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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第466話 コンゴ民主共和国の刑務所

 俺達は空港のあるキンシャサへとやって来た。人口も多く近代的なビルも建っているようだが、他の近代的な都市とはその様相は全く違っている。


「随分と汚れているみたいね」


 ミオの言うとおりだ。道路にはゴミがあふれ、側溝がゴミで一杯になっている。そこら中に人がいるが、安全とは言い難い雰囲気が漂っていた。俺達が到着した時には時間が遅く、コートジボワール行きの飛行機が飛ぶのは明日。今日はこの町で過ごさねばならない。


 そこでオオモリが言う。


「じゃ! ホテルとります! いやあ…酷い旅でしたしね!」


 それを聞いてマナが言う。


「あんたねえ。ここまでの人達の惨状を見たでしょうよ。自重しなさいね」


「それとこれとは別です。とにかく予約します!」


「お前も良い性格してんなあ!」


 ネットも繋がるようになったようで、オオモリはイキイキしてホテルを予約する。俺達が向かったホテルは、周りの建物とは全く違って高級な佇まいだった。周辺にはボロボロの建物も立っていたが、このホテルだけはやたらと清潔感がある。


 そしてオオモリが言った。


「エグゼクティブとスイートで四部屋とれました!」


「よ、四部屋! しかも、エグゼクティブ?」


「だめですかね?」


「い、行きましょ! 直ぐに!」


 ホテルはやはり洗練された場所で、いろんな人種が宿泊しているようだ。西欧系の人間やアジア系の人間もおり、どうやらビジネスの拠点になっているらしい。


「まるでホテルの中だけが別世界のようだ」


「本当だわ。昨日まで見てきた光景とは全く違う」


「何故だ?」


 俺の疑問にシャーリーンが答える。


「このあたりは世界有数の鉱物資源があるところですから、それを求めて世界中からやってきているのです。もちろんカリム様も、鉱物資源の買い付けをしています」


「何故それなのに貧しいんだ?」


「政権に問題が合ったり、このまえ遭遇したような反政府武装集団の争いの為です。他国もそれを支援するような流れがあったり、治安が安定しないのです」


「難しいんだな」


「はい。ですが世界は資源に注目しています。パソコンや携帯電話の普及で、資源が枯渇し高値で取引されるようになりましたから」


「なら尚の事もっと豊かになってもよさそうだ」


「一部の権力者がそれを握っています」


「この地が、世界の文明を支えていると言っても過言ではないのにか」


「皮肉なものです」


「世界の食い物にされてしまっているわけだ」


「石油といい鉱物資源といい、それらが取れる場所は火種が多いのです」


「その国だけの責任ではないという事だな」


「そう言う事です」


 部屋に行くとすっかり文明の利器に囲まれ、オオモリが頼んだ高級な食材が運び込まれた。


「複雑な気分だ」


 それにオオモリが言う。


「享受しましょうヒカルさん。我々日本はそれどころではなく、酷い目にあってきたのですから」


 皆で食事をとり、夜も深くなってきて、それぞれが部屋にいって寝る事にする。俺の部屋には俺とクキとタケルとオオモリがいて、これからの事を話していた。


「コートジボワールのファーマー研究所には、明日の夜には到着するだろう」


「いつも通りだ。全てを制圧し、研究機器を奪取する」


「だな。後は予定通り旅客機が飛ぶかどうか」


「その時はその時だ」


 そんな事を話している時だった。俺がスッと立ち上がる。俺の耳にある音が聞こえたからだ。


「どうした?」


「銃声だ。しかもかなり多い」


「銃声だと?」


「機関銃の音だ」


 それを聞いて四人が立ち上がると、唐突にドアがノックされた。タケルが開けると、ツバサが立っており俺達に言う。


「銃の音が聞こえる」


 タケルが言う。


「おまえもか」


 そして俺が方角を示す。


「あっちだ」


「何でだ……?」


 そこで俺は皆に言う。


「ホテルを出るな。俺が見て来る」


 そう言って十階のベランダに出た。


「ヒカルさん! スマホは持ってますか!」


 オオモリが聞くので、俺は首に吊り下げたスマートフォンを見せる。


「気を付けて!」


 すぐベランダから飛び降りる。隣のビルの屋上に降り立ち、次々にビルに飛び移った。


「これは……」


 進んで行くと、俺の気配感知でゾンビの気配を捕らえた。


 なぜゾンビの気配がしたのか分からんが、目の前の高い塀の建物の中で何かが起こっているらしい。


 するとスマートフォンが震える。それを取って見るとオオモリからの通信だった。


 ヒカルさん。刑務所で暴動のようです。


 なるほど、ここは刑務所か。なぜ刑務所の中にゾンビがいるんだ?


