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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第413話 国連本部より世界を救う言葉

 乱入したファーマー社の私兵が突然発砲を始めた事で、集まった人達がパニックになり逃げ始める。


「ぐあああああ!」

「撃って来たぞ!」

「逃げろ! にげろぉおお!」

「うわあああああ」


 人々が倒れ始めたのを見て、俺はすぐに動いた。


「認識阻害、隠形、思考加速」


 走りながら魔法を発動させ、縮地で戦闘車両の端に出現する。そして先の兵士までを見通し腰を低く落とした。


「幻影斬」


 シュン。


 俺は幻影のように、一瞬で銃撃している全ての兵士の間を反対側に抜けた。


 ぷしゃああああ!


 兵士達は鮮血をほとばしらせ、その場に倒れていく。そして俺は折り返し、装甲車両に向かって剣技を繰り出した。


「鉄鋼砕破斬 五連」


 五台の装甲車両を、中の人間ごと粉々にし再び反対側に抜ける。そしてすぐに縮地でその場から消えた。市民達は逃げ惑っているが、メディアの人間達は一部始終を撮影している。


「どうするクキ?」


「劇は終わりだ。あれを片付けてくれ」


 クキがそう言って、試験体とゾンビ化兵の戦いを指さした。


「分かった」


 俺はすぐに試験体とゾンビ化兵の戦いの場所に現れた。そして新技を繰り出す。


「大龍屍人斬! 十連撃!」


 俺の剣技を受けた試験体が、破裂し粉々になった破片が飛び散る。風船が割れたように試験体が破裂したことで、ゾンビ化兵達が弾かれて空中に舞った。


「うわっ!」

「なんだ!」

「破裂した!」


 俺は全員に狙いを定めた。


「屍人斬! 二十連!」

  

 シャシャシャシャシャシャシャ!

 ドチャッ! グチャッ! ドチャッドチャッドチャッ!


 ニ十体のこと切れたゾンビ化兵が、ただの人間の死体になって降って来た。全てが活動停止したことを確認し、俺は暗がりに消えた。


 突然の出来事に、メディアの人間らがざわついている。


「なんだ? 装甲車が粉々になって兵隊が倒れてるぞ…」

「こっちはバケモノがいきなり爆発しやがった!」

「ファーマー社め! マジで証拠隠滅しようとしたぞ!」

「無抵抗の市民に撃ちやがった!」


 …その時だった。俺たちも想定していない事が起きる。


「皆さん! すぐに救急車を! 倒れている人を介護してください! 市民を助けてください!」


 アビゲイルだった。アビゲイルが突然メディアの前に身を晒してしまったのだ。そして大声で叫んでいる。それを見てメディアの人間が気づいた。


「お、おい! アビゲイル・スミスだ! ファーマー社で新薬を開発したアビゲイルだぞ!」

「ほ、本当だ!」

「か、囲め! 囲み取材だ!」


 人々が倒れているにも関わらず、メディアの人間が一気にアビゲイルに群がって来た。


「ま、待ってください! 怪我人を! 早く怪我人を助けてください!」


 だが興奮したメディアの人間達にその言葉は届かず、我先にとアビゲイルの元へと走り寄る。


「この一連の事件は、ファーマー社がやったことなんですか!」

「博士! 表舞台から消えて、こんなところで何をやっていたのですか!」

「突然現れた理由を教えてください!」


 だがアビゲイルは冷静に言う。


「では。お答えします! カメラをこちらへ!」


 一斉にカメラがアビゲイルに向いた。市民達もスマートフォンを向けて撮影し始める。


 スゥッ…とアビゲイルが息を吸い込み、次の瞬間大声で叫んだ。


「私はアビゲイル・スミス! こちらは国連ビル! 大勢の怪我人がいます! 周辺都市の救急隊員聞こえますか! 死傷者多数! 早く来てください! 市民を助けて! お願い!」


 質問と全く違う答えに、メディアの奴らがあっけに取られていた。


 すると俺達のイヤーカフにハンジから通信が入る。


《ベールより全員に告ぐ。時は来た。繰り返す。時は来た》


 俺達はリュックからザ・ベールのマークが入ったお面を取り出す。そして一気にアビゲイルの所に走って囲んでいるメディアの連中の前に立ちはだかった。


「な、なんなんだお前達は!」

「妨害するつもりか!」

「どけ!」


 だがミオが大声で言った。


「我々は、ファーマー社の悪事を許さない! そしてそれに加担した国々の利権に絡んだ人間、その金で世界を我が物にしようとする者達に制裁を加える! 我々はザ・ベール! 何も知らされていない市民に気づかせ守る者!」


