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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第502話 仲間達の行き先とギャングスターとの別れ

 俺達が乗る船は、ギルバート大佐と言う奴が指揮している船に接触した。だがこの船は市民達が占拠しているため、甲板に軍人がいない。それに対して相手の船は、甲板に軍人が銃を持って並んでいた。


 既にこちらの異変に気が付いて、銃を持った軍人たちがピリピリとしている。


 艦橋では、その船と通信が繋がっていた。


「どういう事だ? なぜ兵士が艦上にいない?」


「すまんがギルバート。この船は市民に占拠されてしまった」


「なんだと!」


「もう一つ付け加えて言うが、そちらも降伏した方が良い」


「馬鹿な! 何を言っている?」


「言葉通りだ」


「意味が分からん」


 そこでギャングスター、フランキーが通信を変わる。


「大佐さんよお。こちらアメリカの一般市民だ。悪い事は言わねえ、痛い思いをしたく無きゃ降参した方が良い。俺なら間違いなくそうする」


「な、貴様は! 何者だ! テロリストか!」


「いや、アメリカ市民だ」


 そしてタケルが俺にこっそりいう。


「埒があかねえみたいだせ」


「そのようだ」


 するとフランキーが言う。


「おりゃ、忠告したぞ」


 そしてマーティー大佐も変わって言う。


「ギルバート。信じられない話だが本当だ」


「狂ったか?」


「じきに……わかる」


 その言葉を聞いて、俺はすぐに船の外に出て行った。隣の船を制圧するまで三十分、全軍人を眠らせたところでタケルに合図をした。


 タケルはこっちに手を振り返す。隣の船はフランキー達ギャングに任せ、タケルがこちらの船に飛び移って来た。既にタケルのジャンプ力は、この世界の人間のジャンプ力では無かった。


「殺してはいないよな?」


「一人も死んでいない。ひとまず市民を開放しよう」


「おう」


 そして俺達が市民がいる船底に行き、今起きていることを告げる。それにタケルが付け加えた。


「兵隊さん達も致し方なくやった事だ。傷つける事の無いように、奪った銃はそこにあるがむやみに撃つな」


「わかった」


「そしてもう一つ。アジア人の集団を見なかったか」


「いや…見ていない」


「見てない?」


 その男は周りの奴らに尋ねる。


「アジア人を見たか?」


「見てないわ」

「見てないねえ」


「そうかい」


 どうやら、ここにはクキ達はいないようだった。


「位置的にはこの艦じゃないのか?」


「分からねえ。スマートフォンは没収されたか、電源がきられてる。位置が全くつかめなくなった」


「電源を落としたか」


「大森なら遠隔でもつけられるんだがな。おりゃその方法が分からねえ」


「なるほど。ならこの船の艦長に聞くしかあるまい」


「行くか」


 既に、艦橋にいる奴らの意識は刈り取って縛りあげた。だがタケル曰く、軍人なので脱出する技術はあるだろうと言う事だった。


 上に行こうとすると、なるほどタケルが言った通り、目覚めて脱出した兵士達がいるようだ。


「また仕留めればいい」


「その、何度も失神させて、脳みそとか大丈夫なもんなのかね?」


「どうだろう。考えた事も無い」


「だろうね」


「銃を撃たれても危ないから、動いている奴は止めて来る」


「へいへい」


 俺はすぐにその場に行き、自由になった兵士達を再び失神させる。これで脳が大丈夫かとか言われても、俺にはよくわからない。すると遅れて、俺のところにタケルがやって来た。


「いい夢みてると良いんだけどな」


「しらん」


 そして俺達が艦橋に戻り、縛ったギルバート大佐を起こす。


「起きろ」


「う、うう」


 ぼんやりと俺達を見つめ、自分が縛られている事を確認する。


「マーティー大佐の言ったとおりか」


「そうだ」


「一体何者だ?」


「旅行者だよ」


「旅行者? 大規模なテロ組織の間違いじゃないのか?」


「俺達二人だよ」


「二人…だと?」


「そうだ」


「そのような戯言を信じれるか!」


「まあいい。それよりちょっと聞きたいことがある。ニューオーリンズから脱出して来た人らに、アジア人の集団が居なかったか聞きたい?」


 するとギルバートはピクリとする。それを俺は見逃さなかった。


「知らん」


 俺はギルバートに、使い方も分からん銃を突き付けて言う。


「知ってると顔に書いてある。どこに行ったか教えろ」


「撃て。絶対に言わん」


「ならお前は寝ていろ」


 ガッ! とりあえず意識を刈り取る。殴ってばっかりいて、頭が馬鹿になったら申し訳ないが。


「知ってそうか?」


「コイツは知っている」


「どうするよ」


「良い事を思いついた」


 そして俺は、ギルバートの偉そうな制服を脱がせ上半身を裸にした。両手を天井の出っ張りに結び付けて吊るす。次に自分の指を切って、ギルバートのおでこや体に血の丸をつけていく。


