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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第420話 イタリア沿岸でステルス艦のミサイル攻撃

 シチリア島を飛び出した十機のヘリコプターは、編隊を組んで海上を飛び続けていた。ローマまでは約一時間ほどで到着するらしいが、それまでにドン・サルバトーレが救いたい人間が生きているとは限らない。俺はヘリコプターのドアから体を乗り出して、進行方向を警戒していた。


 ドン・サルバトーレが俺に言う。


「兄ちゃん。そんなところで見ていても、どうしようもねえぜ?」


 だがそれにクキが答える。


「いや。ヒカルの目は下手なレーダーよりずっといいんだ」


「人の目がか?」


「そうだ」


 そんな事を言っている間に、俺の視界にあるものが見えて来た。俺がヘリコプターの中に叫ぶ。


「何艘かの船がいるぞ?」


「おい! 船が見えるか?」


 サルバトーレが聞き、ヘリコプターの操縦士が答える。


「いえ! 全く見せません! 航海灯を灯していませんし、色別信号もあがっていませんが?」


 俺が聞く。


「どういうことだ?」


「いや、夜の船ってのは衝突を避けるために、灯りを灯さなきゃならねえんだ」


 それを聞いてクキが叫ぶ。


「ドン・サルバトーレ! すぐにヘリコプターの編隊を迂回させろ! 直進してはダメだ!」


「なっ?」


「ステルス軍艦か潜水艦だよ! 早く!」


「わ、わかった! マイクをよこせ!」


 ドン・サルバトーレがマイク付きのヘッドセットをつけた。


「全隊戻れ! 一度編成を立て直して迂回しろ!」


 バシュッ! という音が聞こえて来る。すると尻から火を噴いた筒がこちらに飛んで来た。


 操縦士が叫ぶ。


「ミサイルだ!」


「サルバトーレ! このヘリコプターを横に向けろ!」


「ミサイルにやられっちまう!」


「いいから!」


 俺はヘリコプターの足に足をひっかけて蝙蝠のようにぶら下がり、村雨丸の指紋認証を押して鞘を外した。他のヘリコプターは既に逃げており、真っすぐにこのヘリコプターへミサイルが飛んで来る。


「閃光孔鱗突」


 俺が剣技を振るうとミサイルが爆発した。上からクキが俺を覗いて言う。


「どうだ?」


「撃墜したが、一発では終わらんだろう」


 ドン・サルバトーレが騒いでいる。


「み、ミサイルが自爆したぞ!」


 クキが叫ぶ。


「自爆じゃない!」


 するとドン・サルバトーレが慌てて操縦士に言った。


「に、逃げろ! 次が来る!」


 俺が叫ぶ!


「ダメだ! 更に近づけ!」


 だがドン・サルバトーレが叫んで答える。


「ダメだ! 俺が死んだらファミリーが路頭に迷う!」


「良いから!」


「良くないわい!」


 するとクキがドン・サルバトーレのこめかみに銃を突き付けて言う。


「悪いがヒカルの指示通りにしてもらおう」


「き、貴様!」


「早くしろ!」


「くっ!」


 ドン・サルバトーレは半ば開き直りのように怒鳴る。


「ヘリコプターを真っすぐすすめろ!」


「し、しかし!」


「つべこべ抜かすな! 俺のどたまに穴が開く! こいつ本気だ!」


「は、はい!」


 俺達が乗ったヘリコプターが先に進むと、更に数本のミサイルを射出して来た。


「ほ、ほれ! 言わんこっちゃねえ! 死ぬ! 死ぬ! 死ぬ! 死ぬ!」


「死なない!」


 クキとサルバトーレの喧嘩は放っておいて、俺が再び剣技を繰り出す。


「閃光孔鱗突。五連!」


 次の瞬間、ミサイルは暗い海の上で全て爆発した。


「ど、どうなっとるんじゃ?」


 サルバトーレが慌てているが、俺は更に指示を出した。


「直進する先に、二隻の黒い船がいる! ミサイルの出所はそいつらだ!」


「そ、それじゃあ! 早く逃げんと!」


「それでは味方が撃ち落とされる! このまま船の元に飛べ!」


「くっ! 訳が分からん! もうこうなったらヤケじゃ! 行け行け!」


 ヘリコプターはすぐに二隻の黒い艦艇の上空に来た。


「俺が合図をしたらすぐにここを飛び去れ!」


「わかった!」


「奥義! 天空流星斬!」


 ゴゴゴゴゴ!


