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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第446話 作戦の合間に束の間の休息

 俺達はショッピングモールに到着し、ドバイで遊ぶ為の衣装を買い回っていた。


 マナがウキウキして言う。


「ヴィ〇ンにシャ〇ルにエ〇メス、ディ〇ールにヴェ〇サーチ。夢のようだわ」


 両手に、大量の買い物袋をぶらさげて喜んでいる。他の女達もそれぞれに好きなものを買い、手に沢山ぶら下げていた。そこで申し訳なさそうに、アビゲイルが言った。


「こんなに買っちゃって良いのかしら?」


 タケルが笑って答える。


「いいんだよ博士。詫びだっつーんだから受け取っておかねえと!」


「うふふふ。そうか」


 その隣でオオモリが残念そうな顔をしている。


「クエートディナールを持って行っても処理できないんで、とりあえず全部使い切らないと」


 クキが苦笑いして言う。


「アタッシュケース、二ケースにびっしりのクエートディナールだぞ。どうすんだ?」


「ほとんど使えてないですよね」


 それを聞いてツバサが言う。


「もう荷物は持てないよ」


 するとクキが何かに気が付いたように言う。


「それなら、全員同じ腕時計を調達しよう。作戦で時間に狂いが生じるのはまずい」


「なるほど、それはいい考えじゃ」


 エイブラハムが言うと、皆が頷く。


「おしゃれよりも、耐久性と防水性だ。後は文字盤の見やすさ」


「九鬼さん。さっき、ロ〇ックスとオ〇ガがあったぜ」


「そこで買おう。十一本も買えばかなり消費するだろう?」


「わしらもか?」


「ええ。ドクター・エイブラハム。正確な時間は命を助けます」


「わかったのじゃ」


「女性陣には悪いが、ナイロンベルトに変えてもらう。それだけで軽量になるし何よりも壊れにくい」


 だがそれを聞いてマナが言う。


「むしろその方がいいよ九鬼さん。無骨すぎて女性陣がつけていたら目立っちゃう」


「そのとおりだな」


 そして俺達は時計屋に行き、クキが見回って店の人間にオーダーを出した。在庫も全て出してもらい、俺達はその場で腕時計を付け始める。


「ミリタリーチックで、かっこいいわ」


「ナイロンベルトが選べるのが良かった。女の人がつけても違和感ないし」


「おりゃ渋めの色にしたぜ」


「わしもこんな立派な時計をつけるなんてなあ」


 そこでクキが言った。


「オ〇ガといえばイギリス軍でも使ってるしな。何より俺の好きな映画の、スパイが愛用している時計なんだ。俺達のような任務をしている奴らにはもってこいの時計だ」


 それを聞いて俺が時計を見ながら言う。


「多分俺達が日本を逃亡している時に、DVDで見た映画だ」


 タケルが頷いた。


「あー、見てた。全編早送りでな」


 ミオがびっくりしたように言う。


「えっ! ヒカル何十本も見てたよね。それでこの腕時計をつけてるのを覚えてるって事?」


「そうだ。確かスパイ映画だった」


 俺は思考加速を用いてDVDを見ているので、しっかりと脳に焼き付いているのだ。


「マジかよ…確か埼玉でだったよな」


「そうだ。あの時見たDVDの中に、これをつけている男がいた」


 するとクキが嬉しそうに言う。


「そうか! ヒカルも見たか!」


「危険な任務をこなしていく奴だった。見ごたえがあったな」


「俺もそれが頭にあってな、この時計が良いと思ったんだよ」


 ミオが笑って言う。


「でも流石はドバイよね。十一個も高級時計を買っているのに、全く驚きもせずに淡々と準備してくれていたわ」


「言えてる。日本ならびっくりされてたわね」


 荷物を持って、一度ホテルに戻り女達の準備を待つことにした。俺達が早々に着替えて一階のロビーで待っていると、マナから声がかかった。


「おまたせー」


 振り向けばマナとミナミとクロサキがやって来る。それを見てタケルとオオモリが色めきだった。


「おお、美女が来たぞ!」


「ドレス姿なんて初めて見ましたよ!」


 三人がドレスに身を包み、バッグを持ってこっちに来る。


 ミナミが言った。


「フェ〇ディのミニワンピースに、フェラ〇モのパンプスを穿ける日が来るなんて」


 クロサキも恥ずかしそうに言った。


「私も全身ディ〇ールです」


 マナが寂しそうに言う。


「せめてバー〇ンだけでも日本に持って帰りたい」


「腕時計とアクセサリーはどうにか持って帰れるがな、バックはどうしてもかさばる」


「だよねえ」


 そこにまた声がかかった。


「お待たせ」


 ミオとツバサとアビゲイルだ。


「おお! こりゃすごい! 女優だ」


「マジっすね。女優さんだ」


「だってここでしか着られないんでしょ? お金使い切れないみたいだったし」


「持って帰れるのは、貴金属と時計だけだってよ。まあ後はサングラスか」


「まあ遊びに来ている訳じゃないからね」


 だがクキが言う。


「今日ぐらいはめいっぱい遊んで良いだろう」


「「「「わーい」」」」


 タケルが嬉しそうに言った。


「まずはヒカルが登ったと言った、ブルジュハリファのレストランだ。予約取ってるから早く行くぞ」


 そうして俺達は運転手付きのリムジンに乗り込み、ブルジュ・ハリファに向かう。クキと俺とエイブラハムがリムジンの中で酒を飲み始め、女達がはしゃぎまくっているうちに到着した。俺は一度来ているので、皆を案内してエレベーターに向かう。


