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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第486話 バミューダトライアングルレーザー

 居住区を制圧し管制室らしき場所に上がって来た時、何やら慌ただしい騒ぎが起きていた。俺達の進入がバレたのかと思ったが、どうやら全く違う事で騒いでいるらしい。


 聴覚強化で聞いた内容を、クキとシャーリーンに告げた。


「どうやら航空機がこちらに近づいてきているらしい。それを撃墜するかやり過ごすかで、意見が割れているようだ」


「基地の存在がバレるのを恐れているのでしょう」


 クキが言う。


「もしかしたらバミューダ海域での、行方不明はこの基地のせいじゃないのか?」


 さらに聞いていると、どうやら撃ち落とす方向で話がまとまったようだった。


「レーザーで撃ち落とすらしい」


「コイツは…レーザー兵器なのか?」


 すると館内に、サイレンが鳴りだした。


「どうする?」


「やめさせましょう。バミューダトライアングル海域では、旅客機も被害にあっています」


「わかった」


 そして俺は管制室に忍び込み、刺突閃で全員を殺した。サイレンは鳴りやまず、後から入って来たクキが窓の外を指さして言う。


「お、おいおい! ありゃなんだ?」


 居住区とは違うプラントの上に、何かのタワーのようなものが突き出て来た。それを見てシャーリーンが言う。


「あれが、レーザー兵器ではないでしょうか? あちらにも!」


「撃つつもりだぞ!」


「他にも管制室があるのかもしれません」


 どんどん空に向かって鉄の塔が伸びており、それは三カ所に及んでいた。俺の聴覚には、飛行機の音が近づいてきているのが聞こえて来る。


「下がってくれ」


 俺は管制室の窓からそれを見上げ、仕込み杖の柄を握る。見ていると塔のてっぺんが輝きだし、三つの塔の先端が三角形に光で結ばれている。


「真空裂斬」


 目の前のガラスを切り裂き、俺はそこに向けてもう一度剣技を放った。


「空接瞬斬!」


 剣を振るうと、塔の一本が切れ発光が止まった。すると制御が狂ったようで、飛行機とは違う方向に向かって四散するようにレーザーが発射された。


「どうだ?」

 

 クキが聞いて来る。


「塔は切った。飛行機は無事のようだ」


 上空を飛び去って行ったのは旅客機で、基地内のサイレンはいまだに鳴り響いている。すると今度は平面になっている床の一部が開いたと思ったら、そこから突然ミサイルが発射された。


「空接瞬斬!」


 そのミサイルは空中で真っ二つになり、海面に落下していく。


「コイツは…要塞だ」


「基地に潜入するぞ」


 二人が頷く。俺達は一度外に出て、柱を伝い床の下にある鉄筋のレーンに乗った。そこから基地の入り口付近までは、百五十メートルほどある。下を見ればかなりの高さがあり、海の方には哨戒艇が二隻に増えていた。


「おそらく侵入がバレたな」


「そのようだ。警戒しつつ進むぞ」


「おう」

「はい」


 俺とクキとシャーリーンが、鉄骨の上を身を低くして走り出す。


 だが俺が二人を止めて言う。


「この先でゾンビ化兵が待ち構えている」


「哨戒艇にここが見つかったか…」


「隠れろ」


 俺達が鉄の柱に隠れると、対面の方から銃撃が開始された。俺は金剛と結界で大丈夫だが、クキとシャーリーンはそうはいかない。


「シャーリーン。どのくらい破壊したら、プラントが崩壊するだろう?」


「何百という支柱に支えられています。そうそう崩壊する事はありませんが、それでも壊す場所によってはどうなるか分かりません」


 だがクキが言う。


「いざとなったらヒカルが俺達を連れていけ! 哨戒艇が近づいてきている!」


 見れば海の方から、二隻の船がこちらに近づいて来ていた。


「先に行く! 後から来い!」


 そう言って、銃撃の方に走り剣技を繰り出した。


「屍人斬! 大龍深淵斬!」


 スパン! 鉄の柱や壁ごと敵の兵士達を切り落とした。


 ガグゥウゥン! と鉄の柱が傾く。支柱がきれた事で、斜めになってしまった。すると哨戒艇が柱のすぐそばあたりまで来ており、こちらに向かって何かを構えている。


「ヒカル! RPGだ! ロケットが来る!」


 俺は咄嗟にシャーリーンとクキをつかまえて、縮地を発動させた。クキは歯をくいしばって耐え、シャーリーンの目が半分閉じかけている。


「シャーリーン! しっかりしろ!」


「あ…」


 ボゴン!


