第506話 アメリカ軍の基地で仲間と合流
俺とタケルは、フォートリバティ基地のあちこちで暴れまくった。そのおかげで軍人たちが、臨戦態勢にはいっている。
「おーおー。めっちゃ騒ぎになって来たな」
「ヘリコプターが飛んで来た」
「兵隊達も、なんでこんなめちゃくちゃ、ぶっ壊れてるか分からねえだろうな」
「一般市民もいるようだが」
「おそらくは兵隊の家族だろ?」
「なるほど」
基地はサイレンが鳴り響き、物々しい雰囲気に包まれている。俺達は一つの建物の屋上に隠れており、周りを兵隊が囲んでいた。その為に一時騒ぐのを止めて、息を潜めて周りを確認する。
「ヒカルが暴れりゃ軍人がいっぱい死んじまうからな。このあたりで止めといたほうがいい」
「そろそろ仲間達と合流してみるか」
「周りを囲まれているけどな」
「人がいない方角に向けて、また剛龍爆雷斬を撃つ」
「なーるほど。そしたら兵隊はそっちに行くか」
「やってみるぞ」
屋上から人のいない方角に向かって、剣技を放つ。
「剛龍爆雷斬」
遠くで大きな爆発が起き、周辺にいた兵士達が避難するように隠れた。
「おー、ヘリコプターがあっちに飛んでったぜ」
「いくぞ」
俺とタケルは一気に走り、屋上から道向かいの建物に飛んだ。それから直ぐ建物から地面に下りる。軍人たちは爆発に気を取られているらしく、一斉に走り去って行った。
「走れタケル!」
「おう」
俺達は一気に、仲間がいるだろう方角へと進んだ。
「こっちにも部隊がいるな」
俺達は、周囲を兵士に囲まれている建物を見つける。
「タケル。あれだ」
「あーあ。囲まれてるな」
「逃げられなかったらしい」
包囲している兵士達は、拡声器を使って建物の方に叫んでいる。
「もう逃げれない! 大人しく投降しろ!」
それを聞いて、俺とタケルが顔を合わせる。
「ビンゴだなヒカル」
「ああ。間違いない。ミオ達の気配がする」
「兵隊だらけだぞ」
「制圧するしかない」
「へいへい」
俺とタケルは一気に、囲んでいる兵隊の後ろから突入し、次々に投げ飛ばして行く。人が飛び始め、兵士達は何が起きているのか分からないうちに道を開けた。
「な! う、撃て!」
「タケル。先に建物に突入しろ」
「りょーかい」
タケルが先に行き、俺は金剛と結界で身体強化する。俺めがけて軍人たちが機銃を撃ち始めるが、俺はタケルが建物の壁を破壊して中に入るまで待った。
「よし」
そして俺は、その場所から消える。
直ぐにタケルと建物の中で合流し、仲間の気配のする方へと走った。
「助かったぜ」
「ゾンビと違って、兵士を殺すわけにはイカンしな」
「そうだな」
「こっちだ」
いくつかの角を曲がると、兵士達が通路に倒れているのが見えた。
「あらら。大変だ」
タケルが人ごとのように言っている。
「この倒れた兵士達を辿って行けば、クキ達がいるだろう」
「だろうな」
二人が倒れた兵士達を辿っていくと、奥から突然声がした。
「止まれ! こちらには人質がいる!」
そこでタケルが言った。
「俺だよ! 俺!」
すると部屋の扉が開き、そこからクキが顔を出す。
「来たか。入れ!」
俺達がその部屋に入ると、仲間達もみんな集まっていた。
「ヒカル!」
「武さん!」
「無事じゃったか!」
床には縛られた軍人が座らせられており、仲間達が銃を構えて狙いをつけている。
そしてツバサが言う。
「やっぱり。ヒカルの剣技の音だったわ」
「翼の言った通りだな」
「でしょ」
するとタケルも俺に言う。
「本当だ。ヒカルの言った通り、翼なら分かるって」
「やはりな」
そこでミナミが言う。
「感動の再会は良いんだけど、これ…どうするの? 周りを軍隊に囲まれてるのよ」
それを聞いた、縛られている兵士が言う。
「そうだ。悪い事は言わん! 投降しろ! この基地は最大の軍事基地だぞ! 特殊部隊も多数存在している! 絶対に逃げられん」
だがオオモリが言った。
「さっきまで無理かなって思ってたんですけどね、たった今絶対に大丈夫って確信に変わりましたよ」
「仲間が二人、増えたところで何も変わらんぞ」
「いや。状況が変わりました。一時はどうなる事かと思いましたけど」
「お前達、死ぬぞ!」
「そうそう。さっきまでは本当にそう思ってましたよ」
すると、もう一人の軍人が言う。
「やはり、お前達はテロリストだな?」
「ですから違いますって」
「ゾンビウイルスをばら撒いたんだろう?」
「逆ですって。その逆! 救いに来たんですって」
「なぜこんな事をする?」
「あなた達が、我々を捕らえたからでしょ?」
「ニューオーリンズは大変な事になっているんだぞ」
「だから、それをどうにかしようとしたんですってば」
オオモリが必死に説明をしている。そこでアビゲイルが言う。
「無理ですミスター大森。アメリカに情報は回ってないのですから」
「それもそうですね」
そして俺が、アビゲイルに近寄って耳打ちする。
「正体はバレてないのか」
「バレてないわ。シャーリーンさんが用意してくれていたパスポートのおかげ」
「それは不幸中の幸いだな」
「ええ」
そしてクキが言う。
「これから、どうするか?」
「兵士を殺したくはない」
「それはそうだな」
そこで俺はじろり、縛られている兵士達を見る。
「人質を使おう」
だが兵士が言う。
「無理だ。狙撃されるぞ」
「その前に何とかすればいい」
だがクキも言う。
「アメリカ特殊部隊を舐めてはだめだ」
そこで俺は考える。
「なら軍の装甲車を奪う。皆でそれに乗り込み、俺が車の天井に乗って逃げる」
「いや、それだと軍はどこまでも追跡して来るぞ。アメリカに逃げ場は無くなる」
そしてオオモリも言う。
「そんな事になれば、アメリカ中が大騒ぎでしょうねえ」
「アメリカが大騒ぎ?」
「ええ……」
そこでみんなが静まり返る。少し考えて、皆が一つの答えに辿り着く。
「そしたら報道が集まるわよね?」
「その通りですね」
「じゃあ……」
「決まりだな」
そこで俺が言う。
「なら、この建屋に入っている奴らをひとまず静かにさせてくる」
「そうか。特殊部隊が入り込んでるか。ヒカルに来てもらって良かったよ」
「まっていろ」
俺はすぐにその部屋を出て、建物に入っている軍人たちを制圧に向かうのだった。




