表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

440/661

第440話 ゾンビだらけのベイルート空港

 ヨルダンのアンマンをセーフティーゾーンにした俺達は、アンマン空港に向かっていた。イスラエルからヨルダンまでの道中で軍隊の影を見る事は無く、ゾンビが蔓延している状態では、軍隊が機能しないのだろうと判断したのだった。


「見事にゾンビが転がってるな」


「本当は残骸も掃除してやりてえけど、そいつはそのうち国連がやるだろ」


「とにかくセーフティーゾーンを作らないと、生存者が逃げ込むところが無いからな」


 俺達の車が空港に到着する。もちろん正面からではなく、俺がフェンスを斬り倒してそこからバスとトラックを侵入させた。


 クキが言う。


「さてと飛ぶ奴があるかどうか」


 空港内には航空機が置いてあるようだが、飛ぶかどうかはこれから見なければならない。すると俺の気配感知に、旅客機の中で蠢くゾンビがひっかかる。


「航空機の中にゾンビがいるぞ」


 アビゲイルが言った。


「飛行機は気密性が高いので、薬品が中に入り込まなかったのでしょう」


「そうか。安心しきって航空機に入り込んでしまうと危険だな」


「とはいえ市内にも気密性の高い場所はあるでしょうし、全てというのは難しいですね」


「仕方あるまい。いずれは浸透してゾンビも死ぬだろう」


「そう言う事です」


 そして車を止めてクキが言う。


「うーん、ヘリが見事にねえなあ。プロペラ機を探してくれ」


「「「「「はーい」」」」」


 皆が空港内に散らばって行き俺はジョーイを見張っていた。オオモリも残ってパソコンを触っている。


「自由にしてくれませんかねえ」


「この世からか?」


「い、いや。聞かなかったことにしてください」


「そうしておこう」


 空港にはあちこちにゾンビが転がっており、アビゲイルの薬がきちんと効いている事が分かる。この薬を日本に持って帰れば、恐らく全域が完全開放されるだろう。


 しばらく待っていると、奥でエンジンがかかる音が聞こえる。


「見つかったようだな」


「そうみたいですね」


 クキが戻って来て言う。


「荷物と薬を飛行機に詰め替えるぞ! ヒカルはそいつを見張っててくれ」


「了解だ」


 トラックとバスを飛行機の側に持って行き、タケルがその飛行機を見て言う。


「けっこうデけえんだな。何人乗りだ?」


「四十人くらいは乗れそうだ」


「九鬼さん飛ばせるのかい?」


「プロペラ機ならな」


 皆が全ての荷物を積み込み終わったところで、俺がジョーイを担いで入り口から入っていく。


「結構広いんだな」


「おかげで荷物が全部積みこめた」


「ああ」


 するとジョーイが言う。


「自衛隊ってな何でもできるんですね」


 だがタケルが半笑で言う。


「ゴマすっても無理だって、諦めな」


「本当に思ったんです」


「あの人はそう言う人なんだよ」


「そうですか」


 そして間もなく飛行機は動き出した。ジョーイはタケル達に任せて、俺は操縦席へと向かう。クキの隣りが空いていたので、俺はそこに座って外を見た。


「ゾンビを片付けた方が良かったか?」


「滑走路は大丈夫そうだ」


 飛行機はスピードを増し空に浮かんでいく。ヘリコプターとはまた違う飛び方に興味がわいた。


「ヘリコプターとは違うな。どのくらいで着きそうだ?」


「イスラエル上空を周って、レバノンのベイルートに飛ぶ。大森と愛菜が空港の位置を確認してくれたからな。まあ二時間もかからんだろう」


「そうか。おかしな話だが、こちらに軍隊がいないと良いな」


「いた場合はヒカルが何とかしてくれ。そのまま退散する」


「わかった」


 俺達の心配は杞憂に終わり、飛行機は何事もなくベイルートの上空に到着した。クキが空港の上まで降りていくと、空港内にゾンビが侵入しているのが見える。


「くそ。邪魔だな、スリップするかもしれん」


「わかった。ドアを開けても良いか?」


「低空なら開くだろう。まあ気圧の問題があっても、ヒカルなら開けてしまうだろうがな」


「なら、すれすれを飛んでくれ」


「了解」


 するとクキが機内に連絡を入れる。


「ヒカルが先に降りる。機体が揺れるぞ」


 その言葉を聞いてから俺は扉を開いた。すると外から暴風が吹き込み、飛行機の中の物がびゅうびゅうと飛び回った。滑走路までは三十メートル前後、俺はそのまま仕込み杖を持って扉から飛び出す。


