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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第463話 村の脅威を排除する

 医師団から連れられて診療所に入り、俺達は詳しい経緯を説明した。ここにはエボラ出血熱の宿主を探しに来た事、その道すがら捕らえられている子供達を見つけて助けて来た事。その際に武装集団を制圧して、捕縛して放置して来た事を告げる。


「それは非常にマズい」


「捕縛したのだが?」


「きっと腹いせに報復しに来ると思います。そこで子供が見つかったりなんかしたら、皆が殺されてしまうかもしれない」


 そしてミオが言う。


「信じられない。腹いせに殺すの?」


「そういう集団です。女の子を攫って慰み者にしたり」


「そんな……」


「今から軍隊に要請しても、もう間に合わないです」


「軍隊は呼ばなくても大丈夫ですよ」


「あなたそんな勝手な事を言って!」


「いえ。そういうつもりではありません。ご安心ください」


「な、何を言っているのです? 彼らはあなた方のような若い女性にも、酷い目に合わせると思います。下手をすれば、奉仕をさせられた後で殺されるんですよ」


 だんだんと腹が立って来た。ファーマー社と関係がないからと思っていたが、あの集団はそんな事をするのか。


「大将。怒ってるようだな?」


「なぜ同じ人間でそんな事をするんだ?」


 すると診療所の男が言う。


「既に常軌を逸してるんだよ。アイツらはもうタガが外れてしまったんだ」


「武装集団とはそういうものか」


 男は諦めたような表情で言う。


「いずれにせよ……逃げるしかないだろう。アイツらはその中でも非道で有名な組織だ」


 それに医者の女が言った。


「だから。この地を移転すべきだと言ったのよ」


「無理だろう。医師団にその権限はない、俺達は患者を助け予防をすることが仕事だ」


 クキが聞いた。


「移転しようとしてたのか?」


「意見は分かれていたけど、奴らが近くに拠点を構えた段階で移転の案は出ていたわ。だけど村の人達は、ここで生まれ育ったのだから残ると」


 だがそこで俺が言う。


「あんたらが動く必要はない。アイツらが勝手に来たのだろう?」


「そう。この周辺の子供を狙って来たのよ。子供がいなくなったらまた場所を移すわ」


 それを聞いたエイブラハムが言う。


「酷いものじゃ! まるで癌細胞じゃな!」


「おっしゃるとおりです」


 俺は皆に言う。


「いずれにせよ俺達はここで、宿主を探さなければならない。そして皆は、逃げる必要はない」


「あなた達も銃を持っているようだが、彼らは機関銃やロケットランチャーまで持っているんだ」


「見たから大丈夫だ」


「見た…ではどうにも」


「あー、見た、じゃなく喰らったと言った方が正しいか」


「撃たれたのですか? それで皆が無事だったのですか?」


「いや、喰らったのは俺だけだ」


「……い、いずれにせよ! 逃げた方が!」


「だから必要ない」


 話は平行線のようだが、とにかく彼らを説得し下手に動かないように言った。結局その夜は皆、震えて過ごしたらしく子供達以外はほとんど眠れなかったようだ。


 そして日が高く昇ったころ、彼らの予想通りに何台もの車の音が聞こえて来る。


「来た!」


 すると医師団や村人が慌て始めた。そこで俺が言う。


「俺一人で対応する。皆は隠れろ」


 医師団の一人が言う。


「彼は…いったい何をいっているんだね?」


 クキが説明する。


「一人でいいって。言ってる」


「な、そんな訳があるか! 彼は銃も持っていないのだぞ!」


「さっさと隠れてくれ」


 ようやく皆が家の中に入り、俺はそのまま村の入り口で車を待つ。


 車が到着し、俺を見つけたが車を降りてこなかった。


「……」


 どうやら昨日の事を覚えていて、俺の顔を見て血相を変えているようだ。俺がスルスルと仕込み刀を抜き構えると、慌てて車を出そうとする。


「刺突閃 十連」


 全ての車のタイヤに向けて攻撃すると、タイヤが部品ごと外れ車は前に進まなくなる。すると銃を持った男達が焦って車を降り、俺に銃を構えて何かを叫んでいる。俺はそいつらに声をかけてやる。


「昨日ぶりだな」


 男らは俺が一人だと見ると、銃を構えだして殺気をぶつけて来た。


 そのまま、無造作に男達に近づいて行くと銃を撃ってくる。


 ダダダダダダダダ!

 パンパンパンパン!