 その言葉を聞いて俺はその場を離れる。そして倒れている市民のそばにしゃがんだ。


 そしてミオが叫ぶ。


「あれを見てください! 彼はファーマー社の悪事から人々を救う者!」


 俺は銃で倒れた人間に手を当てる。心臓が動いていない。


「蘇生」


 ドクン…。ドクドクドク! 鼓動を始めたので、さらにヒールをかける。すると倒れている人間が目を開いた。


 傍らに座っていた人間が叫ぶ。


「おお! 目を開いた! 奇跡だ!」


 俺はすぐにそこを離れ、そばで倒れている人らを同じように蘇生とヒールで回復させていった。処置が早かったために、倒れていた約五十人全員をどうにか回復させることに成功する。


 そして俺は立ち上がって言う。


「出血で血を失っている! 早く食い物と飲み物を!」


 すると周りの人間が持っていたペットボトルで、倒れている人たちに飲ませ始めた。それを見てミオが言う。


「奇跡がおきました! ザ・ベールはファーマー社の暴力に、国家の暴力に屈しない! 奇しくもここは国連本部! 世界を救い始めるにはいい場所です!」


 人々は白いマスクをかぶった俺達をみて唖然としている。そしてイヤーカフにハンジから通話が入った。


《こちらザ・ベール。素晴らしい舞台をありがとう》


 きっと仲間達は仮面の下で笑っているだろう。


「では博士。世界に向けてお話を」


「ありがとうございます」


 こんな状況でも、アビゲイルは落ち着いてゆっくりと話し出す。


「私はアビゲイル・スミス、地球上で一番凶悪な薬を見つけてしまった張本人です。皆さんが見た怪物は、ファーマー社が開発したゾンビのバケモノです。体を引きちぎられても死ななかった兵士らは、そのゾンビの薬で改造された人間達。ファーマー社は、地球上のありとあらゆるところで人体実験をしています。その事は皆さんもインターネットで見た事があるでしょう。あれはデマではありません。日本は滅び、ベルリンでもその事件は起きました。これは世界中で起きています。またその薬を撒かれたのは日本だけではありません。アメリカ、カナダ、スイス、ドイツ、シンガポール、アフリカのある地域にも配布されました。私は元ファーマー社の研究員として告発します。いますぐファーマー社のゾンビ薬の使用を中止してください! 繰り返します! ファーマー社の薬を止めてください!」


 メディアの男が怒りを含ませた声で聴く。


「博士、自らお作りになったお薬ですよね!」


「その通りです。私は不幸な事に、その物質を見つけてしまいました」


「こうなってしまう事は、分からなかったんですか!」


「すみません。こうなるとは思っておりませんでした」


「それが本当だとしたら、世界中で大勢が死んだことになりますよね!」


「その通りです。私の罪は誰よりも深い。世界で一番人を殺した人間です」


 それを聞いてメディアや市民達がざわつく。だがアビゲイルは続けた。


「ですが、これ以上死人を出すわけにはいかないのです! 皆さん! 真実を知ってください! 本当の事を知る権利があります! これ以上、死の薬を使う事をやめてください! 国家の皆さま、これでお金を稼いでいる人たち、お願いします! これ以上殺さないでください!」


「どういうことだよ! 作った本人が!」

「責任はどうするんだ! 責任は!」


 だがそこで俺達が、アビゲイルの前に立ちはだかって隠す。


 ミオが言った。


「我々は凶悪なゾンビ因子をばら撒いたファーマー社を許さない。彼らは数十億の命を今も奪っています! 良心のある方々はそれを止めてください! これ以上人を死なせないでください!」


 するとメディアの人間が言う。


「われわれは、博士に聞いてるんだ!」


 その時だった。


 ウーウーウーウー!


 サイレンが聞こえて来る。それを聞いたみんなが一斉に後ろを振り向いた。


 アビゲイルがカメラに呼びかけたおかげで、救急車が押し寄せて来たのだ。何台も何台もここに入ってきて、怪我人を治療し始めた。


 そのうちの数台が俺達の前に現れ、中から救急隊が出て来てメディアの奴らに言う。


「とにかく! 救護を手伝ってください! 一刻も早く!」


 カメラもメディアも一斉にそちらに向いた。その瞬間に俺達は数台の緊急車両に乗り込む。

中に入ると救急隊員がマスクを取る。それはハンジ・ヨーゼフだった。


「では行きましょう」


 俺達は救急車両に紛れて、その場を後にするのだった。

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