第424話 ゾンビ引き寄せとコロシアムでのレベル上げ
オオモリのシステムを見ながら、遺跡のような場所を突っ切りコロッセオに向かった。ゾンビがウロウロしているが、それよりもファーマー社を止める方が優先だと無視する。クキが言うには、先にファーマー社を始末しないと更に被害が広がるという事だった。
コロッセオに近づくにつれて、おかしなものが見えて来る。何かが空に打ち上がり四方に飛んで行っているのだ。コロッセオが見える高台に来ると下の広場には数台の装甲車あり、そこから何かが打ち上げられているのが確認できた。
高台から見てクキが言う。
「ベルリンで見た、車から直に散布する方式とは違うようだな」
タケルが聞き返す。
「あの打ち上げてんのが、ゾンビ化薬か!」
「そのようだ。実際に車で散布し回れば、ゾンビの危険に晒されるから遠方からやっているんだろう」
「急速に広がってる理由はそれかよ」
「二人は後から来い」
二人を置いて縮地で、装甲車両群のそばに出現する。
「冥王斬」
ジャキッ!
そこに置いてあった四台の装甲車が、中の人間ごと切れて打ち上げを止めた。たまたま俺の斬撃から外れた奴が装甲車の上から、のこのこ這い出て来た。
「刺突閃」
ドサっ!
「ヒカル!」
「撃つのを止めたぞ」
「車両を処分しよう」
装甲車両から燃料が流れ落ちているのを見て、クキがポケットから何かを取り出す。
「それはなんだ?」
「お嬢様の船に置いてあったマッチだ。離れろ」
シュッ!
クキがマッチを擦って火をつけ、地面にこぼれた燃料に放り投げる。ボッと火がついて、それが装甲車の方に向かって行った。俺達が急いでそこを離れると、装甲車両が大爆発を起こす。
「たーまやー」
タケルが手を叩いている。
すると俺の気配感知に、新たな気配が伝わって来た。
「集まってくるゾンビに混ざって、ゾンビ化人間達のお出ましだ。周辺に散らばっていたらしいが、結構な数がいるぞ。爆発を聞いて戻ってきているのだろう」
「どうするかね?」
俺があるものを指さしてクキに聞いた。
「あれはなんだ?」
「ありゃ。コロシアムだな、古代ローマで殺し合いをさせて見世物にした場所だよ」
「それは…おあつらえ向きだな。殺し合いには持ってこいという事だ」
「まあ。そう言うこった」
「二人のレベル上げに使わせてもらう」
俺は、目の前で燃え盛る装甲車に向かって剣技を繰り出した。体をひねり込みいつもとは違う角度で下から上に打ち込む。
「強推撃!」
ドゴン! と音をたてて、燃え盛る装甲車が空に飛び上がり、放物線を描いてコロシアムの中に落ちて行った。それを見てタケルが言う。
「ナイスショット!」
「俺達も行くぞ」
俺達はゾンビ化兵が来る前にコロシアムに侵入した。すり鉢状の中にでこぼこの障害物がある広場があった。何カ所かに俺が吹き飛ばした装甲車の残骸が落ちて、くすぶっている。
「クキ。音をたてて銃を撃て」
クキは懐から拳銃を取り出して、銃の先についている筒を外して撃った。
パン! パン! パン!