 タケルが手を叩いて笑う。


「おっかねえ! ハチの巣にされたみたいに見える!」


「よし、次はどいつを起こすか?」


「そいつ、偉そうじゃね?」


「よし」


 そしてもう一人の制服を起こした。


「う、うう……」


「動くなよ」


「な、なんだ。どうなっている?」


「この船をシージャックした」


「か、海兵隊の船だぞ!」


 タケルがにやりと笑って言う。


「そんな事はどうでもいい。それより、あれを見ろ」


 そう言って、吊り上げたギルバートを見上げる。


「艦長! 貴様ら!」


「残念だよ。艦長も素直に吐いてさえいれば、こんな事にはならなかったんだ。あんたは答えてくれるよな?」


「やめてくれ! なんだ? 何を答えればいい!」


「簡単な事だ。アジア人の集団が乗っている船を拿捕しなかったか?」


「連絡はもらっている」


「なんでこの船にのってねえ?」


「怪しいからだ。このゾンビ騒ぎの首謀者候補に上げられて連行された」


「ゾンビの主犯?」


「そうだ。どう考えてもアジア人の集団なんておかしいだろ。あんたらそいつらの仲間か?」


「そうだよ。というか、アジア人ってだけでそんな仕打ちを受けるのか?」


「お前達は知らんのか? アジアと言ったらゾンビ発祥の国、ジャパンがあるだろ」


「はあ? だから捕らえたと?」


「そうだ」


「発祥の国とはいただけねえな。他にもアジア人がいるだろ?」


「ほとんどが連行されたよ」


「人種差別も甚だしいな」


「いや…むしろそれは確定じゃないか?」


「俺達がゾンビをばら撒いたって言いてえのか?」


「そうだ」


 タケルが銃を取り出して、引鉄に指をひっかけながら額に突き付ける。


「安全装置を外さねえなんてドジは踏まねえぜ」


「や、やめろ!」


「むしろ、あんたがゾンビを撒いたんだろ?」


「何を言ってる? ば、馬鹿な!」


 タケルはおでこから銃を外し、どこかめがけて一発撃った。


 パン!


「ひっ!」


「あ、ちゃんと弾は出るみたいだな。流石はアメリカ海兵隊の銃だ」


 そう言って額に銃を向ける。


「ほらほら、ゾンビをまき散らす狂気の人間だぞ。引鉄なんて軽いぞ! 船長のようになりてえか?」


「わかった! 言う! 止めてくれ!」


「いい子だ」


「フォートリバティだ! ノースカロライナのフォートリバティ基地だ!」


「間違いねえな」


「間違いない!」


「わかった。サンキュ」


 だが男は笑う。


「くっくっくっ! 驚いたか?」


「なにが?」


「フォートリバティ基地は米軍最強の基地だ。五万人以上の職員が務める世界最大の軍事基地だよ。アメリカ陸軍特殊作戦コマンドのある場所だ。それを知ったところで、お仲間をどうにかする事なんて出来ない場所だよ」


「あっそ。どうでもいい情報だったぜ」


「は?」


「もう寝て良いよ。他の奴にも聞くから」


「答えは同じだ」


「んじゃ」


 俺がコツンとそいつの意識を狩る。念のため数人にも聞いてみるが、全員が同じ事を言った。


「まちがいねえか……」


「そこに行こう」


「だな。つうかギルバートとか言うおっさん、あのまま裸で吊るしてたら風邪ひくぜ」


「そうだな。下ろしてやるか、少し歳もとっているようだ」


「そうしようぜ」


 俺達はギルバートを下ろし、服を着せて縛り直す。そして元の船に戻り、マーティー大佐に告げた。


「フォートリバティ基地に行きたい」


「だめだ。流石に撃沈される」


「そうか…ならまず、隣の船の一般市民も連れて、安全な所で下ろしてやりてえ」


「それならやろう」


「んじゃ、連れて来る。フランキー! 一般人をこっちの船に移すの手伝ってくれ!」


「おう!」


 それから俺達がギルバートの船に乗っている一般人を、一つの船に乗せて直ぐにその地域を離れた。その後、何度も軍隊の接触があったが、俺が全てを制圧しフロリダの港に入港させる。そこで一人残らず市民らを下ろし、俺達もフランキー達も船を降りる事になる。


 最後にマーティー大佐に言う。


「すまなかった。あんたも責任を取らされてしまうだろう」


「いや。それを言ったら、あんたが制圧した船の乗組員全員だ」


 そこでタケルが言う。


「ゾンビが襲って来て、命からがら逃げたって事にするとか? 市民を守るためにどうしようも無かったとかって言えばいいんじゃね? だって、海兵隊の乗組員が一人残らず気絶してたんだぜ。そのぐらいの事を言っても、きっとバレねえと思うけど」


「さあな。だがこれだけは言って置く。あんたらは悪人ではなさそうだが、フォートリバティ基地は巨大な軍事基地だ。仲間を助けるなんて不可能だと思う。もう一つ言っておくが、あんたらは本当に市民を生かそうとしてくれた。だから死なないで欲しいとも願っている」


「サンキューな、おっさん。だけど、仲間を救わねえと第二、第三のニューオーリンズが出るんだ」


「いったい、あれはなんなんだ?」


「俺達が聞きてえよ。とにかく部下達にも痛い目を見せて悪かった。んじゃあな」


 そうして俺達は最後に船を降りる。すると一般市民とギャングたちが待っていた。


「あんたら! 助けてくれてありがとな!」


「何処にいても安全とは言えないが、このあたりにゾンビの影響は出ていない。皆で何とか生き延びるしかない」


「まあ、アメリカ国内だ。何とかなるさ」


「頑張ってくれ」


 そして、乳飲み子を連れた母親が言う。


「ありがとうございました。この子がミルクで、何とかお腹を満たす事ができました」


「そいつは良かった」


 そしてフランキーが言う。


「本当に行くのか? 滅茶苦茶でっかい基地らしいぞ」


「あー、船とあんまり変わんねえ」


「まあ……スーパーヒーローだもんな」


 それに俺が答える。


「勇者だ」


「何か分からねえが達者でな」


 そして俺達はギャングや市民達と別れて、一路フォートリバティ基地へと向かう事にしたのだった。

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