表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

515/661

第515話 華麗な尾行の撒き方

 アトランタに向けて飛ぶ飛行機の中で、何処に着陸するべきかの話し合いをしていた。アトランタの空港になど降りればまた拘束されてしまうだろうし、街中に降りても目立って警察が来るだろうと皆が言う。更にはファーマー社や米軍の追跡がある可能性もあり、どうにかして誤魔化す必要があった。


 そして、逃走作戦を考えたオオモリがスマートフォンをかざす。


「このあたりが良いんじゃないでしょうか?」


 それにタケルが答えた。


「アトランタ・モータースポーツパークか。いいね」


「でしょ」


 そしてそれをクキに告げた。


「九鬼さん。モータースポーツパークとやらに飛行機を降ろせますか」


「やってみよう」


 しばらくしてクキが言う。


「見えた。あれだな」


「あー。上から見るとそんなに大きくも無いですね」


「問題ない。良い直線があるから、あそこに降りてみよう」


 高度をどんどん落として行くと、場内を走っているスポーツカーが見えた。だがクキはお構いなしに、そのスポーツカーの後ろに飛行機を降ろして行く。


 タケルが大笑いする。


「おお! 焦ってんぜ!」


「もっと飛ばしてもらわんとぶつかる」


 だが車達は大慌てで横の砂地へと外れて行った。そこを堂々と俺達のプロペラ機は走っていた。


 クキが大声で言う。


「皆! 逃げる準備をしとけ」


「「「「「「了解」」」」」」


 飛行機が止まり、ハッチを開いて全員が一気に降りた。そして目もくれずにクキが走り出し、皆がそれに従ってついて行く。森林地帯に入り込み、振り向けば飛行機の周りに人が集まってきていた。


「びっくりしてるぜ」


「そりゃいきなり飛行機が下りて来たらな」


 そんな俺達の会話を聞きつつもクキが言う。


「武。お前の出番だ。こう言う所にはトラック的な物はないか?」


「多分、車載トラックがあるだろ」


「そいつを頂こう」


「りょーかい」


 俺達は建物がある方に進み、雑木林からフェンスを壊して中に侵入していく。


「ここいらにあるのは乗用車。あっちにガレージがある」


 青い屋根のシャッターが開いた建物がずらりとある。タケルがそちらに進み、車を見ながら言う。


「カッコイイ。マッチョなスポーツカーがずらりだ。飛行機騒ぎで皆がではらっちまってる」


「今はそれはいい。人数が乗れないからな」


「へいへい」


 タケルは後ろ髪を引かれるようにそこを通過し、その奥の方に目的の車を見つけたようだ。


「車載トラックみーっけ」


 だがその周辺にはチラホラ人がいた。それを見てクキが俺に指示を出す。


「ヒカル。あれ全員眠らせてくれ」


「ああ」


 認識阻害で近づいて、働いていた三人ほどを眠らせた。直ぐにタケルがエンジンをかけて皆を呼ぶ。


「車載トラックの後ろは剥きだしだ。あぶねえから皆どこかに捉まって乗ってくれ」


「武! 押さえるとこないんですけど」


「わりい! 九鬼さんとヒカルで何とかしてくれや」


 だが俺が見ても捉まるところは無さそうだった。


「みんな中央に座って乗れ。振り落とされそうになったら俺が何とかする」


 皆が中央による。エイブラハムが面白そうに言った。


「転げそうじゃわい!」


「大丈夫だ。俺が落とさない」


「とにかくへばって乗れば大丈夫じゃろ」


 そして車載トラックは駐車場から街道に出た。道はそれほど広くはないが、車がすれ違う事は出来そうな道だった。オオモリが窓から顔を出してこっちに言う。


「数キロ先に、ドーソンビルという町があります。そこで車を乗り変えましょう」


「了解だ」


 俺達の車載トラックが街に到着すると、タケルがトラックを停めて言う。


「あそこのドライブインに、飲料水のトラックが停まってる。あれをやるぜ」


 そして皆がそこで降り、タケルと別れて違う場所で待っていると、飲料水の印刷されたトラックに乗ってタケルがやって来た。


「後ろに乗れ」


 皆がトラックの後部ハッチを開けて乗り込む。オオモリがハッチを締める時に言った。


「この先にシルバーシティとか言う街があります。そこで車を乗り換えます」

 

