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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第475話 異形の化物より怖いもの

 銃声が鳴り響いているのは、この建物の先だった。


 俺は建物の角から飛び出し、化物の気配がする方向を見る。するとそこには、戦車や機関銃で撃ちまくっている兵士達がいた。そしてその射線の先に、得体のしれない広がったり縮んだりする、液体か固体かも分からない何かがいる。


 あれは…どうなっている?


 前世で言うところのスライムだが、色が茶色と黒と赤が混ざりあっており、攻撃によって体の質を変化させているように見える。そいつが次々に戦車や兵士を包んだ後には、兵士達が消えていなくなっていた。兵士を食うほどに、体が大きくなっているようで、スライムなどよりはるかに驚異だ。


「撃て撃てぇ!」

「怯むな!」

「専用車はまだか!」


 そう言っている間にも、次々に兵士達が飲まれて行った。


 掃除してくれるのなら、それに越したことはないが、アイツに逃げられるのは厄介だ。


 するとそこに、変わった形の車両が数台出て来た。


 そいつらが砲身を怪物に向けている。


「撃て!」


 ぶおおおおおおお!


 その車両が、次々にその砲身から液体を噴射し始めた。するとそれが降り注いだ場所から化物が凍り始める。どうやらあの液体は、化物を凍らせるような効果があるらしい。


 だんだんと動きを鈍らせていき、少しずつその動きを鎮静化させてきた。地下深くで氷漬けされていたのは、こう言う理由が合ったようだ。


「固まって来た!」

「緩めるな!」


 ジャバジャバと液体がかけられて、どんどん凍りが広がる。


「いけいけいけ!!」


 だが…だんだんと液体の勢いが弱まっていく。


「後続車はまだか!」


「もうすぐ!」


 少しずつ弱くなっていくが、ほぼ全身が固まっていた。しかしその表面下では活動が沈静化していないのは気配で分かる。だが後続車両が着いたのが一足早く、再び放水し始める。氷は更に厚くなっていき、徹底的に放水を続けているようだった。


 しかしそれも勢いがなくなって来た。


「処理班!」


 防護服を着た奴らが氷に近づいて、何か器具のような物を氷に差し込み始める。それにはホースが繋がっていて、防護服を着ている奴らが言った。


「凍結剤注入!」


 ゴウンゴウンと音をたてて、ホースを通り氷の中に液体が送られているようだ。かなりの被害を出しながらも、どうやらバケモノの沈静化に近づいている。


 ……恐らく以前はそれで沈静化出来たんだろう。だがそいつは知恵をつけているぞ。


「凍結終わりました!」


 皆がその氷の山を見ている。


「なんで……出て来たんだ」


「まったくだ。こんな物が世に出たら、それこそこの世の終わりだぞ」


 すると指揮官のような奴らが言った。


「急いで第二隔離施設へ運ぶんだ!」


「「「「「「「は!」」」」」」」」


 無理だな。


 数台の重機がやって来て、それを静かに持ち上げ始める。大型のトレーラーの荷台に乗せている時だった。


 ピシ!


 はっきりとここまで音がした。


「は、早くしろ!」


「「「「「「「は!」」」」」」」」


 ひび割れはどんどん広がっていき、その割れ目から中の液体のバケモノが噴き出て来た。


「うがあああああ」

「逃げろぉぉお!」

「だめだー!」


 既に兵士達は逃げの姿勢に入っており、防護服を着た奴らも指揮官も散り散りに逃げ出す。しかしすぐに人間が捕まり始め、化物はまた力を増してくるのだった。


 奴は地下でも同じ事をやった。自分の組織を捨てて殻を作り、内部で液体部分を生き残らせたのだ。凍り付かせたと思った人間らが、それに気づかずに動かしてしまったのである。


 だが、俺にはもうアイツの攻略方法が分かっていた。


 恐らく究極奥義では、アイツは飛び散ってしまう可能性がある。そこで俺はスーツのポケットに手を入れた。新型ゾンビ破壊薬のアンプルは四本、充分な数があるがアイツは同じようにして自分を守るだろう。


 まあ…敵を掃除してもらう分にはありがたいが、膨らみ過ぎると面倒になる。


 俺は一気にそのバケモノに走り寄っていく。そいつは俺を危険分子と認識したのか、俺に向けてまた触手を槍のようにして何十本も突き刺して来た。


 やはり学習しているか。


 一方方向では避けられると思ったのだろう、触手はあらゆる角度から俺を襲ってきた。そこで俺はポケットに入っている、新型ゾンビ破壊薬のアンプルを空に向かって投げた。

 

 触手にぶつかったアンプルが割れて、一気に死滅していく。だが化物は、先ほどと同じように殻を作って一か所に固まり始めた。


 バシュッ! 


 そして俺は五十メートル上空にジャンプする。


「おまえはそこで固まっていろ。次元刀!」


 バグン!


 周りにいた人間やゾンビ化兵ごと、そのバケモノを一瞬にして別次元へと飛ばす。地面に大きな割れ目を作り、そこにあった空間ごと次元の扉は閉じた。俺は建物の屋根に降り立って、周囲を見渡す。まだ逃げようとしている者や、急激に居なくなった化物がいた場所を唖然と見ている奴らがいる。


「た、たすかったのか」

「居なくなった! やった! どうしたんだ!」

「消えたぞ! 消えた! 助かったんだぁ!!」


「そんな事より! 早く社に連絡しろ!」


「は!」


 俺はその司令官の側に行って、後ろから聞いてみる。


「連絡するのはファーマー社でいいか?」


「当たり前だろ!」


 そいつがこちらを振り向いた。


「なんだ貴様!」


「ここがファーマー社かどうかを確認しに来たんだ」


「す、スパイ!」


 そいつは懐から拳銃を抜き俺に向かって撃つ。結界と金剛を施している俺には、銃など効果は無い。


 そいつは唖然として言った。


「ぞ、ゾンビ化兵? 裏切者か?」


「元からお前達の仲間などではない」


「スパイだ! 撃て撃て!」


 周りの奴らが俺に向けて銃を構えた。


「飛空円斬」


 視界に入る人間やゾンビ化兵が、ばらばらと崩れ落ちる。


「さて。化物の代わりに俺が掃除しなくてはな」


 そして俺はこの施設の、人間やゾンビ化兵を化物の代わりに始末し始めるのだった。


 あるいは、あのバケモノ相手ならば生き延びれる奴は居たかもしれん。残念ながら俺は、誰一人としてこの基地から出すつもりはなかった。

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