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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第449話 大富豪の快適冒険バックアップ

 ドバイを出たヘリコプターは何事もなく、インドのムンバイという所に到着する。小さな空港でヘリコプターを下りると、シャーリーンも一緒について来ると言った。


 クキがみんなに言った。


「彼女は戦闘訓練を受けていると言っても、レベルの上がった人間じゃない。普通の人間相手ならどうにかなるかもしれないが、ゾンビとなると勝手が違って来る。インドじゃファーマー社が新しい実験をしていて、待っているのは通常ゾンビだけじゃないかもしれん。そこでみんなに聞きたいんだが、どうしたらいいだろうか?」


 それにミナミが答える。


「連れて行っていいんじゃないですか?」


「どうしてだ?」


「それは…ファーマー社が共通の敵だから」


「彼女は、アビゲイル博士やエイブラハム医師とは違う。個人的な恨みがあるからと、これに巻き込んでしまうのはどうかという事だ」


 そこでシャーリーンが言う。


「私は皆さんのお役に立ちたい。あの子だってそうして欲しいと思っている」


「子供の事はあんたにゃ責任は無い」


「いいえ。もっと調べるべきでした。ファーマー社の悪事について」


 それを聞いてミオが言う。


「違うよシャーリーンさん。私達も知らなかった。だから皆が何もできずに家族を失ったの。でもそれは自分の責任じゃないわ、全てはファーマー社という邪悪が一方的にやった事よ」


「美桜さん…」


「ここにいる全員がその悔しさを知っている。私達はあなたの悔しさが痛いほど分かるの。だけどファーマー社が人体実験で開発したゾンビは、本当に恐ろしいの。九鬼さんはそれに対峙して、死ななくてもいいあなたが死ぬかもしれないのを危惧しているわ」


 そこでツバサが言う。


「シャーリーンさん。あなたがファーマー社を恨む気持ちは強いでしょう。だからこそ無理してしまわないか心配なのよ。自暴自棄にはなっていないか、不用意に命をかけて仇討ちをしようとなどしないか。そう言う事が心配なの」


 するとシャーリーンが少し考えている。俺達の言わんとしている事が分かったのだろう。


「私は自暴自棄になっていません。そしてあなた方の話を聞いて、もしかしたらあの子が日本で生き残っている可能性だって、あるんじゃないかと思っています。だからこそあなた方と戦いたい。あなた方に会った事で、日本に生存者がいると聞いた事で、その可能性を信じられるようになったのです。だからどうか私を連れて行ってください」


 そこで俺が言った。


「連れて行こう」


「ヒカル…」


「大丈夫だ。俺が全てひっくるめて全部守る」


 すると女達がふうっとため息をついた。


「それには負けるわ。誰も何も言えない」


 そしてクキが笑って言った。


「なら決まりだな。彼女は連れて行こう」


「ありがとうございます!」


 それを聞いてシャーリーンがどこかに連絡をすると、空港内に車が入って来た。


「なんだありゃ」


 タケルの言葉に皆がそちらを見ると、皆が驚愕の表情を浮かべる。


「なにあれ…」


 それがヘリコプターの隣りに横付けされた。


「カリム様が用意したお車です」


「うっそ」


 トラックみたいなピカピカの新車が入ってきて、シャーリーンが皆にどうぞと言った。俺達が中に入って、更に目を見開く。


 オオモリが言う。


「えっ? 家?」


「だよな。こりゃ家だ」


 オオモリとタケルが言うとおりだ。これはまるで家、しかも立派で綺麗な家だ。


 そこでミナミがクキに言う。


「九鬼さん。断らなくてよかったじゃない」


「ははは。作戦って、いったいなにかねえ」


「ねえ」


 そこで俺が言う。


「とにかくヘリコプターの荷物をこちらに移そう」


「「「「おー」」」」


 皆の気分が一気に高揚している。荷物を積みかえ、クキが運転席に座り俺達は空港を出た。そこでまた俺は驚きの光景を目にした。俺がポツリという。


「なんだ…この人の多さは」


 それにシャーリーンが言う。


「これがインドです。ムンバイと言えば、人口が多い事で知られています」


「そうか」


 ファーマー社が、この地にたくさんの拠点を作った理由が分かった。実験の対象がこんなにいるのだ。薬品の治験をするにしても、ゾンビの開発をするにしても困る事は無いだろう。


「こんなところで、ゾンビが流出したら大変なことになる」


「はい。だからカリム様は憂慮していたのです」


「なるほど」


「そしてファーマ―社の場所も分かっています。これから誘導しますので」


 外を見てマナが言う。


「外は熱いのに、めっちゃ快適だわ。バケモノ相手の冒険をしているとは思えない」


 それには皆が頷いた。こんな快適すぎる冒険は経験したことが無い。


 そして俺達の車は、十分もしないうちにファーマー社のビルの前に来た。


「つきました」


「近いんだ。歩いても来れたね」


「カリム様は、この車を拠点にして動いていいと」


「ありがたいな」


 結構立派なビルで、建物の中には普通に働いている人間がいる。それを見てアビゲイルが言う。


「ここは営業拠点。研究はしていないわ」


 それにシャーリーンが答えた。


「はい。ですので、各地の拠点の情報をここで収集しては如何でしょう?」


「なるほどです」


 オオモリが言う。


「なら営業時間外に侵入しましょう。夜になれば人はいなくなります」


「そうしよう」


「一度ここを離れましょう」


 車が走り出す。ファーマー社から離れた広い空き地に車を止め、ツバサが言う。


「拠点を探さなくても良いし、キャンピングカー最高!」


 するとシャーリーンが言う。


「料理も出来ます。さいわいインドには、あちこちに市場があるのです」


 最初はどうなるかと思ったが、シャーリーンがいる事で俺達は快適にファーマー社を攻略する事が出来そうだった。その車の中で料理を作るべく、皆は市場に食料を買いだしに行く。


 そして車で料理を作り、皆で食べて時間を待つことにした。


「マジで、こんな冒険あるのかなって感じだぜ」


「ですよね。めっちゃ快適なんですけど」


 それを聞いてシャーリーンが笑った。


「お役に立てているようで良かったです」


「本当に断らなくてよかった」


 そこでしばらく快適に過ごし、そして深夜になった。


「じゃ、行くか」


 俺が言うと皆が頷く。そしてクキが言った。


「潜入は、ヒカルとクロサキ、オオモリで行こう」


 するとアビゲイルが手を挙げる。


「私も連れて行ってください。もしかしたらお役に立てるかもしれない」


「わかりました」


 それを聞いてシャーリーンが言った。


「こちらで調べた館内情報をお持ちください」


 シャーリーンがスマートフォンを取り出すと、オオモリがスマートフォンをかざす。


「おお。フロアマップですか! 会社の情報を良く調べましたね」


「それがカリム様の力でございます」


 俺はクキに言う。


「念のため一か所に留まるな。情報を入手したらこちらから合流する」


「了解だ」


 そして俺達四人はキャンピングカーを下り、深夜のムンバイを歩きだす。町は静かに寝静まっているようだが人間の気配は多い。そして俺達はファーマー社のビルの前に到着したのだった。

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