「来た」
音に誘われて、ゾンビ化兵が侵入してくる。そして俺が二人に言う。
「闘技の始まりだ。念のためゾンビ破壊弾は仕込んでいるか?」
「もちよ」
「ああ」
すると、こちらに向けて殺意が飛んで来た。
「隠れるぞ」
そうして俺達三人は、暗がりに入り込み壁の裏側に走る。
「より取り見取り。ゾンビ化兵を狩ってレベル上げだ」
「「了解」」
「なるべく銃を使わず戦え、トドメのお膳立ては俺がする」
「「了解」」
そうして俺は一番近いゾンビ化人間に向かっていく。
この世界にギルドカードが無いから確認できないが、三人パーティーならばより多くの経験値が入るはず。最初のゾンビ化人間が見えたので、俺が低空で剣技を繰り出す。
「真空裂斬」
足を斬り落とされて、ゾンビ化兵が床に転げた。
「ボコれ」
二人がそいつに近づいて、タケルがモーニングスターでクキが銃剣でざくざくに突き刺した。だがゾンビ化兵なので、すぐに死ぬことはなく藻掻き続けている。
「ぎゃああ。ぐおっ! お、俺はこんな事では死なないぞ!」
「屍人刺突閃」
俺が眉間を撃ち抜くと動きを止める。
「これを繰り返す」
「いいね」
「ストレス解消だな」
すぐに気配感知でゾンビ化兵を突き止める。どうやら二人が今の叫びを聞きつけて、走ってきているようだ。
「暗がりに」
二人がスッと壁の暗闇に消えた。倒れているゾンビ化兵に駆け寄ってきてしゃがみ込む。
「なっ。なんで死んでるんだ?」
「手術したはずだろ?」
スパッ!スパッ!
俺は二人の膝から下を斬り落とす。
ドサっ! ドサっ!
そしてタケルとクキが出て来て、倒れたゾンビ化兵をボコボコにし始めた。
だが一人が余裕の素振りで言う。
「やるがいい! お前達の体力が持つか、俺達の再生がもつか!」
だが二人は聞いちゃいなかった。ただひたすらにゾンビ化兵をボコボコにし続ける。顔の原型が無くなるほどになっても、まだゾンビ化兵は生きていた。
「屍人斬」
スパ!スパ!
そいつらの首を斬り落とすと動かなくなった。
するとクキが笑って言う。
「入れ食いだな」
クキはゾンビ化兵が持っていた自動小銃を取り上げて、コロシアムの外に向けて乱射した。
ダダダダダダダダ!
その音につられてまたゾンビ化兵達が、こちらに寄ってきている。
「いい感じだクキ」
「よっしゃ」
「こっちから来る」
俺達は場所を移し換えて、ゾンビ化兵が来るのを待った。俺達が待ち伏せているところに三人のゾンビ化兵が来た。反撃をされても困るので、俺は更に細かく切り裂く。
「空裂斬」
三人の手足が吹き飛ぶ。
「やれ」
二人が出て来て、手足の無いゾンビ化兵ボコボコにした。それでも再生をしようとするのは、ゾンビ化人間の凄い所である。ほぼ肉隗のようになっても動こうとしているので、俺がとどめを刺した。
「屍人斬」
三人の止めを刺すと、パアッとクキが輝いた。
「クキ! レベルアップだ」
タケルが言う。
「いいなあ。俺はしばらくそれを体感してねえぜ」
「俺の方がレベルが低いんだ。当たり前だろう」
だが俺はタケルに言った。
「まだまだいるぞ。今のこのコロシアムは最高の狩場となった」
それにクキが言う。
「バチカンは大丈夫だろうか?」
「そのためにミナミとクロサキを置いて来たんだ。バチカン周辺のゾンビは俺が削ったしな。それにさっきの爆発のおかげで、周辺のゾンビはここを目指している。ゾンビ化兵をやったら、奴らの武器で音をたててゾンビをおびき寄せよう」
「んじゃ派手に騒ぐかあ!」
「そうしてくれ」
するとクキが殺した兵士から手榴弾を外してピンを抜き、コロシアムの外に向けて放り投げた。
ズバン!
大きな音をたてて爆発した。
「そういうことか!」
それを見たタケルも、手榴弾を外して外に放り投げ始める。派手な音にゾンビ化兵だけでなく、外のゾンビ共もこちらに集まってきたようだ。それからも俺達は、ゾンビ化兵を狩りながら派手に音をたてまくるのだった。




