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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第464話 エボラ出血熱の宿主

 村の奥には白いビニールで作られた大きなテントがあり、そこには病人がいるらしい。医療関係者達はそこに怪我人を運び込み、なんとか生き延びた武装集団の男達を治療している。そして数人の髪の毛が白くなっているという。


「どうして白くなった?」


「恐怖です。正気を失っている者もいます……どうしたらあんなことが」


「攻撃をして来たから反撃した。それだけだが」


「銃ももたずに?」


 一人の男がおかしくなってブツブツ言っているが、どうやら俺を悪魔だと思って怯えているようだった。そして、その傍らではアビゲイルが他の医者に聞いている。


「オオコウモリと豚とサルですか」


「それらが媒介になったと言われています」


「わかりました」


「ですが、そう簡単に見つかるものではないですし、捕獲も容易ではないですよ」


 だがアビゲイルが俺をチラリと見て言う。


「いえ。恐らくはすぐでしょう」


「そんな簡単なものではありませんよ」


「わかりました」


 そして他の医者が言う。


「最近は原因不明の病気も出てきているんです。その原因も突き止められたらありがたいんですが」


「原因不明の病気?」


「インフルエンザのような症状で、発熱や咳などが出るんです。十代後半の子らが重症化して死亡する例も見られています」


「今は、それを診ているのですか?」


「はい」


「そうなんですね……」


 その後、俺達は診療所の一室に集まった。そこで俺が言う。


「みんなで行く必要はない。村を見張るものがいた方が良い」


「その通りだな」


「俺が一人で行ってくる」


「一人でか?」


 それを聞いてオオモリが言った。


「ヒカルさん。ここは普通にスマートフォンが使えないんですよ。だからオオコウモリと豚とサルは、診療所の皆さんから見せてもらった画像を元に探さないといけません」


「なるほど、難しいだろうか?」


 アビゲイルが手を挙げる。


「あの、私が同行します」


「博士が?」


「ウィルスやワクチンを研究するのに、獣医免許も持ってます。目的の動物の見分けがつきます」


 皆が顔を見合わせる。


「ジャングルですよ。大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


 そして俺とアビゲイルが二人で行くことが決まった。他は全員でこの村を護衛し、しばらく脅威が無いかを見ていてもらう必要がある。


「直ぐに行く」


「わかりました」


 俺とアビゲイルが背負子に食料と水を入れて、二人で森に潜る事を決めた。村人はきっと武装集団はもう来ないと言う。捕らえられていた子供達に言わせると、死んだ連中と診療所に担ぎ込まれた連中で全員だというのだ。既に武装集団に残っている人はいないらしい。


 俺とアビゲイルが背負子を担ぎ、森に向かうと皆が手を振って送り出してくれた。密林はなかなかに進みづらく、俺が先を行きアビゲイルの手を引く。俺一人ならもっと早かったと思うが、動物の見極めを間違うといけないので仕方なかった。


 俺達が歩いていると、ジャングルの中に動物の気配があった。


「アビゲイル。何か見てるやつらがいるぞ」


「あれは、ボノボという大人しいサルです。人間に近いと言われています」


「あれじゃないんだな」


「違います」


 そして俺達が更にジャングルを歩いていると、ジャングルの中に村が出て来た。俺達がそこに入っていくと、珍しそうに子供達が近づいて来る。


「原住民ね。彼らはここに住んでいるようです」


「そうか」


 だが原住民の中には具合が悪いのか、寝ている奴もいる。それをチラリと見てアビゲイルが言う。


「この周囲では、何度もエボラが発生していますから、とにかく注意しないといけないわ」


「病気か」


「ミスターヒカルは大丈夫です。恐らくウイルスに犯される事はない」


「そうか」


 また森に入りしばらく進みながら、アビゲイルにあれは、これはと質問を続けた。そのどれもが目的の動物ではないらしく、更に進んだ時に、また動物の気配を感知した。その動物の気配はおかしくて、何か具合が悪そうに思えた。


