表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

511/661

第511話 罠の可能性

 敵を目指して走っていたが、気配感知で感じ取る相手の動きに違和感を覚えた。


「タケル。停めろ」


 キキキ!


「どうした?」


「俺の推測だが、おびき寄せられている。敵の動きが明らかにおかしい」


「マジかよ」


「自分達が追跡される事を知っているような動きだが、俺は前世でそんな魔人と戦った事がある。さも自分達が追い詰められているような感じに俺達のパーティーを誘い込み、巨大な白竜をぶつけて来た。これはそれに似ている気がする」


「なんだと? 新たな試験体の可能性があるって事か?」


 後部座席のアビゲイルが言う。


「あり得ますね。彼らの薬品も強力ですし、彼らは最新のAIで予測している可能性があります」


 タケルが頭を掻きむしった。


「くっそ、スマホねえから大森に連絡の取りようもねえ! アイツならどうにか出来るだろうによ!」


「そうですね……」


「ヒカルよう……ここでむやみに追うのは得策じゃねえな。むしろ仲間も心配だ」


 そこで俺が答える。


「その通りだ。オオモリ達を探そう」


「そうしようぜ」


 このまま敵の懐に飛び込んでもいいだろうが、恐らくは今までと同じようにその場だけ壊滅させて終わる気がした。大したこと無い敵だとはいえ、アビゲイルがいる以上は用心に越したことはなかった。


 ブオン! キキキキキ!


 タケルは車をふかして、道を後戻りし始める。


「やべえ、地図がねえから何処を走ってるか分からねえぜ?」


「俺の気配感知には、人とゾンビが入り混じっているだけだ。仲間達の位置は分からん」


「考えましょう。ミスター九鬼がどう考えるかを」


「まずは地図だ」


「ミスター武。ショッピングセンターがあるわ」


「地図を手に入れようぜ!」


 車はショッピングセンターの駐車場に入るが、人々が入り乱れて争乱が起きているようだった。


「ゾンビか?」


「いや違う。ゾンビの気配はない、人間が騒いでいるようだ」


 入り口付近に人が集まっているが、中に入れずにいるようだった。車を降りて俺達がそこに行くと、市民達が騒ぎを起こしている。


 タケルがその辺りの人に聞く。


「なんだ? こりゃどうなってんだ?」


「フェイエッとビルの市街地が、ゾンビだらけなんだよ! だからここに避難して来たんだが、いっぱいだからと中に入れてくれないんだ!」


「なんてこったい」


 それを聞いてアビゲイルが言う。


「一理ありますね。ここで食い止めれば、中の人だけは助かる可能性もあります」


「いや。まだゾンビ来てねえし」


「そうですね……」


 次々に車が入ってきて、走って逃げてきている人らもいるようだった。


 そこで唐突に俺とタケルとアビゲイルが、何かに気が付いて顔を合わせる。


「人を助けようとするならば」

「空港」

「そうだぜ!」


 そしてアビゲイルが、市民の一人に聞いた。


「空港はどこかしら! 空港なら多くの人が逃げ込んでいるかもしれない!」


 数人がこちらを向いた。そして色黒の子供を抱いた色黒の母親が聞いて来る。


「どういうことです?」


「空港は隔離しやすいから、ゾンビの侵入が押さえられるかも」


「そうか……」


 すると白人の男一人と老人の夫婦が、こちらに聞いて来た。


「それは確かか!」


「空港は、ゾンビ被害が押さえやすい場所だわ」


「そうか」


「私達は旅行客だけど、空港への戻り方を知らないの」


 すると白人の男が言う。


「俺についてこい!」


 老人夫婦が不安そうな顔をしていると、白人の男が言う。


「あんたらも乗れ!」


 そしてタケルが黒人の母親に言う。


「あんたらはこっちだ!」


「は、はい!」


 不安そうな黒人の子供に、アビゲイルが微笑みかけて言う。


「大丈夫よ」


「うん」


 そして俺達は、白人の男について空港に向かう。だが少し進むにつれて、車が激突していたり火事が起きていたりしていた。道路が乱雑になっているので、ゆっくり進むしかなかった。


 街のあちこちで、窓を割る人間などがいる。


「火事場泥棒ですね」


 タケルが窓を開けて叫ぶ。


「そんなことしてたら死ぬぞ! 今は南か空港に逃げろ!」


 しかし誰も聞く耳はもたない。俺達は前の車を見失う訳にはいかず、放っておくしかなかった。


 それから三十分もかからずに、空港が見えて来た。


「マジか……」


 俺達が見る空港の前には、大量のゾンビが押しかけてきており、今にもバリケードが破られそうになっていた。俺達の車が近づいた事で、数体のゾンビがこちらに気が付き突進してくる。


「駆除する」


「任せた」


 俺が車を降りると、前の車に乗っている白人男性が窓を開けて叫んだ。


「ダメだ! もうゾンビが着ている! 逃げるぞ!」


「待て!」


 ゾンビが来たので剣技を繰り出した。


「刺突閃!」


 ゾンビが倒れる。それに気が付いたゾンビが、次々にこちらに走って来た。それを見て白人の男は、車を急発進させて戻って行ってしまった。


「くっ」


 俺は突進してくるゾンビと、その先に集まっているゾンビに向かって村雨丸をかまえる。


「飛空円斬!」


 目に見えている範囲のゾンビが崩れ落ちた。そして俺は、タケルに向かって手招きをする。車がこちらに来て、タケルが窓から顔を出した。


「正面につけるか?」


「そうだな。ゾンビが大量に倒れたのを見れば気が付くはずだ」


 俺が前を歩き、後ろをタケルの運転する車が付いて来る。空港の入り口には物が詰みあげられ、バリケードが設けられていた。そして俺がガラスから中を見ると、こちらに近づいて来る奴がいる。


「クキだ」


「ビンゴ!」


 すると後ろから仲間達もやってきて、入り口に陣取っている奴に説明をしている。しばらく待っていると、入り口の物資をどけ始め入り口が開いた。


「ヒカル! 良く分かったな!」


「今までのとおりさ」


「なるほど。テレビは見た。どうやらアイツらは、またやってくれたようだ」


 そこでアビゲイルが言う。


「今度の薬はより強力でした。あっという間に拡大してしまっている」


「そのようですね。とりあえず中へ」


 そうして俺達は黒人の母子を連れて、空港へと入り込んでいくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