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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第501話 生存者を乗せた船

 兵士達を全て行動不能にし、武器を取り上げてあちこちの部屋に閉じ込めた。艦橋にいる人間達を縛り上げ、とりあえず俺が目覚めさせる。


「う、うう……」


 ギャングスターのフランキーが、偉そうな制服を着た奴に話をする。


「起きたか?」


「……お前達は何だ? テロリストか!」


「違う。善良な……とまではいかねえが、アメリカの市民である事に間違いねえ」


「市民? そうは見えんが」


「市民だよ! ていうか、なんで生き残った人らを助けねえんだよ」


「……」


 そいつは沈黙する。


「黙ってるつうことは、何かあるってこったな」


 すると制服の男が言う。


「ニューオーリンズに戒厳令が布かれている。それが解かれるまでは、市民を外に出すなという指示だ。そのように上から指示が出されている」


「なるほどね。まさか自分の国の軍隊から、爆弾を落とされる事になるとは思わなかったぜ」


「それも上からの指示だ。我々ではどうする事も出来ん」


「女子供やあんたの孫みたいな子も焼かれたんだ。その現場を見ても、同じことが言えるもんかね?」


「逆らえば、この船は沈められるだろう」


「なるほどね。あんたらも同じ穴のムジナって訳か……」


「我々は軍人だ。上の命令は絶対なんだ」


「そうかい」


 そしてフランキーはいったん部屋を出て、赤子を抱いた母親を連れて戻って来る。赤子は腹が減っているようで、母親が一生懸命あやしていた。


 フランキーは制服の縄を解いて、拳銃を渡した。


「んじゃ、撃てよ。ゾンビに感染してるかもしれねえぜ」


 制服は銃を取るが、次第に震えて銃を構える事はしなかった。


「どうした? 市民はニューオーリンズから出さねえんじゃねえのか?」


「いや……」


 フランキーが制服から銃を取り上げ言った。


「それよりも、この船の食堂にミルクくらいあんだろ? なあ、お偉いさんよ。その子供の腹を満たすために、ミルクを分けてやってくんねえかな」


「……わかった」


 フランキーが女の軍人の縄を解いて、制服がそいつに命じる。


「食堂に連れて言ってやれ」


「はい」


 銃を持ったギャングの手下二人と共に、赤子を抱いた母親を連れて軍人が出て行った。


 そしてフランキーが俺達を見たので、タケルが代わりに話始める。


「都市部ではゾンビが大量に死んでるよ。かなり数を減らしたし、じきにゾンビはいなくなると思う。都市の出口では軍隊が銃を構えて待ってるようだが、内部に侵攻してゾンビ掃除するように上層部につたえてくんねえかな」