 着地してすぐに剣技を発動した。


「強推撃」


 ビッシャァ! 空港に居るゾンビが吹き飛ばされて滑走路が開いた。


「飛空円斬」


 視界に入ったゾンビが全て倒れ、再び滑走路に侵入して来た飛行機に向かって手を振る。飛行機は車輪を出し、無事に着陸する事が出来たのだった。


 ドアから出て来たアビゲイルがゾンビ破壊薬の瓶を持っていたが、動くゾンビがいないのを確認してポケットにしまっていた。再び飛行機に乗り込むと、皆が荷物を運び出すところだった。俺は先にジョーイを掴んで、そのまま外に出る。


「俺達はこれからこの都市のゾンビを駆除しなければならん。お前はそれをどう思う?」


「どうって…」


「命がけでゾンビを駆除して、生存者を救おうとする仲間をどう思うんだ」


「そ、それはもちろん! 素晴らしいと思っていますよ! 私には到底まねできない」


「……そうか。お前には家族はいないのか?」


「昔はいましたが家族は捨てました。私は殺し屋ですよ? もう死んだものと思われているでしょう」


「この破壊が、いつかお前の家族にも及ぶのだぞ?」


「……まあ…もう関係ないですね」


「そうか、分かった。お前にはもう守るものは無いのだな」


「い、いえ! あります! それは家族が生き延びてくれることを祈っています!」


「いや、もういい。忘れてくれ」


 皆が荷物を持って下りてきたので、俺はジョーイを掴み上げて連れて行くのだった。コイツと話をしてみて良く分かったが、恐らくはもう心が壊れているのだろう。既に自分の事しか考えられなくなっていて、未だに逃げる事を考えているようだった。


 クキが皆に号令を出す。


「よし! 車を探すぞ」


「「「「了解」」」」


 タケルを先頭にして、皆が空港の建物に進んで行く。すると空港の内部にゾンビが大量にウロウロしているのが見えた。それを見てアビゲイルが言う。


「ドアの所で、薬を撒いてください! 中のゾンビを殺さないといけません」


 アビゲイルの言葉を聞いて、タケルが先に行き空港の中に入って薬の瓶を投げ入れた。そのままドアを閉めて見ていると、空港の中のゾンビ達がバタバタと倒れていくのが見える。 


 密閉空間だと薬品はすぐ充満していくらしい。ゾンビが倒れたのを確認し、皆が新型ゾンビ破壊薬を空港中に撒いて行った。一階部分は完全に静まり返り、アビゲイルが言う。


「上階には勝手に上がって行きます。空港を抜けて車を入手してきてください」


「あいよ」


 タケルとクロサキ、ミオとツバサ、ミナミとマナが空港の正面玄関を抜けて行った。俺達が空港内でしばらく待っていると、スマートフォンに連絡が入りフェンスを壊してくれという。


「クキ。コイツを頼む」


「了解だ」


 俺はジョーイをクキに預けて、ロビーを抜けてフェンスの場所に出る。


「真空乱斬」


 フェンスがパラバラと落ちて行き、そこからマイクロバスが二台入り込んで来た。タケルが窓を開けて手を振っている。車が飛行機の方に向かって行ったので、俺がクキ達の所へ戻ると四人が話し合っていた。


「どうした?」


 クキが答える。


「ん。いや…コイツをここに置いていったらどうだ、という話だ」


「そうするか?」


 だがジョーイが言う。


「ま、まってくれ! まだ私には利用価値がある! 私の後ろには組織が付いているんだ! 彼らがファーマー社に敵対するかもしれない! いやむしろファーマー社の悪い奴を暗殺する事だって出来るはずだ!」


 それを聞いてオオモリが言う。


「僕らが依頼を出すって事?」


「そうだ。ファーマー社の幹部を殺す依頼を出せばいい」


 俺達が顔を見合わせていると、オオモリが言った。


「無くは…ないですよね。でもそんな事が本当に可能なんですか?」


「も、もちろんだ! 金次第だがな」


 だがクキが怪訝な顔をして言う。


「組織がそんな危ない橋を渡るのか?」


「い、いや。現に私がサルバトーレに呼ばれている。それに組織は私があなた方を売ろうとしたことは知らないし、円満に仕事が終わったと思っているでしょう」


 エイブラハムが首を傾げた。


「そうじゃろうか?」


「そうです! まだ利用価値はある!」


 俺達が顔を見合わせて言う。そしてアビゲイルがぽつりと言った。


「毒には毒を…ですか…」


 するとクキが言った。


「ふん。まだ生かしといてやろう。だが何かおかしなことがあれば終わりだ」


「も、もちろん金が必要ですが」


 するとオオモリが言う。


「それは何とでもなります。まあベイルートの処理が終わったら、じっくり聞くとしましょう」


「頼む…」


 俺達はジョーイをまだ連れていく事にした。そして俺達はまた車に荷物を積み込んで、ベイルートの掃除を始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