 俺達がさっきまで居た辺りが爆発し、鉄骨が崩れ始めた。


「来い!」


 俺の剣技で空いた壁に突入すると、中の通路で銃を構えて待っている奴らがいた。俺はクキとシャーリーンの盾になりつつ、剣技を放つ。


「屍人飛空円斬!」


 バッバッバッ! と被弾しながらも、見える敵は全て真っ二つになった。


 すると突然、館内放送が鳴り響く。


「潜入した特殊工作員に告ぐ。君達には逃げ場はない、速やかに投降すべし! くりかえす! 君達に逃げ場はない、速やかに投稿すべし」


 何度も繰り返されるが、それに何ら意味は無い。かと思われた…だがシャーリーンが急に頭を抱え、吐き戻してしまう。それを見てクキが言う。


「くそ。超音波攻撃だ」


「この音か?」


「そうだ。俺はレベルが上がっているからか、それほど効果は無いようだが、それでもこれはまずいぞ! 脳に直接響いて来ている」


「わかった。すまんシャーリーン」


「えっ」


 トンッ!


 苦しんでいるシャーリーンの意識を刈り取る。俺はシャーリーンを担ぎ、通路の先を見据えた。


「ゾンビ化兵の気配は両方からしている。どっちに行けばいいだろうか?」


 するとクキが言う。


「俺の長年の勘でいいか?」


「ああ」


「右だ」


「分かった」


 そして俺はシャーリーンを担ぎ、右の通路へと進んだ。後ろからクキが追って来るが、やはりいつもより動きに精彩を欠いているようだった。それだけ、この音波攻撃が効果的だと言う事だ。


「全て斬る」


「任せた」


 俺が最初のドアを蹴破り、直ぐに剣技を繰り出した。


「屍人冥王斬!」


 壁の向こうのいる奴らが斬れ、止まる事無く奥へ向かって進んで行く。


「この音波攻撃とやらは、ゾンビ化兵には効かないようだ」


 するとクキが言う。


「そのようだな…。ヒカル、まずは空調だ。空調の元になっているところを探そう」


「よし。どっちだ?」


「シャーリーンを寝かせちまったな」


「どうするか…」


「通気口をたどってみるか」


「そうしよう」


 そして俺達は天井を見ながら、換気ダクトを探していく。すると換気ダクトは、行き止まりの壁の中に入り込んでおり、その壁の向こうにゾンビ化兵が潜んでいるのが分かる。

 

「屍人斬、大龍深淵斬!」


 壁ごと奥まで切ると、このあたりの警報と音が消えた。


「装置の電源が切れたな」


「部屋に入ろう」


「ああ」


 俺達が部屋に入り、シャーリーンに気を入れて起こす。だが顔色が悪く、俺はシャーリーンにヒールをかけた。その事で顔色が戻る。


「すみませんご迷惑を」


 それにクキが答えた。


「超音波兵器だ。俺も喰らった」


「よっぽど知られたくないものが、ここにあるんですね」


「そのようだ」


 そして俺がシャーリーンに聞く。


「どこかで、この施設の概要が分かれば」


「どうするのです?」


 それにはクキが答えた。


「空調システムに、新型ゾンビ破壊薬を流し込む」


「名案です。ここはどのあたりですか?」


「俺達が入って来た場所から右に進んで、突き当りにあった部屋にいる」


「でしたら上ですね。波の影響などを受けないように、上に作っているはずです」


「よし行こう」


 そして俺達は空調施設を探して、館内を走り出すのだった。

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