「わかった。伝えよう」


 制服が立ち上がり、無線機を取って繋いだ。


「こちら第四艦隊、沿海域戦闘艦のマーティー大佐だ。本部応答されたし」


「どうしました大佐」


「ニューオーリンズ都市部で、ゾンビの沈黙が確認された。陸軍に調査要請を依頼する」


「了解」


 それを聞いてフランキーが言う。


「大佐さんよ。助かるぜ」


 すると大佐が苦笑いして言う。


「私にも孫が居てね、さっきの赤ちゃんより少し大きいかな。だけど君の忠告で、私もやるべき事があるようだと分かった」


「それじゃあ、船を動かせるだけの人を開放するからよ。離れ小島でもどこでもいいから避難させてくんねえか」


「わかった」


 フランキーが俺を見るので、俺は制服に言った。


「艦橋にいる者達は人質だ。何かおかしなマネをしたら、ここにいる者の命は無い」


「わかっている」


 マーティー大佐の指示の下で、船を動させるだけの軍人を開放する事にした。しばらくすると軍人達が動きだし、船が岸から離れて行く。沖に出て行くと無線が繋がった。


「第四艦隊、沿海域戦闘艦。持ち場を離れているようです。確認をお願いします」


 だがマーティー大佐はそれを無視し、黙って船を進めていた。他の軍人が、不安そうな顔でマーティーに言う。


「大佐。どうします」


「我々もアメリカ市民だ。市民を守る義務がある」


「「「「イエッサー!」」」」


 艦橋にいる奴らも、その応答を無視する事にしたようだ。だがまた無線が繋がった。


「第四艦隊、沿海域戦闘艦。マーティー大佐、任務海域を外れています。応答してください」


 それでもマーティーは返事をしなかった。


 すると画面を見ている軍人が言う。


「艦艇が近づいております」


「確認しに来たんだろう」


「このままじゃ沈められますよ」


 そしてマーティーは俺達の方を見て言う。


「これが軍隊だ。どうするね? 我々も市民も皆死ぬことになる」


 だが俺が言う。


「死なんよ。とにかく安全な場所まで進んでくれ。軍隊は俺が何とかする」


「俺が何とか? 君は頭がおかしくなったのかね? 海兵隊が何千人もこっちに向かっているんだよ」


 すると、それを聞いたタケルが言う。


「あー、なんつうか。死にたく無きゃこの船に近づくなって言った方が良いぜ」


「死ぬのはこちらだと思うが」


「んじゃ、少なくとも水泳の準備はしておけって言っといたらいいかも」


「……わかった」


 するとまた無線がなる。


「マーティー大佐、船を止めてください。撃沈の指示が出ております」


「だそうだ」


「仕方ねえ。救命胴衣の準備をしろって言ってくれ」


 マーティーは初めて返事をする。


「近付く艦隊は救命胴衣の準備をしてくれ。水泳したく無ければこの船を通せ」


「容認できません。引き返してください」


「命令は聞けない。市民が多数乗っている。彼らを救出する義務がある」


「市民は外に出してはいけません。繰り返します。抵抗する市民は排除してもかまいません。市民をニューオーリンズから出してはいけません」


 するとマーティーは落ち着いて言う。


「君の階級と名前は?」


「ジョン通信兵です。階級は少尉であります」


「我々は、命を賭して問う。市民を見殺しにする事は出来ない。上層部にそう伝えるように」


「……わかりました」


 そして画面を見ている奴が言った。


「航空機も確認」


 そこで俺が言う。


「タケル。俺は外に出る」


「りょーかい」


 すると遠くに数隻の船が見え、上空に航空機が飛んで来た。いきなり攻撃を仕掛けてくる事は無く、船の周りをくるくると飛び回っているようだ。俺が艦橋に飛び乗って剣技でガラスをくりぬくと、中にいる奴らが目を丸くしている。


「いったん指示に従え。俺に策がある」


 するとマーティーが無線に言う。


「こちらマーティー大佐。船を泊める! 攻撃を中止されたし!」


 そして俺はタケルに言った。


「じゃあひと泳ぎして来る」


「いってら」


 仕込み剣を口にくわえて、甲板を走り一気に見えた船の方へとジャンプした。飛距離は足りなかったが、そのまま泳いで一番近い艦艇の甲板に飛び乗った。


「悪く思うな」


 俺はさっきの船と同様に、乗っている軍人の意識を刈り取っていく。三十分ほどかけて船を制圧し、こちらの異変に気付いて寄って来た船に向かって再びジャンプした。次々に船を行動不能にし、二時間もかからずに三隻の船は沈黙する。


 俺が泳いで元の船に戻り、艦橋に入って言う。


「攻撃は無い。船に近づけ」


 マーティー大佐があっけに取られている。


「ど、どういうことだ? なんであんたはずぶ濡れなんだ?」


 だがギャングスターがそれに答える。


「いいから、行けってさ」


「わかった」


 艦隊に近づいても、砲撃して来る気配はなく船と船の間に停泊させる。


 ずっと航空機からは警告が届いていたが、他の船が沈黙した事で異変を感じたようだ。


「第四艦隊応答せよ。一番艦! 二番艦!」


 そこでタケルが言う。


「答えねえよ。大佐、あの船はこの船と同じで、軍人は皆倒れてる」


「どういうことだ……」


「言ってもわからねえさ。それよりニューオーリンズから船で逃げた人らを捕えているはずだ。その船と合流してほしい」


「分かった」


 マーティーはまた無線を繋げる。


「市民を救助した。他にも、市民を救助した船がいるはずだ。応答されたし」


 すると無線が答える。


「こちらギルバート大佐だ。当艦に市民を乗せている」


「こちらもだギルバート。当艦は市民達を安全な場所へ連れていくつもりだ。そちらはどうする?」


「命令には背けない。このまま海上待機だ」


「わかった」


 そこでタケルが聞いた。


「今、答えた船の位置は?」


「東の湾岸沿いだ」


「そっちに向かってくれ」


「何がある?」


「市民達と合流したい」


「……了解だ」


 船は東に向かって進み始める。それに伴い飛行機もついて来るようなので、俺が剣技を振るう。


「刺突閃」


 軽く飛行機の羽を射抜くと、煙を上げて飛び去って行った。邪魔する者はいなくなり、そのまま東へと向かっていく。


「大佐。ギルバート大佐の艦影が見えました」


「通信を繋げ」


「はい」


「こちらマーティー大佐。ギルバート、まもなく接触するが撃つな! こちらにも市民が乗っている」


「了解だ」


 そうして俺達は、市民を乗せた艦艇へと接触したのだった。

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