表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

417/661

第417話 勇者の地中海クルージング

 俺達が船底に行くと、薄暗い機械室に神経質そうな眼鏡のヨーロッパ人がいた。船に居た老紳士が俺達を紹介すると、その眼鏡のヨーロッパ人が言う。


「入って」


 オオモリが喜んでいる。


「機械盤が入り口になってるんですね! 秘密基地だあ」


 操作盤みたいなところが開いており、俺達はその神経質そうな男について中に入った。そしてハンジが尋ねる。


「お嬢様から、彼らにプレゼントがあると聞いたんです」


「聞いてる。こっちだ」


 奥にちょっとした階段があり、そこを下ると不思議な空間が広がっていた。所狭しといろんな物が置いてあり、タケルが何気なく置いてある腕時計に手を触れようとする。


「あ! ダメ!」


 ビクッ!


 タケルはびっくりして手を引っ込める。


「睡眠ガスが出るから」


「えっ」


「えっと、お嬢様から聞いているのは、あんたがたが、どこぞのスパイだって事だ。そしてここには、あんたらの活動の役に立つような道具が並んでいる」


 それを聞いて仲間達が唖然としている。男が続ける。


「えーとぉ。日本刀を使う人がいるって聞いたんだが」


 俺とミナミが前に出る。


「俺とミナミだ」


「そうかそうか。これを見てくれ」


 そう言って出されたのは、一本の杖と傘だった。


「杖と傘?」


「仕込み刀だよ。だが簡単に外れないんだ、持ち手の所に親指をつけるところがあるだろう?」


 見れば何らかの仕掛けがあるようだ。


「そこに持ち主が親指をあててくれ」


 言われたとおりにする。


 ピピッ! カチ!


 そしてするすると日本刀が出て来た。ミナミが渡された笠も同じように日本刀が出て来る。


「すごいわ。これなら持ち歩いても違和感がないわ」


 確かにミナミの言うとおりだった。そして男が付け加えて言う。


「これで二人の指紋を覚えたから、他の人が触っても刀は出てこない。そっちの刀、なんでも村雨丸とか言う奴らしい。日本じゃ架空の物語に出てくるらしいが、実はポルトガルのほうに流れてたらしいぞ。それをお嬢様が買って来たんだ」


 するとミナミが言う。


「えっ…南総里見八犬伝の? 村雨丸?」


「確かそう言う物語だったなあ。何でも妖刀とか言う奴らしい」


「実在したんだ」


「そっちの傘の奴は、村正とか言う奴だ」


「これも凄い…」


「それも、お嬢様がオークションで落として来た」


 そして男は、さっきタケルが触りそうになった時計を持ち上げる。


「これは、このねじ回しを二段階で回して抜くと、催眠剤が噴射されるんだ」


「ゴツイ時計だ」


「高級時計だからね」


 次に男は、ケースをテーブルの上に置いた。


「このアタッシュケースは、スナイパーライフルだ。自衛隊がいるって聞いた」


「俺だな」


 クキがそれを受け取った。そして次にテーブルの上に並んでいる眼鏡を指さす。


「あとは眼鏡だ。かけてみてくれ」


 皆が眼鏡をかける。すると男が電気を消した。


「暗視ゴーグルだよ。暗闇でも人の動きが浮かび上がる」


 皆が暗闇の中で、光の棒で囲われたようになって動いている。


「ちなみにスマートフォンも連動できるから、動画を見ながら旅行もできるぞ」


 そう言って男が電気をつけた。するとクロサキが棚を指をさして聞いた。


「これは何です?」


「ああ。それは監視ドローン」


「えっ? こんなに小さいのに?」


 クロサキが持つそれは二センチに満たない大きさだった。


「そう。一度の充電で二十分は飛ぶよ。スマホに連動して画像を映すよ」


 そう言いながらも、男は次の箱を取り出して中身を見せる。それを見たミオが言う。


「絆創膏?」


「に見えるよね」


 それを一枚剥がして、男が自分の喉に貼る。


「あー、あー。こんな感じです」


 いきなり声が変わった。さっきとは全く別人の声だった。ペリっと剥がすと、元の声に戻る。


「凄い…」


 そして男は得意げに言う。


「可愛い人に、そう言ってもらえると嬉しいな」


「あと何があるの?」


「あるよ。これ」


 出されたのは小さな板のようだった。


「ガム?」


「正解。でも噛んじゃダメ、取り出して二つ折りにしてみて」


 マナが、そのガムの包みを剥いて二つ折にする。


「うわ。べたべたになった」


「そうそう。粘着性が増すんだ。あとは適当にどこかにくっつけて」


 ペタン!


「それはGPS追跡さ。何かにつければ、スマートフォン一つで追えるよ」


 最後にアビゲイルが聞いた。


「これは歯磨き粉?」


「危ない!」


「えっ! えっ!」


「ちょっと貸して」


「は、はい」


 男は歯磨きチューブを取り上げ、蓋を開けて中身をテーブルに出しすぐにふたを閉める。


 ボン!