 もちろん金剛と結界で全く受け付けない。豆をぶつけられているようなものだ。ゆっくりと近づいて来る俺に恐怖の眼差しを向けて、引鉄をひき続けている。目の前に来たにも関わらず銃を撃つのをやめず、俺の顔を不思議そうな眼差しで見続けていた。


「撃つのをやめないと怪我するぞ」


 そう言って銃身をギュ! と握り潰すと、バグッ! と銃が爆発する。


「ぎゃああ!」


 周りの連中は、指を吹き飛ばしながら倒れ込む仲間を、信じられない表情で見ていた。


 何か半狂乱に叫びながら銃を撃ち続ける男達。一部は銃弾がきれたようで、カチカチいっているが自分の銃弾がきれた事にすら気付いていないようだ。その構えた銃を足の裏で真っすぐに蹴り飛ばすと、肩にかけたベルトごと肩が取れて吹き飛んでいく。


「うがああああ!」


 肩から大量の出血をして倒れ、バタバタと暴れはじめた。


「次は…」


 すぐ隣で俺に撃ち続けている奴の銃を、瞬間的に真上に取り上げる。そいつは一瞬何が起きたのか分からなかっただろう。だが拳銃と共に自分の手が半分取れている。ようやく痛みに気づいてうずくまった。


 既に数百発の銃弾を撃ち尽くし、銃は空になったようだ。黙ってそこに立ってみていると、後続の車がやってきて周りの奴らが散るように逃げる。


 車の台座の上にデカい砲身の銃があり、こちらに向けて構えているようだ。


 ドガガガガガガガガガガガ!


 手持ちの銃よりも強いようだが結果は同じだ。俺がすぐにその車の上に飛び乗ると、撃っていた奴が信じられない物を見るように俺を見た。俺はその銃の砲身を掴んで、ぐにゃりと曲げ、もう一度そいつの顔を見る。するとそいつは走る車の上から飛び降りた。


 俺はそのまま後ろから降りて車を持ち上げる。タイヤが空転し始め、運転している奴らが慌てふためいてドアから飛び降りた。後方からトラックがやってきて突撃して来るが、俺はそのままトラックを受け止める。するとトラックは俺を支点にへこみ、尻側を思いっきり上げて半回転してひっくり返った。


 壊れたトラックからじょろじょろとガソリンが流れ出し、飛び降りた奴がそれを見つめている。俺と目が合い、そいつはガソリンを見てニヤリと笑う。


 パパパン!


 ボゥ! 


 銃を撃つとガソリンに引火して、トラックまで一気に炎が伸び、次の瞬間トラックが爆発した。俺はその炎の中から歩いて男の前に行くと、そいつは小便を漏らして這いつくばっていた。


 だが男は思い出したように、持っていた銃を構えて撃つ。


 ダダダダダダダダ!


 直ぐにその銃身を曲げると、銃はまた破裂する。


「ぎゃああ!」


 すると周りで見ていたヤツラが、慌てて逃げ出した。


「飛空円斬」


 逃げようとしている奴らの体が上と下に分かれた。燃え盛るトラックの炎が揺らめいているだけで、既に動けるものはいないようだ。俺はゆっくりと歩いて、ひとつひとつ落ちている銃を拾い集めていく。全てを集めたところで一カ所に積み上げた。そして俺は銃を始末する。


「断鋼裂斬」


 しばらくすると、そこにクキとタケルがやって来た。


「おーおー、派手にやったな」


「これで懲りたろう」


「懲りるも何も、再起不能だろう」


 クキが村の方に向かって手招きをすると、他の仲間達と医師団がやって来た。この惨状を見た医師団が真っ青な顔をして言う。


「これは大変だ!」


「なんとか生きている者もいるがどうする?」


「もちろん助けます。死にそうな命があれば助けるのが私達の仕事です」


 医師の合図で一斉に皆が出て来て、武装集団を手当てし始める。


 辛うじて生き残った男達が、震えて何かを言っているようだ。


「そいつらは、なんて言っている?」


 医師団の女が言う。


「悪魔を怒らせてしまったと、その天罰を受けたと言っています」


「これに懲りたら、もう悪さはしない事だ」


 医師たちは乾いた笑いを浮かべて言う。


「彼らはもう、まともな生活すら出来ないでしょうね」


「まあそれでもやる気なら、悪魔はまた現れると」


「伝えます」


 そしてこの村の脅威は排除した。


 死んだ武装集団を運び、僅かに生きていた者は診療所へと連れていかれる。


 そこでアビゲイルが言う。


「お爺ちゃん。私達も手伝いましょう」


「そうじゃな」


 そこでアビゲイルに医師団の一人が言う。


「エボラ出血熱の宿主を探しに来たんですね?」


「そうです」


「ならば、野生のオオコウモリか野生の豚、サルなどを探すといいと思います」


「わかりました」


 宿主を探すはずが、武装集団を壊滅させてしまった。これがこの後どんな影響をもたらすかは分からないが、ここに滞在していられるうちは火の粉は払おうと思うのだった。

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