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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第490話 警察に捕まりそうになる

 どうやらザ・ベールの構成員は、アトランタに潜伏しているらしい。俺達がニューオーリンズに向けてバスを走らせている間に、ハンジと連絡が繋がり組織を動かすと言われる。


「やはり本拠地の近くで見張っているようだな」


 それを聞いてアビゲイルが言う。


「世界で戦っている人がいるのは、心強いです」


「そうだな。平和な世界に生きていると、そんなことには足を突っ込みたく無くなるもんだが、もしかするとアメリカ在住の日本人がいるかもしれん」


「早く接触したいものです」


 それから数時間後、俺は変わった物音に気が付く。


「なんだ…やたら飛行機の音がするぞ」


 クキがオオモリに聞く。


「いま、どのあたりだ?」


「ペンサコーラです」


「海軍基地があるな……」


「調べます」


 そのまま車が進み、皆にも飛行機の音が聞こえてくる。そしてオオモリが大声で言った。


「見てください! SNSで情報が出てます!」


 オオモリが出した映像は、人間が人間を襲っている場面だった。それを見て、俺達はすぐに何が起きているのか分かった。


 マナが言う。


「ゾンビパンデミックの前触れね…」


 クキが慌ててオオモリに聞く。


「そのSNSの情報はどの地域だ?」


「はは……残念なお知らせです。ニューオーリンズにほど近い、バラタリアという町です」


「くそ! あんなもんを、海上の基地から持ち込むからだ。潜水艦には制御できるだけのゾンビ化兵が乗っていなかったんだろう!」


「まずいですね」


「大森! ここからニューオーリンズまで、どのくらいかかる?」


「それも悪いニュースなんですが、三時間以上かかります」


「致命的だな」


 すると航空機が飛び去る音が、また聞こえて来た。


「米軍がどれだけ抑えられるかで、被害の拡大の仕方が変わってきますね」


「ドイツのように閉鎖して、包囲してくれればいいんだが」


「確かに」


「幸いニューオーリンズは地理的にも隔離しやすいはずだ」


 それを聞いて俺が言う。


「タケル、もっとスピードを上げろ」


「あいよ」


 高速道路をスピードを上げて走り始める。速くしなければ、より大勢の人がゾンビにやられてしまう。だがそんなに順調にはいかなかった。


 ウーウーとサイレンが聞こえて来たのだ。


「やべえ。スピード違反でポリが来やがった」


 後ろを見れば、ぴかぴかとライトをつけた車が迫ってきている。


「なんだあれは?」


「取締だよ。スピード違反で俺達をつかまえに来たんだ」


 そこでクロサキが言う。


「私達は免許もないですし、武器を持っています。パスポートも偽造ですから、確実に逮捕されてしまいますね」


 ミオが声を荒げる。


「捕まってる場合じゃないのに!」


 そこでシャーリーンが言った。


「車を乗り変えましょう。ヒカルさんは、あのパトカーを何とか出来ますか?」


「わかった」


「私はすぐに組織に違う車を手配をします! バスを海に沈めて一旦、潜伏しましょう」


 俺は窓を開けてするりと天井に登り、直ぐに剣技を繰り出した。


「刺突閃」


 タイヤがパンクしパトカーの挙動が乱れた。スリップして横を向くと、後方から来た車も慌ててブレーキをかけている。だが勢いあまって、激突してしまったようだ。


 俺はすぐにバスの中に降りた。するとシャーリーンが俺に言う。


「この先にモービル湾という海があるようです。皆はその手前で降り、タケルさんとヒカルさんで海にバスを捨てて来てください!」


「わかった」

「了解だ!」


 道の途中で停まり、仲間達が荷物を持って道脇の雑木林へと消えて行った。再び俺達が高速道路を進んで行くと、今度はヘリコプターの音が聞こえて来る。


「タケル。ヘリコプターが来た」


「ああ。恐らくは警察のヘリだよ。タイヤを銃で撃たれたと思ったんだろ。緊急手配でもされたんだ」


 窓から上を見ると、ヘリコプターがこのバスについて来ている。しばらくすると俺達のバスは、海の上を走る道にやって来た。両側が海でもう逃げ場はない。


「あー。多分この橋の向こうは閉鎖されてんなあ」


 タケルの見る先には確かに、銃をもった連中が待ち構えているようだった。


「タケル。水泳だ」


「へいへい」


 タケルが、思いっきりハンドルをグルグルと回す。するとバスは橋の欄干に向かって突っ走り、全く減速せずに海の上に飛び出した。


 俺はタケルの首根っこを掴み、バスの後ろへと引っ張る。一番後方の椅子に手をかけた時、着水の衝撃が伝わって来た。


「あ、ひっくり返るぞ」


 そのままバスが、天井を下にするようにひっくり返って沈み始める。


「ヒカル、このまま沈むの待とうぜ。すぐに出ると、上のヘリから撮られてしまう」


「わかった」


 浸水するバスの中でひたすら待っていると、ようやく水の中に沈み込んだようだ。


「推撃!」


 ズン! とバスの壁が吹き飛び、俺とタケルはそこから水中へと出た。そして俺はタケルの首根っこを掴んで、高速で泳ぎ始める。


「ぶぐぶぐぶぐ!」


 タケルが何か言っているが、俺には良く聞こえなかった。岸にたどり着きタケルを見る。


「靴が脱げちまった」


「そいつは怪しく見えるな…皆と合流するまでに調達しよう」


「そうすっか」


 そして俺とタケルは、ずぶ濡れのまま町へと侵入していく。


「とりあえず人に会わないようにしようぜ」


「わかった」


 俺の気配感知を使い、街中の人のいない場所を選んで進んで行く。そして雑木林に潜み、タケルがスマートフォンを取り出した。


「GPSは動いてんな」


「みんなは?」


「四キロ先の町にいるみてえだ」


「行くぞ」


「おう」


 俺達は人のいない民家に潜入して、乾いた服と靴と鞄を調達する。直ぐに家を出て俺達はその服に着替えるが、サイズが全く合わずにぶかぶかだった。


「デカい人の服だな」


「仕方がない。ベルトで締めるしかないだろう」


 二人は緩いズボンをベルトで締め、濡れた服をバッグに入れて太い道を歩き始めるのだった。

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