 そしてクキが段ボールから、缶ジュースを二つとって言う。


「武と飲め」


「あ、はい」


 そしてトランク内のランプをつけて、俺達の段ボールから飲み物を取ってジュースを飲んだ。しばらくするとトラックが停まり、後ろのハッチが開けられる。


「降りてください!」


 俺達が下りて歩きだす。長閑な農村地帯で、家と家の間にだいぶ距離があるようだった。そこを歩いているとシャーリーンが言う。


「馬牧場ですね。どこかに馬を運ぶトラックがあるかと」


 タケルが言う。


「んじゃ、そいつを頂こう」


 そして探し回ると、馬小屋の裏手に小型のトラックがあった。タケルは直ぐにエンジンをかけ、俺達がその後ろに乗り込むとオオモリが言う。


「この先にマットという町があります。そこでまた乗り換えましょう」


「了解」


 そしてまた数十分後、俺達は車を乗り捨てる。


「ガススタに、トラックがいる。あれを頂く」


 タケルがそう言って走って行った。俺達もついて行き、荷台に乗り込み出発すると、ガソリンスタンドの中から慌てて走り出してくる人がいた。恐らくはこのトラックの運転手なのだろう。


 そして俺達はカミングという町でまたトラックを下りる。そうやって車を乗り継ぎながら乗り捨て、アルファレッタという所に来たところでシャーリーンが言った。


「ここまで来れば、組織の者と合流出来ます。あと車を盗むのはやめましょう」


 皆が頷いた。そして俺達はそこの町の、大きなショッピングセンターに紛れた。


「ここまで細かく乗り継げば、警察も車をすぐに見つけるだろうし、そう大きな事件にはなりません」


 オオモリが言い、マナが感心したように答えた。


「あんたも、いつの間にかずる賢くなったもんよね」


「そりゃ、揉まれましたから」


 オオモリのスマートフォンで連絡を取り、一時間の後にシャーリーンがカリムの組織の人間を呼んだ。


「ありがとう」


「いえ。指示ですので」


 そう言ってカリムの手先は、やって来た車に乗って行ってしまった。俺達は用意されたキャンピングカーに乗り込み、アトランタを目指す事になる。


 シャーリーンが用意したキャンピングカーの中には、全員分のスマートフォンとノートパソコンが置いてあった。衛星通信の機器や米ドル札も詰みこんであり、しばらくは困らなそうだ。


 パソコンを開いて弄り始めるとオオモリが言う。


「申し分ないですね。こんな短時間に、なんでこんなスペックのパソコンを用意出来るんでしょう?」


 するとシャーリーンじゃなくてタケルが言う。


「石油王ってのはすげえんだよ。俺達にとっちゃ神様みてえなもんだ」


「なるほどです。とりあえず、全員のスマートフォンを再セッティングします。それと、愛菜さんは自衛隊に通信を繋いでください」


「わかったわ」


 そしてクキが言う。


「手際が良いな大森。とりあえずは全体の状況を掴むことからか?」


「後手に回りたくありませんから」


 オオモリが準備をしている間に、俺は完全結界に詰め込んだ試験体を出す。


「アビゲイル。コイツはどうするつもりだ?」


「アトランタの本部に潜入して、解析と対策を打てればと思います」


「敵地ではあるが」


「そこは。お任せします!」


 すると皆がニヤニヤしている。


「なんだ?」


 するとミオが笑って言う。


「みんなね。ヒカルならどうにかしてくれるって思ってるのよ。アビゲイル博士もそう」


「そうか」


 そこでシャーリーンが俺に言った。


「あら。ヒカルさん。クーラーボックスに、レミーマルタンが積んでありますわ。それに新調したル〇ヴィ〇ンのスーツもあるようです」


 そう言って、美味そうな酒のボトルを見せて来る。


「……もらおうか」


 俺はキャンピングカーで、久しぶりにうまい酒を飲み始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