 直ぐに高い塀を飛び越えて中に入ってみる。すると銃を構えた看守が、必死に敷地にいる奴らを撃ち殺していた。だがそいつらはムクリと起きて、再び看守に向かって歩いて行くところだった。


「刺突閃」


 もう少しで飛びかかりそうになっていたゾンビを、俺は刺突閃で倒す。


「阻害認識、隠形」


 自分の体に気配遮断の強化をして行くと、どうやら襲っているのは囚人達らしい。既にゾンビになった看守も混ざっていて、開いた扉に向かって殺到している。中から銃声が聞こえるが、建物の中からもゾンビの気配はしており争いになっているようだ。


「どういう事だ?」


 ここにいるのは、ゾンビ化人間でも試験体でもなかった。全部が通常ゾンビで、半分以上は人間のようだ。突発的に起きたとしか思えないゾンビパンデミックに、パニックを起こしているのだろう。


 俺はポケットから、アビゲイルが作ったゾンビ破壊薬のアンプルを割って放り投げる。するとそれが落ちた所からドミノ倒しに、ゾンビがパタパタと倒れていった。


 ドアから中を見ると、看守達が銃を構えてこちらを警戒している。


 俺はその場を離れて、別の場所の屋上へと飛びつく。すると中庭にもゾンビと銃を撃つ監視が居た。いや…追われている側には囚人もいるらしい。


 俺は二本目のアンプルを割って、中庭にふりまいた。しばらくするとゾンビ達はバタバタと倒れだし、俺はすぐにぐるりと回って奥の棟へと行く。中を見ると窓に鉄格子のようなものがある。


「牢獄か…」


 俺はそれを斬って侵入する。


 そこにも暴れているゾンビはいたが、むしろ鉄格子の中の奴らは無事なようだ。俺はそこで三本目のアンプルを割ってふりまいた。そのまま走り抜けていくと、大勢のゾンビが扉に向かって押し寄せている。気配感知ではその扉の奥に、生存者がいるようだった。


 直ぐに四本目のアンプルを割り、廊下にふりまくとバタバタとゾンビが倒れた。


「あと一本か…」


 ポケットに忍ばせていたのは残り一本。俺はその場を離れ最後に感知したゾンビの場所へ行く。どうやらそこは食堂か何かのようで、鎖で鍵がかけられており中にゾンビを閉じ込めたようだ。俺はその鎖を斬り、最後のアンプルを割ってゾンビ破壊薬を振りまいた。


 恐らく館内に新型ゾンビ破壊薬が充満したのだろう。この大きな敷地内には既にゾンビの気配はなかった。牢屋を見回すと、ガラの悪そうな奴らが怯えた表情をして縮こまっていた。


「悪党が、ゾンビごときに怯えているのか……」


 俺はそのまま吹き抜けをジャンプし最上階へと飛び移った。直ぐに通路を走り抜け、小さな天窓に向かって飛び込む。


 ガシャン!


 飛び出た俺は落下を始め、隣の建物の屋根に降り立った。そのまま急加速し高い塀を飛び越えて外に出る。


 いったいなんだ。なんでこんなところで突然ゾンビが出た…。


 ビルをいくつも飛び越えて、皆が待つホテルに戻る。十階のベランダに降り立つと、他の部屋の仲間達も部屋に集まっていた。


「どうだった?」


「信じられんが、暴動ではない。ゾンビだった」


「なんだと?」

「うそ!」

「こんなところで?」


「よくわからんが、間違いなくゾンビ破壊薬で死んだ」


 アフリカに来てからはゾンビの気配はしなかったが、ここに来てのゾンビ騒ぎに皆が深刻な表情をする。この都市も人口が多いらしく、なんらかの意図があってばら撒かれたかもしれないからだ。とにかくオオモリが情報を集めており、俺達は次の行動まで様子を見る事にした。

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