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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第480話 ポルトープランスの治安

 ギャングに尋問したところ、どうやら最近首都に大きいギャングが現れた事で、縄張りを追われたという。そのギャングは子供年寄り関係なく殺すらしく、略奪などを好き放題やっているのだとか。


「お前らも同じようなんもんだろう?」


「ちがう。俺達はむやみに人は殺さない。時には反抗されて死んだり、はずみで殺したりすることはあるが、殺しが目的じゃない!」


「似たようなもんだ」


 そしてクロサキが聞く。


「あなたもしかして、ゾンビの話を聞いた事がないかしら?」


 すると二人のギャングは顔を見合わせてから、こちらに向いて言った。


「なんだい? ポルトープランスのギャングと同じことを言うのか?」


 クキが取って代わって聞く。


「都心のギャングが何を言ってるって?」


「この世は終わる。だから今のうちにやりたい事をやるんだと言っている。そしてその理由は、いずれゾンビが世界を支配するかららしい」


「ゾンビが世界を支配?」


「も、もちろんそんな馬鹿な話は信じてねえけど、ヴードゥーの黒魔術でゾンビを蘇らせるってのは、この国で昔からの言い伝えだ」

 

 クロサキが続けていう。


「他に何か知ってる事は?」


「その、ギャングのボスの弟が、ある村に行ったっきり帰って来なくなったとか」


「どういうこと?」


「しらねえ。ただそれだけだ」


「そのギャングの名前は?」


「サウザンド・ディーモンだ」


「ボスの名は?」


「そいつは……」


 するとクキが首根っこを掴んで言った。


「早く言え。殺すぞ」


「わかった! バリーだ! バリー・ボルケー! 通称ミンチって呼ばれてる奴だよ!」


「ミンチ?」


「逆らったり裏切ったり、敵対組織の奴らが拉致されると、ミンチにされるんだ!」


「悪趣味だな」


「だから俺達は逃げた! ミンチにされたくねえからな!」


「なるほどね」


 そしてクキがギャングに言う。


「お前らの仲間は取っ捕まった。俺達に車を差し出してくれるなら、お前らの命は助ける」


「ほ、ほんとうか!」


「本当だ。だからアジトに連れていけ」


「わかった」


「ちなみに言っておくが、下手な真似をすればアジトごとぶっ潰す。捕まった奴らが、警察にゲロするまえに連れて行くんだ」


「わかった! すぐに! 直ぐに行こう!」


 それから一時間ほど歩いて、俺達はギャングのアジトに連れて来られた。そこはみすぼらしい小屋だが、雑多に車が置いてある。俺達がギャングを連れて、小屋に入ると女達が出て来た。


「あれ? みんなは? そいつらは何?」


「な、仲間はパクられた! ここから逃げねえとサツがくる」


「嘘でしょ……」


 だがそこでクキが言う。


「本当だよ。とりあえずこいつらを助ける代わりに、車をもらいに来た」


「わ、わかった」


 そして部屋の中から、車の鍵をもって来させる。


 念のため俺が金剛と結界を張って前に出た。男達が大人しく車の鍵を持って来たが、奥から女達が出て来て手に拳銃を持って構えていた。


 俺が男達に言う。


「やめさせろ。無駄に殺したくない」


 男らが女に手を挙げて言う。


「やめた方が良い。この人らはおかしな術で腕や手を斬れるんだ」


「えっ…ヴードゥー?」


 するとシャーリーンが言う。


「そうよ。魔導の力で呪われたくなかったら、大人しく車をよこしなさい」


 女達が銃を下げ、男らが俺達と一緒に外に出る。荷台のあるトラックと、RV車を指さして持って行けと言った。


 そこで俺が言う。


「お前達はギャングをやめろ。そして町の人の為に働け。サウザンド・ディーモンはそのうち消えるが、だからと言ってまたギャングを始めるんじゃないぞ」


「わ…わかった」


 女達は不満そうにしているが、男は従うようで黙って俺達を送り出した。


 クロサキが俺に言う。


「気休めですね。彼らはまた悪事を働きます。それだけこの国は貧困で、弱いものが犠牲になるような構造が出来ているからです」


「そうか。だが、この国の事はこの国に任せるしかない」


「はい」


 俺達が乗る車は、アンスアピトルをでて一路、首都のポルトー・プランスを目指す。


 ポルトープランスには六時間ほどで到着したが、既に夜になっていた。到着して分かった事は、あちこちに壊れた建物があること。オオモリが調べたところによると、十年ほど前の大地震の影響がのこっているらしい。


「復興がされてない」


「やはり見放された国なのかもな」


 それを見てミオが言う。


「日本の縮図を見てるようだわ。やはり政府や外国の援助が無ければ復興などするわけがない」


 マナが頷く。


「そうね。この状況でギャングがいたんじゃ、一般市民が生きるのは難しいわ」


 クロサキも言った。


「この状況ではギャングがはびこるのも無理はないですね。さらに…ゾンビ騒ぎで、大勢の人が被害にあっています」


 町に入って先ほどから俺が気配感知で感じているが、時おり訳の分からない殺気が飛んでくる。


「殺気に満ち溢れた町だ……」


それを聞いたクキが言う。


「まずは拠点をどうするかだな……」


 それにオオモリが答える。


「それなりのところは確保できると思いますが、この状況ではむしろ安全とは言えなそうです」


「仕方あるまい」


 そして俺達はオオモリが予約をしたホテルに行く。今までのように、超高級ホテルではなく一般的なホテルを選んだようだ。


「金持ちは襲われそうですから」


 クキが答える。


「いいんじゃないか? とりあえずはそこで話し合いだ。外にいるよりは幾分安全だろう」


 皆が頷いて、見た目はこぎれいな普通のホテルにチェックインするのだった。


 そしてツバサがぽつりと言った。


「ヒカル…聞こえたよね」


「ああ。銃声がした」


「怖い所なのね」


「充分注意するべきだろうな。町を走っていても何度も殺気を向けられた」


 数部屋確保したが、皆で一つの部屋に入り込み、サウザンド・ディーモンの攻略について話し合う。


 まずは第一に、サウザンド・ディーモンに接触する必要があるという事。だが何処にいるかも分からず、町に出て調査をするしかないという結論になる。


 この町はコンゴ民主共和国よりも危険で、ホテルとは言え安心はしていられないという事だ。


「で、サウザンド・ディーモンなんだが、どこに行って話を聞くかだな」


「九鬼さん。まずは繁華街じゃねえかな」


「やはりそうなるか。ならば行ける人間は限られてる」


「だな」


 そして俺を起点に、夜の町に潜入するパーティーが編成されるのだった。

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