 少しして出したジェルが破裂した。


「爆弾なので、取扱注意」


「わ、わかりました」


「という訳だけど。役に立つかな?」


 クキが笑って言う。


「充分だ。誤魔化すのに苦労しないし見た目が全部日用品ってのが良い、コイツはかなり役に立ちそうだ」


「お嬢様に言われたとおりに、日用品に溶け込むように作ったからね」


「必ず役に立つさ」


 男の説明が終わると、紳士風の男が言う。


「では皆様。それぞれのお部屋にご案内いたします」


 ハンジが答える。


「よろしくお願いします」


 神経質そうな眼鏡の男は、ニコニコしながらミオに手を振っていた。上の階層にあがり、俺達は各自の部屋に案内される。そして通路に立った紳士風の男が言った。


「室内にある物は、全て持って行っていただいて構いません。これからランチタイムとなりますので、御着替えの上ラウンジにお集まりください」


 俺が指定された部屋はクキと同部屋だった。二人で部屋に入り驚く。


「おいおい…ヒカルの趣味を知ってやがる」


 そこにはル〇ヴィ〇ンのスーツと革靴がずらりと並んでいたのだ。


「これをもらっていいのか!」


「いいんじゃないか? 執事は良いって言ってたぞ」


「そうか!」


 俺は、その中から気に入ったものを選んで着る。するとクキも珍しくスーツを着込み俺達は部屋を出た。すると丁度ミオが部屋から出て来たところだった。


「おお、ミオ。どうしたんだ?」


「ドレスがあったのよ。だからミナミと一緒に着てみたの」


「似合ってるな」


「そう?」


 するとミオの後ろから声がかかる。


「えー! あたしはー!」


「ミナミも似合っている」


 ミオが水色のドレス、ミナミが白いドレスを着ていた。その後ろの部屋から、マナとツバサとクロサキもドレスを着て出て来た。


 そしてマナが言う。


「ちょっと、クロサキさんのワインレッドのマーメイドスーツが、似合いすぎなんですけど」


「そ、そうですか?」


 そこに白いスーツのタケルとオオモリが出て来た。そしてタケルが言う。


「黒崎さんは鍛えているだけあって、プロポーションが良いんだろうな」


 それを聞いたツバサが言った。


「ちょっとそれどういう意味? 私達がプロポーション悪いみたいじゃない」


「そ、そうは言ってねえって。皆もいいよ」


 更にそこにアビゲイルとエイブラハムが着飾って出て来た。


「うわあ…アビゲイル博士も綺麗」


「そ、そうですか? 普段着は白衣ばかりだから…」


「素敵です」


 老執事がやってきて言う。


「皆さんお揃いのようですね。それではランチの準備が出来ておりますので、船外にいらしてください。アビゲイル博士とドクターエイブラハムは、申し訳ないのですがサングラスの着用をお願いします」


 俺達が執事について外に出ると、めちゃくちゃ天気が良かった。しかも海の色がとてもきれいで、キラキラと輝いている。


「ドレスを着て地中海クルーズなんて夢みたい」


「本当に。まさかこんなことが待っているなんて思わなかったわ」


 マナとツバサの言葉にを聞いてタケルが言う。


「つうか白スーツなんて着ちまったぜ」


「でもカッコイイんじゃない? 由美がそばに居なくて残念ね」


「そっか…。おい大森! 写真撮ってくれよ! 帰ったらアイツに見せる」


「わかりましたよ!」


 そしてタケルは海をバックに、ポーズをきめ出した。オオモリが一生懸命それを取っている。


「白いパラソルに白いテーブル! 地中海の青い空に青い海! 大きな船の上でランチ!」


 ミナミもめちゃくちゃ気に入ったようだ。俺達が席に座ると、執事が飲み物を注ぎ料理が運ばれてくる。それから俺達は美味い料理を食べ始める。ゾンビ因子が含まれていない、非常に体にいい料理だった。そこに写真を撮り終えた、タケルとオオモリが戻って来る。


「お、もう食ってるのか」


「おいしいわよ」


「つうか、あっちにプールあったぞ」


「嘘! 入りたい」


 マナが言うと執事が答える。


「お部屋に水着も用意して御座います」


「ええ! そうなの?」


 そうして皆が食事を終え、タケルとオオモリと女達が部屋に戻って行った。俺とクキ、ハンジとクワタとエイブラハム、アビゲイルとクロサキが、ここに残り酒を飲み続ける。


「まさかアビゲイルと一緒に、こんな思いが出来るとはのう」


「わたしもお爺さんと、こんな時間が過ごせるなんてうれしい」


 平和な家族の会話というのは良いものだ。この時ばかりは皆も戦いを忘れて、酒を味わっている。すると、そこに水着姿のマナとツバサがやって来た。


「ねえ、ヒカルも来なよ」


「いや、俺は…」


 だがエイブラハムが言った。


「皆でプールサイドで酒を酌み交わすというのも、また良さそうじゃ」


 それにクキが答える。


「それじゃあドクター、場所を移しますか」


「うむ」


 俺達がプールサイドに行くと、皆がプールで泳いだり寝そべって日光浴をしたりしていた。するとタケルが俺に水着を渡してくる。


「お前も来いって!」


「わかった」


 俺はその場で服を脱ぎパンツをはいた。


 エイブラハムが言う。


「ヒカルは彫刻のようじゃのう」


 ハンジもクワタも言った。


「凄い体だ…」

「マジっすね」


 するとエイブラハムが、おかしなことを言い始める。


「あ、あの、うちの孫はまだ独り身でのう…よかったら…」


「お、お爺さん!!!」


 するとそこに水着の、ミオ、ツバサ、マナ、ミナミがやって来て言う。


「あー、ごめんなさい。ドクター、彼には先約があるんです」


「な、なんじゃて?」


「そうです。順番を守っていただかないと」


「そうなのか?」


「競争は激しいんですよー」


「うむむむ」


「しのぎを削ってるんですから!」


「あ、アビゲイル! 水着じゃ! はよ! 水着を着るのじゃ!」


「お、お爺さん!!!!」


 地中海の上で俺達は平和な一日を過ごすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