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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第498話 大量救助と破壊された施設

 ギャングと生存者を引き連れてセーフティーゾーンを抜ける時、俺とタケルが技でゾンビを倒すのを見て、ギャングと生存者達が目と口を大きく開けて驚いていた。


 フランキーが言う。


「な、なんだ? それは特殊部隊の武器か!」


「そうだ」


「米軍はそんなものまで開発してんのか……」


「そうだ」


 なるほど、俺達の技を適当に解釈してくれているようだ。アメリカ国民は非常に自由な発想をするらしい。なので俺とタケルは気兼ねなく、ゾンビを倒す事が出来ていた。


「そ、そいつは俺達でも使えるのかい?」


 ギャングスターのフランキーは、俺達の力にとても興味深々のようだ。だがもちろん、普通の人が使えばなんの変哲もない日本刀とモーニングスターである。


 タケルが言う。


「残念ながら、特殊な訓練を積んだ人間にしか使えない武器なんだ」


「か、貸してみてくれ」


 タケルがフランキーにモーニングスターを渡す。


 フランキーがダッ! と走っていってゾンビに振るうが肩に当たり、逆に捕まえられそうになる。直ぐにタケルが行って、ゾンビを蹴飛ばすと物凄い勢いで吹っ飛んで行った。


「だろ? 訓練しなきゃダメなんだよ」


「わっ! わかった! そのようだ!」


「んじゃ、行くぞ」


「あんたらはまるで、マー〇ルに出て来るヒーローみてえだ」


 周りのギャングたちもうんうんと頷いている。ギャングと言うからには、ハイチで会った奴らのような者達かと思っていたが、まるで子供のように武器について話している。


「とにかく。バスかトラックを調達するんだ」


「わかった! おい! てめえら! バスかトラックを見つけたら俺に教えろ!」


「トラックが、ありました!」


「よし!」


 確かに強運だ。必要となったらすぐに見つかるとは、ギャングスターの言ってる事はまんざら嘘じゃないらしい。そこでタケルが言う。


「でも動くかどうか…」


「エンジンかかりました!」


 フランキーは当たり前のように思っているらしい。


「で、どうする?」


「皆を乗せて、外洋に繋がる場所まで行くんだ。俺達は最初にゾンビが始まったラフィートで降りる。そこまでは俺達がバイクで先導するから、そっから先は、その銃で皆を守りながら進め」


「聞いたか!」


「「「「「へい!」」」」」


 大きなコンテナに繋がったトラックは、渋滞に巻き込まれて停まっており運転席には誰もいなかった。後ろのハッチを開くと、中には段ボールに入った飲料が積み込まれていた。


 そしてタケルが言う。


「マジで強運だ。とにかく全員乗り込むんだ! 銃を持った奴らは天井に乗ってゾンビ対策だぞ」


「「「「「へい」」」」」


「飲み物は皆で平等に分けるんだ。こういう時はお互い様だからな」


「「「「「へい」」」」」


 俺がフランキーに尋ねる。


「手下は随分素直だな」


「あいつらは俺が認めた相手なら言う事を聞くんだ。俺は、相手が信用出来るか出来ないかが分かっちまうんだよ。だから、アイツらも素直に従ってるって訳さ。俺らは、そうやって生き延びて来たんだ」


「ならその運を、生き延びる為に使え。このまま海まで抜ければ助かる。怖いのは空爆だ」


「分かったよ」


 そして俺はトラックの道を開ける為、前方に出て剣技を振るう。


「推撃!」


 車が吹き飛んで、進行方向の障害物が消えた。俺達のバイクが進むと、トラックもそろりそろりと動き出してついて来る。推撃で車を飛ばしながら都市を抜けると、車の数が減りより進みやすくなる。すると突然、横道から車が走ってきてクラクションを鳴らした。


 俺達が停まると、その車の中から人が声をかけて来る。中を見ればどうやら家族のようだ。


「これは一体なんの集団だい?」


「避難しているところだ」


「わ、私達も連れて行ってくれ!」


「もちろんだ。ついて来い」


 その車がついて来る。すると、すぐに道端を武器を持って歩いている集団がいた。俺達がバイクを止めて、集団に声をかける。


「どこに行くつもりだ?」


「都市に向かおうと思っている!」


「だめだ。都市はまだゾンビが多く、空爆の対象になっている」


「そうなのか…」


「俺達と来い!」


「分かった!」


 また人が増えた。そうして進んでいると、次々に声をかけられて人が増えていく。まるで引き寄せられているかのように、大集団になって来た。


 タケルが俺に言う。


「変な感じだ」


「ギャングスターの強運というやつか?」


「分からねえけど、そうとしか言いようがねえぞ」


「そうだな」


 車に便乗し、トラックに乗り込んで飲み物を分け合っているようだ。見つけたゾンビは、俺が剣技で凪払い問題なく進んで行く。するとトラックからクラクションが鳴り響いた。俺達のバイクがスルスルと後退して、トラックの脇を並走する。


