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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第437話 ゾンビ破壊新薬の超絶効果

 アビゲイルが開発した、新型ゾンビ破壊薬は次々に瓶になって出て来た。俺達はそれを次々と出荷用の箱に入れて、工場の端に並べて行く。とにかくこの工場の電源が生きている限りは、ギリギリまで製造を続けるという。


 そして想定していた通りに、二時間ほどで薬品工場はストップしてしまった。


 積み上がった段ボールを見てタケルが言う。


「こんなにバスに乗らねえぞ」


 それにはクキが答える。


「敷地にファーマー社の薬品運搬トラックがあった。あれに積み込むとしよう」


「んじゃ。俺がトラックを回す」


 するとミナミが言う。


「じゃあ私も一緒に」


 そうして二人は工場を出て行った。


「じゃあ、出荷用入り口に荷物を運ぶぞ」


 そこでツバサが言う。


「台車あるから、それに積んで運ぶと良いわ」


「そうしよう」


 俺達は段ボールを次々に台車に乗せ、それを搬入口に運んで行った。すると搬入口の外からガンガン! と叩く音がする。


「トラック持って来たぞ!」


 オオモリが入り口の脇で何かを操作して言った。


「シャッターが開かないです」


「仕方ない」


 俺が巨大なシャッターの下に手をかけて、思いっきり上に投げるように開いた。


 ガン! とシャッターが十メートル上の天井にめり込む。


「なっ…なんですか、その力は?」


「なんでもない。扉が邪魔だから開いただけだ」


「意味が分かりません…」


 ジョーイには慣れてもらうしかないだろう。俺達はトラックの後ろのシャッターを開けて、次々に新型ゾンビ破壊薬をトラックに積み込んで行った。全てを積み終えて、クキがみんなに言う。


「トラックとマイクロバスに分かれて行こう。ヒカルは全体が見渡せるマイクロバスに乗ってくれ」


「わかった」


「それでアビゲイル博士。この薬をどうすればいいんです?」


「極端に揮発性が高く、その粒子がばら撒かれる仕組みになっています。瓶かアンプルに詰め込みましたので、それを地面に投げつけて割るか、ふたを開けて振りまいてください」


「「「「「「「はい!」」」」」」」


 そしてアビゲイルは付け加える。


「その前にミスターヒカルと大森さんに頼みがあります」


「なんだ?」

「はい?」


「このデータと現物をこの工場に残したくありません。万が一ファーマー社にバレたら対策を講じられます」


 それを聞いてオオモリが言う。


「分かりました。データは復旧不可能な状態にしていきます」


「なら、それが終わった後で、俺が現物を工場ごと消し去ろう」


「お願いします」


 そしてオオモリはアビゲイルが触っていたパソコンに、自分のパソコンを連結して何かをやっている。それが全て終わると、オオモリが俺に言って来た。


「まあヒカルさんが焼くなら必要ないんでしょうけど、念のため復元不可能な状態にしてきました」


「よし。ならトラックとバスを出せ」


 俺が言うと、トラックに続いてバスが敷地から出て行った。


 俺は工場の入り口に立って後ろを振り返る。


「剛龍爆雷斬」


 俺の日本刀から小さな火の玉が飛んでいき、それが工場に飛びこんだ直後。


 ドゥ!


 工場の建屋が吹き飛び、跡地にクレーターが残った。それを確認して俺がマイクロバスに乗り込む。


 するとジョーイが聞いて来た。


「爆弾を使ったのですか?」


「違う」


 ジョーイの頭に疑問符が浮かんだようだが、俺は特に何も言わなかった。だが俺が工場を爆破したことによって、その音を聞きつけたゾンビ共がこちらに向かってきている。


 直ぐに車を止めて俺がトラックの前に行くと、トラックの荷台からアビゲイルが降りて来た。


「ヒカルさん。やって見ますので一緒に来ていただけますか?」


「分かった」


 俺が護衛につきアビゲイルがゾンビの前に行く。そして手にした瓶を俺に渡して来た。


「これをおもいっきりゾンビの足元に投げつけてください」


「よし」

 

 俺はアビゲイルに言われた通り、その瓶を先頭のゾンビ足元に投げつける。


 バリン!


 音をたてて、その薬瓶が割れた。


 次の瞬間。


 バタ! バタバタバタバタバタ!


