやく救助隊が駆けつけて、病衣を着た生存者達みて驚いているのだった。

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