 フランキーが言った。


「こっから右に行くと、あんたらが言っていたラフィートだ」


「そうか。ならここからは皆で力を合わせて先に進め。海までは空爆しないだろう」


「あんたら二人で行くのか?」


 タケルが答える。


「ゾンビどころじゃねえ敵がいるんだよ。一般市民がいたら皆殺されちまう」


「わかった」


「フランキーさんよ。あんたの強運を見込んで頼むわ、生きてる人間を助けてやってくれ」


「分かったぜ! あんたらの幸運を祈っておく。またどこかで会えると良いな」


「ふはは、俺達になんか会わねえほうがいいよ。いつも危険な場所にいるんだからな」


「そうか…特殊部隊だもんな」


「んじゃな!」


「あんたらはいい奴だ。絶対に死ぬんじゃねえぞ」


「あんたらもな!」


 皆が手を振り、俺達を送り出してくれた。そして俺達はギャングと生存者の集団から離れ、試験体が運び込まれた可能性の高いラフィートへとバイクを走らせる。


「ギャングっつっても人間なんだな」


「そうらしい」


「何の商売してっか分からねえけど、これからはまっとうに生きてもらいたいもんだ」


「ああ」


 俺達のバイクが先に進むにつれて、ゾンビの気配が高まってくる。残り僅かな新型ゾンビ破壊薬は、温存しなければならない為、なるべく俺の剣技でゾンビを潰していく。


 そしてタケルがスマートフォンを取り出して言った。


「そろそろラフィートだ」


 俺達のバイクがスルスルと進んで行くと、ゾンビがバイクの音に惹かれてやって来る。俺の刺突閃で一つずつ潰していくと、ようやく最初の船着き場のようなところが見えて来た。


 そこでタケルが言う。


「潜水艦が乗り入れるような場所じゃねえな」


「情報で教えられたのは、どのあたりだ?」


「自衛隊が送って来た情報じゃもっと奥だ。リトル湖ってところだな」


「まずラフィートの町の中心あたりで、破壊薬を撒いてやろう。生存者がいれば生き延びれる」


「だな」


 ラフィートの町で数瓶の破壊薬をまき散らし、俺達は先に進むことにした。そしてようやくリトル湖に到着する。


「このどこかか?」


「九鬼さんに聞いてみる」


 タケルがスマートフォンで通話した。


「おれだ」


「今どこだ?」


「潜水艦の消息が消えた辺りにいる。だが範囲が広くてよくわからねえ」


「わかった。大森に予測演算させてデータを送る」


「了解」


 電話を切ってしばらくすると、データが送られてきた。


「なるほどなあ」


 タケルが見ている画面を見ると、地図にはヘリポートと書かれた場所があった。


「ヘリコプターでここから空輸するつもりだったのか」


「そうらしいぜ。その時に逃げられたんだろ」


「行ってみよう」


 バイクを走らせること数分、俺達の行く手は水に阻まれた。


「だめだ。どこ行っても湖にぶつかる」


「船を探そう」


「だな」


 俺達はバイクを捨てて、船を探す事にした。すると小さな船着き場があり、その辺りにもゾンビがうろついている。二人でゾンビを始末し、動きそうな船を探していく。


 するとタケルが見つけた。


「エンジンかかったぜ!」


「よし」


 船にはタケルが倒したゾンビが倒れており、どうやら逃げる途中でゾンビに変わってしまったようだ。それを水に投げ捨ててタケルが船のあれこれを触り、ようやく湖に進んで行く。


「なるほど。由美に教えておいてもらって良かったぜ」


「やるなじゃないか」


「持つべきものは、レベル千の勇者の友達と船舶免許を持った彼女だな」


「そうだな」


「冗談のつもりなんだがな」


「すまん。笑いどころが分からなかった」


「はは。スベッた」


 ボートがオオモリの指示した場所へと来ると、そこにはヘリポートの発着所があり、壊滅的に壊されていた。しかも湖には、軍服を着たゾンビがぷかぷかと浮いている。


「なるほど。水中にもゾンビがいるが、どうやら潜水艦が沈んだようだ」


「試験体が暴れたんだろ」


 タケルが岸に船をつけ上陸した。そこは壊されまくった施設と、ゾンビがウロウロしている場所だ。


「手掛かりを探すぞ」


「んじゃ、いきますかあ!」


 俺達が技を使って周辺のゾンビを駆除していると、壊れた施設のあちこちから軍服を着たゾンビが這い出て来た。俺達は虱潰しにゾンビを駆除していくのだった。

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