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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第422話 バチカン市国をゾンビから守る

 バチカン市国の入り口には、大型バスと柱で組んだ金網のバリケードが作られていた。物凄い数のゾンビが押し寄せており、その上を乗り越えようとバスの屋根までいっぱいになっている。その手前に金網がある為、なんとかそこで食い止めてはいるが破られるのも時間の問題だろう。


 手前にいる警官隊が、必死に銃で応戦しているために何とか留まっているのだ。


「食い止めろ! 中に入れるな!」


「も、もう金網が持ちません!」

「弾丸も残りわずか!」

「上まで来ています! 崩壊する!」


 金網はゆさゆさと揺さぶられ、今にも柱から外れそうになっていた。


 俺は無造作にそこに歩いて行く。


「お、おい! 君! 危険だ!」


「もう無駄弾を撃つな」


「な、何を言っているんだ?」


 俺は金網の上に飛び乗った。


「な! おい! 死ぬぞ!」


「死なん」


 金網のてっぺんから、十メートルほど上空に飛ぶ。


「「「「「「!!!!!!!」」」」」


 地面に山済みになっているゾンビに向けて日本刀を構えた。


「氷結斬!」


 十メートル四方の山積みのゾンビを凍らせ、俺はそれを土台にして立った。すると俺に気が付いたゾンビ達が、凍ったゾンビの山によじ登ろうとする。だがつるつる滑って、なかなか登る事が出来ないでいた。


 ここで奥義を使えば…警官隊まで巻き込んでしまうな。


 そこで俺は、魔王ダンジョンの十五階層で虫の大群に襲われた時に使った剣技を使う。


「炎蛇鬼走り」


 俺が頭上に剣を振ると打ち上がるように炎が上がり、それが蛇となって噴水のように地上に降り注ぐ。ゾンビに降りかかった炎の大蛇は、ゾンビを喰らい尽くすように走り出す。攻撃範囲を確認した俺は再度同じ技を撃つ。


「炎蛇鬼走り」


 うねうねとうねる炎の蛇が降り注ぎ、周辺を走り回る。


 周辺のゾンビが削れたことを確認し、自分が乗っている凍ったゾンビに剣技を振るう。


「重水撃斬」


 ドッ!


 超水圧がゾンビの氷の山を押しつぶして割り、大量の水が周りのゾンビを押し流した。


「氷結斬」


 ぺしゃんこになった水浸しのゾンビを再び凍らせる。俺が降りたつと、周辺のゾンビが氷で転びながらも俺に近づいて来ようとする。


「どうだ。滑るだろう?」


 オガアアアアア!

 アアアアアア!


 「じたばたするな。推撃 十連!」


 ドチャッドチャッドチャッドチャッドチャッドチャッドチャッドチャッ


 警察隊に被害が及ばないように推撃でゾンビを潰していった。熟したトマトのようにはじけ、次々にゾンビ達が消えていく。そこでお俺は口笛を吹く。


「ピィィィィィィ!」


 すると金網に群がっていたゾンビが、こちらに気が付いて次々に降りて来た。


「身体強化、脚力上昇、思考加速」


 グッ! と体をたわめて、俺は稲妻のようにゾンビの間を駆け抜ける。


 ビシャァァァァア!


 俺が過ぎ去った後のゾンビが破裂した。更に警官隊側のゾンビを消し、警官隊を背にしながら剣を構える。


「飛空円斬」


 俺が見えている範囲のゾンビが全て斬れた。すると後ろから声がかかる。


「あ、あんたはいったい…」


「王を助けに来た。それともう銃は撃つな、音をたてれば奴らは近づいて来る。このバリケードがあれば乗り越えてはこない」


「わ、わかった」


 そして俺はバスの上に飛び乗り、金網を飛び越えて警官隊の中心へ飛び降りる。


「ゾンビが消えた…ど、どうなってんだ?」

「いったい何メートル飛んだ?」

「夢でも…みてるのか?」


 かまわず皆の気配がする方へ走ると宮殿が見えて来る。どうやら仲間達は宮殿の最上階にいるようで、地面を蹴り一気に最上階まで飛んだ。


 コンコン!