「あそこにいるのは?」


 木の上で何かを食べているサルがいた。


「サルね。何を食べているのかしら?」


「恐らくは鳥かなにかだ」


「えっ! サルが?」


「食べている」


「あれをつかまえましょう!」


「待っていてくれ」


 シュッ! 俺はすぐに木の上に飛び、五十メートルほどの射線を確保して一直線にそのサルに飛びついた。サルは一瞬の事に暴れ出そうとするが、俺はそれを抱いて地上に降りる。そこに急いでアビゲイルが駆けつけて来た。


「まって! 縄を取ります」


 そうしてアビゲイルが縄を取り出し、サルをグルグルにまいている。


「どうだ?」


「まさか、サルがオオコウモリを食べているなんて」


「普通は食べないのか?」


「普通は…食べないですね」


 そして俺はアビゲイルに言った。


「なら、ここを動くな。感知した動物がいるから、それを全部取って来る」


「わかりました」


 俺が周辺にいた動物を片っ端から捕まえて、アビゲイルの元に連れて来て確認をする。するとそのうちの一つが目的の豚だった。それを縛り上げ、さっきのサルと共に棒に吊るした。オオコウモリの死骸も括り付けて、俺達が元来た道を戻る。さっきの村を抜けようとすると、村人が群がってきて動物を見て何か言っている。


「なんだろう?」


「ごめんなさい。言葉が分からないけど、多分その動物をどうするんだ? と聞いています」


「なるほど。食いたいのか?」


「だめ。与えては行けません。エボラを保菌していたら問題です」


「もちろんだ。研究の為に持ち帰る」


 村人たちを振り払って道を帰ると、ボノボがぶら下げたサルを見て慌てて逃げ出して行った。


「自分も狩られると思ったんだろうか」


「そうですね。ボノボは人間に近いと言われていますから、理解はしているでしょう」


「そうか」


 森を抜けて俺達は村に戻る。動物を吊るしているのを見て、医者たちがざわざわと騒めいていた。


「もう獲ってきたんですか!」


「はい」


「いったいどうやって……こんなに早く?」

 

 それには俺が答える。


「手づかみでだ」


「手づかみで……って……」


 そこでアビゲイルが言う。


「研究キットは持ってきています。場所をお借りいただけないでしょうか?」


「では隔離室へ」


「密閉式のテントをお借りしても」


「それはすぐにでも。防護服もお貸しします」


「流石はエボラを頻繁に診ている方たちですね」


 皆がそれを用意し始め、アビゲイルが防護服を着て言う。


「ではサンプルを回収します。皆さんは入ってこないように」


「くれぐれも気を付けてください」


 アビゲイルは隔離室に入って行った。ここにはエボラ出血熱の検査キットもあるらしく、蝙蝠を食っていた事から、サルがエボラを持っていたら蝙蝠が宿主となるそうだ。一応捕まえた豚も調べる。


 アビゲイルがしばらく検査をしていたが、防護服を着たまま中で新型ゾンビ破壊薬を自分に振りかけている。それを診てミオが言う。


「そう言えば、感染症の予防にも使えるって言ってたわ」


「なるほど」


 出て来たアビゲイルが防護服を脱ぎながら言った。


「笑っちゃいます。もう見つけちゃいましたよ。宿主」


「本当ですか?」


 医者達が驚いていた。


「流石はミスターヒカルです。何かおかしいものを感じましたか?」


「そのサルが、体調を崩しているように見えた」


 医者が聞いて来る。


「動物の体調が分かるんですか?」


「なんと言うか、おかしな気配がするんだ」


「気配……」


 とにかく俺達は宿主を見つける事が出来た。それを持って最新の研究所に行き、アビゲイルはやりたいことがあるらしい。


 だがアビゲイルは言う。


「その前に。何か新しい病気が発生したと言いましたね?」


「そうです。インフルエンザのような病気です」


「調べさせていただいても?」


 そして医者達は頷いた。


 アビゲイルは医者に連れられて、大きなビニールテントに入っていくのだった。

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