「行け!」


 ヘリコプターが飛び去った後、天空から超巨大な岩が落ちて来る。すると眼下に巨大な水柱が上がり、一隻を直撃、もう一隻は大波に飲み込まれて沈んでいった。


「どどどど、どうなっておる!」


「ヘリコプターの編隊を戻しローマに直進しろ!」


「ふ、船は?」


「沈めた」


「…沈めたぁ??」


「行け!」


 ドン・サルバトーレは慌ててヘッドセットを戻し、他のヘリコプターに伝える。


「戻れ! このままローマに直進だ!」


「「「「「「「「「は!」」」」」」」」」


 俺が体を起こして、最初の時のようにヘリコプターの脇に立つ。それを見たクキが銃を引っ込めて座席に座った。


「ドン・サルバトーレ。銃を突き付けてすまなかった。そうしないと他のヘリが落とされていた。緊急の為、致し方なかった」


「わ、わかった。いや、良く分かってねえけど、俺達が助かったのは事実だ」


「すまんが、ヒカルの指示は絶対に守ってもらいたい」


「だが…」


「恩人を助けたいのならば絶対だ」


「わかった」


 ようやくドン・サルバトーレが納得してくれたらしい。だがポツリと聞き返す。


「あんた…本気で俺の頭を弾くつもりだっただろ?」


「全滅するくらいならやってた」


「…マフィア顔負けの冷徹さだな」


「仕事だ」


「そうか…わかった」


 そんな会話をしているうちに夜景が見え始め、ヘリコプターの編隊がそちらに向かって進む。すると、あちこちから煙が上がっているのが分かった。


「ひでえな…」


「確かに…生存者がいるかどうか」


「さっきの船はファーマー社だろうか?」


「多分な」


 ローマ周辺で火災が起きており、俺の気配感知に逃げ惑う人とゾンビの気配が伝わって来る。


「どこか安全な所でヘリコプターを下ろせ!」


「わかった!」


「サルバトーレ! あんたらの仲間は降ろすな。安全な場所で待機していてくれ」


「どういうことだ! 俺達は法王を助けに来たんだぞ!」


「無駄死にする事はない」


「はあっ??」


 するとまたクキが言う。


「とにかく言う事を聞いてくれ。俺達が行く」


「な、なら! 俺を! 俺だけでも連れて行ってくれ!」


「どうする? 大将」


「かまわん。連れて行こう」


「あんちゃん! 恩に着るぜ」


「行くぞ」


 ヘリコプターが次々に広い場所に下りて仲間が降りて来る。アビゲイルとエイブラハムも降りようとしていたが、俺はヘリコプターで待機するように伝えた。


 タケルがジュリオに言った。


「ジュリオさんよ。わりいけど、博士達をよろしく頼むわ!」


「分かった。俺からも頼むよ。親父を死なせねえでくれ」


「分かってる」


「親父! 死ぬんじゃねえぞ」


「おめえもしっかり博士を守ってろや」


「もちろんだ」


 俺達とドン・サルバトーレを降ろして、次々にヘリコプターが飛び去って行った。俺の周りにみんなが集まってきて、例の眼鏡を取り出して装着する。


「おお、はっきり見えるぜ」


「ゾンビは全て駆逐するぞ」


「「「「「「「了解!」」」」」」」


 そしてクキが言う。


「イタリア警察とイタリア軍が態勢を整えるまでの時間だ。それまでに出来るだけの市民を逃がすようにするぞ」


「「「「「「「了解!」」」」」」」


 するとドン・サルバトーレが目を丸くして言う。


「あんたら…素人…なんだよなあ?」


「女子大生やOLやエンジニアですよ」


「本当に大丈夫なんだよなあ?」


「自衛隊の特殊部隊である、特殊作戦群だった俺から言わせてもらえれば、このチーム以上にゾンビに対抗できるチームはいない」


「は、はあ…わかった。とにかく邪魔にならないようにする」


「そうしてくれ」


 そして俺達は、炎が燃え盛る都市に向かって走り出すのだった。

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