 窓に張り付いてノックすると、中からクキが顔を出した。


「ヒカル」


「入り口は押さえた」


 窓を開けてくれたのでそこから中に入ると、仲間達以外に老齢の人間達が複数人いた。奥を見るとサルバトーレが老人の手を握り泣いている。その老人はサルバトーレの頭をなでて微笑みかけていた。


 そして俺が言う。


「脱出するぞ」


 だがクキが言う。


「まあ…それが困った事になっててな」


 すると、俺に気が付いたサルバトーレを撫でている老人が声をかけて来る。


「あなたは?」


「サルバトーレに言われて、あんた達を助けに来たんだ」


「なるほど…」


 何やらおかしな雰囲気になっているようだ。するとサルバトーレが言う。


「法王は、被害にあった方々が大勢いるのに、ここから逃げるわけにはいかねえと仰っておられるんだよ」


「しかし、周辺はゾンビだらけだ。警察ももう銃弾が切れたと言っていた」


 だが法王が言った。


「ならばなおの事、市民を見捨てるわけにはいかない」


 そう言う事か。


 するとクキが法王に聞いた。


「じきにイタリア軍がやってくるでしょうし、警察も介入してくるに違いない。申し訳ないが、我々は世界に正体を晒すわけにはいかないのです。ですがどうしても、あなた達には生き延びてもらわなければならない。どうすれば一番いいかを見つけられずにいるのです」


「なるほど。異国の方、おっしゃることは分かります。でしたら私を置いて行かれるが良い」


「…という訳にもいかないんです」


 それを聞いてサルバトーレが言う。


「法王よ。どうだろう? ここは一つ彼らの言う事を聞いてくださっては?」


「サルバトーレよ。生き延びる事が困難で、困っている市民がたくさんいるのです。私はここで、彼らが生き延びれるように祈りを捧げるのみです」


「しかし…」


 そこでミオが言う。


「ヘリコプターに仮面が積んであるわ。ハンジさんが持って来てるから…」


 クキが頷いて答える。


「ザ・ベールに成り済ますか…」


「それしかないんじゃない?」


 そこでタケルが言う。


「マフィアのおっちゃんよ。ヘリをバチカンに呼んでくんねーかな」


 するとサルバトーレが言う。


「そ、そうしよう! すぐに呼ぶ!」


 サルバトーレが電話をし始めた。


 するとそこでマナが言う。


「私は、法王と枢機卿たちに、ファーマー社のデータを見てもらった方が良いと思う。祈りだけでどうこうなるものでもないわ」


「それも一理あるか」


「大森君準備して!」


「わかりました」


 そこでミオが言う。


「突然押しかけて申し訳ございません。私達はずっとファーマー社の所業を追い掛けてきました。その現状を全てお見せしますので、そこでご判断いただく事は出来ますか?」


「もちろん見させてもらうよ。そこで判断をするとお約束しよう」


 俺は皆に言う。


「入り口に大量にいたゾンビは全て潰した。だがベルリンと同じように、どこかにファーマー社はいるだろう。そいつらを潰して、ゾンビを増やすのをやめさせないと被害が広がるぞ」


 タケルが、伸びをするようにして言った。


「んじゃ。ファーマー社、潰しますかぁ…」


「それしかあるまい」


「そうね」


「ヘリコプターが来れば、音でゾンビが集まって来るだろう。まずはそれを全て片付ける」


「「「「「「了解」」」」」」」


 そして十分もしないうちに、ヘリコプターの音が聞こえてくる。バチカン市国の敷地は広く、次々にヘリコプターが降りて来た。


「俺はゾンビを片付けて来る。皆はヘリコプターの彼らをここに入れてくれ」


「わかった」


 皆がヘリコプターのマフィアたちと、アビゲイル、エイブラハム、ハンジ、クワタを迎えに出た。俺はその脇を走り抜け壁の外へと飛び出して行く。やはり外には、音を聞きつけたゾンビが集まりつつあった。


「飛空円斬」


 周辺に生存者はおらず、俺は大技を使い始める。ヘリコプターが全ておりきるまで、俺は周囲のゾンビを潰し続けた。十機全部が着陸してからもゾンビを狩りまくり、収まったところでバチカンに戻る。


 最後に降りて来たヘリコプターの所に行くと、俺の姿を見たアビゲイルが寄って来る。


「ミスターヒカル。皆は無事?」


「法王と揉めているところだ」


「法王と? 私を連れて行って!」


「わかった」


 俺はアビゲイルとエイブラハムを両腕に抱きしめて、一気に宮殿の最上階にジャンプした。


「ひゃっ!」

「おわわわ」


 窓から中に入って降り立つと、法皇や枢機卿が目を丸くしてこっちを見ている。まだマフィアの連中やハンジやクワタも来ていなかった。


「博士を連れて来た」


「い、いったいどこから…」


 呆ける法王と枢機卿をよそに、アビゲイルとエイブラハムが深くお辞儀をして挨拶をする。


「初めまして法王猊下。私はアビゲイル・スミス。元ファーマー社の研究者です」


「ほう…お初にお目にかかりますな。あなたが『あの』アビゲイル博士ですかな」


「そうです」


 しばし沈黙が流れたが、法王が言う。


「今ファーマー社のデータを見せてもらっていました。お話をしたいのですが、しばしお時間を頂いてもよろしいかな」


「かまいません」


 そして法王達は、再びオオモリのパソコンでファーマー社の情報を見始めるのだった。

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