 波が引いて行くように、薬品を中心にゾンビが倒れていく。


「ミスターヒカル。あの風のようなものを起こせますか?」


 俺が日本刀をかまえる。


「推撃!」


 俺は推撃を、今倒れたゾンビの方角に向けて撃ちだした。すると風が吹いた方向に向かって、ゾンビがパタパタと倒れていく。あっという間に、路上に集まっていたゾンビが倒れて行った。


「成功です」


「凄いじゃないか」


「ミスターヒカルに言われると照れますね」


 そして俺がトラックの方に向かって手を振る。するとトラックとマイクロバスがこちらに進んで来た。早速、仲間達が降りて来て俺達に向かって言った。


「凄い! 凄い効果ですね!」


 ミオが喜んで言う。それを見ていたマナが言った。


「じゃあさ、この薬を海側の高い建物の屋上からばら撒いたらいいんじゃない? 海風に乗って市街地に流れていくでしょ?」


 アビゲイルが答える。


「それは名案です。ミス愛菜」


 俺がそれに答える。


「そうと決まればすぐにやった方が良い」


 皆が車に戻り、直ぐにジョーイに伝える。


「海側の高い建物を目指してくれ」


「ならばヒ〇トンホテルに向かいましょう。あそこが一番高い」


 そして俺達は、海沿いにあるホテルに向かい十五分ほどして到着した。そこは十七階ほどある建物で、俺達がバスを降りると海側から強い風が吹いている。ゾンビがうろついていたので、俺が飛空円斬で全てを斬り捨てて言う。


「じゃあ薬を持って上がるぞ」


 俺が言うと皆が数個の段ボールを持った。だがそこでアビゲイルが言う。


「一箱で充分ですよ」


 そう言われて皆が段ボールを置いた。そこでジョーイが言う。


「なら段ボールを積んだトラックを見張る人が必要ですね。私が見張っていましょうか?」


 それにクキが答える。


「いや。見張りは、タケルとミナミとツバサにお願いして良いか?」


「ああ良いぜ」

「ゾンビが来たら斬っておくわ」

「まあ私が音で分かるしね」


 するとジョーイが言う。


「なら私はマイクロバスで待ちましょう」


 しかしそれもクキが首を振って言う。


「いや。ジョーイ、あんたも一緒に運んでくれるか? 男手があった方が何かと助かる」


「……わかりました。その通りですね」


「タケル。万が一があったら銃を撃て。直ぐに来る」


「わかった」


 そうして俺達は、タケルとミナミとツバサをそこに残していく。ホテルに入ると中もゾンビだらけだったが、アビゲイルがみんなに言う。


「室内ならアンプルが使えると思うわ」


 アビゲイルはアンプルをパキッ! と割ってゾンビに向かって放り投げる。するとこちらに向かっていたゾンビがパタパタと倒れて行った。


「空調が動けばいいんだけど…」


「とにかく上に上るぞ」


 するとクキが言う。


「俺が殿を務める。ヒカルは先頭でゾンビを処理してくれ」


「了解だ」


 俺が先を行き、刺突閃でゾンビを仕留めながら進んだ。そしてアビゲイルが瓶のふたを開けて、ポイポイと各階層の入り口に放り投げていく。屋上につくまで十七個の瓶を使った。


 屋上は海風が強く、陸の方に向かってビュービューと音をたてて吹いていた。


「いいわ。凄くいい条件! 瓶を開けて、縁から振りまいて!」


 皆がアビゲイルに言われ、ホテルの端から端まで散らばり薬を振りまいて行く。そこでクロサキがアビゲイルに聞いた。


「これで本当に利くのですか? かなり微量だと思われるのですが」


「問題ありません。ナノより小さな粒子ですから、ひと瓶で数百兆の粒子が飛びます」


「凄い…」


 段ボール半分くらいを撒いた時に、アビゲイルが言った。


「このくらいで十分だと思います。後は風が運ぶでしょう」


「これで?」


「初めて完成した薬品ではありますが、計算上は過剰に撒いたと思います」


「へえ…」


 そして俺達は、段ボールを持って再びホテルの中へと戻る。するとホテルの中は完全に静まり返っており、俺の気配感知にも全くゾンビの気配がしなかった。


「凄いな…ゾンビの気配が全くなくなった」


「室内全域にいきわたったのです。このホテルを拠点に、これからもじわりじわりと広がると思います。この薬品は揮発性も凄いですが、物に付着すると除菌効果のようにずっと効果が続きますから」


 それを聞いたオオモリが目を丸くして言う。


「薬品でセーフティーゾーンが作れるんですね! 凄い! 流石はノー〇ル賞の博士です」


「それもこれも、日本におられる高島博士のおかげ。後はヒカルさんが私の体を変えたおかげです」


「なるほどです」


 それを聞いていたジョーイが言う。


「体を変えた?」


「ええ」


「言っている意味がわかりません」


 それをクキが制す。


「体質改善のトレーニングみたいなもんだ。そうですよね? 博士」


「はい」


「なるほど」


 そして俺達はホテルを出てタケル達の所に行く。するとタケル達は暇そうにしていた。


「なーんもおきなかったぜ」


「それが一番だろう?」


「まあな」


 そして俺達は、またバスとトラックに乗り込んで都市の方に走り出すのだった。

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