 突然、ミナミが男に声をかけられた。


 念のため俺は杖を握っているが、話している内容は平和そうだった。隣りにいるミオが笑って答えている。


「何て言っていた?」


「アジアの女優さんですかって。南は雰囲気あるから」


「そんなことないよ。むしろそれは美桜じゃない?」


「いやいや。南の方が絶対美人だよ」


「美桜ったら」


 百二十二階に登りレストランに着くと、窓際に連れていかれ座らせられる。


「すっごーい! めっちゃ見晴らし良いんだけど」


「ほんとだわ! 凄く高い」


「周りのビルが小さいですね」


 皆がワイワイ言いながら料理を食べ始めた時、ふとタケルが言う。


「てか、ヒカル。頂上から飛び降りたんだっけ」


 すると皆が腕をさすっている。


「やめてよ武。鳥肌が立つじゃない」


「僕なんか血の気引いて失神しそうでしたよ」


「悪い悪い」


 改めて皆が外を眺めはじめる。


「うわあ」

「そうやって見ると改めてヤバいね」

「そんな人、いるの? って感じ」


「もう一度やろうか?」


「「「「「「いい! いい! いい!」」」」」」


 食事を終えた俺達はブルジュ・ハリファを出る。リムジンは観光用らしく、俺達を次々に観光名所に連れて行ってくれるそうだ。水族館や寺院を見回っていると日が暮れていく。するとオオモリが言う。


「最後のこれが凄いって噂です」


 夜にヘリコプターに乗って空から、ドバイの町を見下ろすというものらしい。ここでリムジンとはおさらばして、そのままヘリコプターに乗ってホテルまで送迎されるのだ。


 ヘリコプターの乗り場で、女達が突然じゃんけんすると言い始める。


「何をやってるんだ?」


 するとマナが言う。


「三機に分割されるんだって! だからじゃんけんで決めるの!」


「なにをだ?」


「何をって、どのヘリコプターに乗るかよ! さっ! そっちはそっちでやって!」


「なんでそんな事をするんだ」


「いいから! さあ。博士も黒崎さんもやるよ!」


 するとタケルが何かに気が付いたようだ。


「わかったぜ…こりゃヒカルと一緒のヘリに乗る勝負だ」


「俺と?」


「そりゃ必死にもなるわな! んじゃ俺達もじゃんけんだ、大森も九鬼さんも爺さんもやるぜ」


 エイブラハムが言う。


「ど、どうやるんじゃ?」


「グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝ち、パーはグーに勝つって言う日本の手遊びだよ」


「わかったのじゃ」


「「「「「じゃーんけん!」」」」」


 ・・・・・・・・・・


 その後、俺はヘリコプターに乗って夜景を眺めていた。下は物凄い光の海で、オオモリが言うように確かに素晴らしいものだった。俺の隣りにはクロサキがいて、その前にはアビゲイルとエイブラハムが座っている。お爺さんと孫が楽しそうに眺めていた。すると俺の隣りに座っているクロサキが言う。


「すみません。ヒカルさん」


「なにがだ?」


「隣が私なんかで」


「いいじゃないか」


 するとアビゲイルが笑って言う。


「そうですよ。ミス黒崎、とてもきれいな女性が隣で、ミスターヒカルもまんざらじゃなさそうです」


「そ、そうですか?」


「そうです。ねえ、おじいちゃん」


「そうじゃな。姉さんがたが、恨めしそうに見ていたけどのう」


「本当に申し訳ないです」


 俺はクロサキに言う。


「気にするな。それよりあの夜景を見ろ。あんな光の海を見る事なんて初めてだ」


「はい。とっても綺麗です」


 ドレスのクロサキは少し恥ずかしそうにしていた。今まではスーツ姿しか見た事無かったが、引き締まった体にドレスは良く似合った。生きているうちに、こんな体験をした事の無かった俺は、とにかく深く心に残る一日となる。そして俺達が泊っているホテルの上空に来た時も驚く、上空から見ると葉っぱのような模様になっていたのである。


 そこでエイブラハムが俺に言った。


「の、のう。ヒカルよ」


「なんだ?」


「もう一度言っとくが、わしの孫もお嫁さん候補に入れておくれ」


「お、おじいちゃん?」


「なんじゃ? お前は好いておるのだろう」


「ミスターヒカルは嫌いじゃないわよ。でも私は他に好きな人がいるの!」


「な、なんじゃと? 聞いとらんわい!」


「言ってないもの。人の好き嫌いを勝手に決めないで」


「す、すまんのじゃ」


 何だが気まずい雰囲気になるが、クロサキがニッコリ笑って言う。


「ふふっ。私は気づいてましたよ」


「えっ?」


 アビゲイルが真っ赤になった。


「ごめんなさい。これでもプロファイリングのプロなんです」


「そう言えば…そうでした。日本の秘密警察?」


「いえ。公安機動捜査隊特捜班です。なんかレベルが上がったらこの力が強くなってきたんですよね」


「そうなんだ…秘密にしてください!」


「分かってます」


 そうして話は終わった。ヘリコプターから降りると皆が集まって来る。


「惜しかったなあ。なんでじゃんけんで負けちゃったんだろ」


「恨みっこなしよ愛菜」


 そしてツバサが言った。


「いいなあ黒崎さんと博士は」


 いや。アビゲイルは俺と一緒ではない方が良かったらしい。だがアビゲイルが内緒と言っていたので、クロサキも黙っている。俺達のご褒美の一日は幕を閉じたのだった。

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