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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第408話 ジュネーブ研究所で撃たれた仲間

 俺が自動ドアから飛び出すと、ファーマー社の軍服を着た連中が数人倒れていた。その反対側のデスクの後ろに仲間達が隠れていて、ミオが血を流して倒れているようだ。マナとツバサがミオを抱きかかえ、青い顔で俺に言ってくる。


「美桜が撃たれた!」


 俺がすぐに謝まった。


「すまん。俺が気配探知をしていながら」


「違うのヒカル! 突然上から降ってきたの!」


 天井を見上げると人が通れるくらいの穴が開いていて、どうやらそこから降りて来たらしい。突然現れた事で俺も感知が遅れてしまったのだ。するとクキが言った。


「すまん。すぐに撃ちこんだんだが、どうやらゾンビ化人間だったらしく反撃された。通常弾を使ってしまった俺のミスだ」


 だがすぐにリカバリーしてゾンビ破壊弾を打ち込んだのだろう。流石はクキと言ったところだ。


 今度はエイブラハムが青い顔をして言う。


「嬢ちゃんは、わしを庇って撃たれたんじゃ!」


 俺がすぐにミオの所に行く。


「ゴメンね…ヒカル…急に現れたから感知が遅れちゃって…。ゴホッ!お爺さん守るので精一杯だった…ゴホッ!」


 そこにアビゲイルとタケルとミナミが来た。


「美桜!」

「ちょっと! 美桜ちゃん!」


「痛たい…ドジしちゃったなあ…ゴホ!」


「美桜! おい! 死ぬな!」


「ダメよ! 美桜ちゃん! こんなところで!


 そしてアビゲイルがすぐにその近くにあった、布と包帯を持って来て言った。


「すぐに止血を! 腕と…お腹を撃たれてるじゃない! この出血は…内臓に達しているわ! 急いで! 死んでしまう!」


 ミオは腕とわき腹から血を流していた。そこで俺はアビゲイルに言う。


「大丈夫だアビゲイル。俺がやる」


「なにを?」


 するとミオが俺の顔に、血まみれの手を伸ばして言った。


「ありがとう…ヒカル…ここまで…連れて来てくれて。ゴホッ! 私ね…ヒカルの事…」


「話すな」


「ヒカルの事…」


 俺はこの世界に来てから、必要に駆られて治癒魔法のレベルを上げてきたのだ。俺はすぐにミオの腕とわき腹に手を当てて、治癒魔法と蘇生魔法を発動させる。


 ぱああああ! と光り輝いて、流れ出た血が青白い粒子となって舞う。


 腕の傷を完治。腹の傷も埋まり内臓修復。俺は手に握った二つの鉄の弾を捨てる。


「どうだ?」


「あれ? 全然痛くないわ。死ぬほど痛かったのに」


「腕の骨と、内臓の一部まで損傷していたからな。だが完全に治癒出来た」


「ありがと! 治してくれるって分かってた!」


「だが、流れた血は食い物を食わないと回復しない。貧血でふらつきが出るかもな」


 それを聞いたタケルが言う。


「んじゃ。俺が背負う」


「そうしてくれ」


「だ、大丈夫よ」


「だめだ。タケルの厚意を受け入れろ」


「わかった」


 そして俺がミオに聞く。


「それでミオ…俺の事をなんだったんだ?」


「えっ? はっ! 何でもないわ! 治してくれてありがとう!」


「そうか」


 その一連の流れを見ていたエイブラハムとアビゲイルが、あっけに取られて言う。


「ど、どういう事じゃ…」

「なんで傷が塞がっているの? 死ぬほどの傷よ?」


 クキが二人に言う。


「そう言う事なんですよドクター。この大将は御伽噺に出て来る本物のスーパーマンなんだ。正真正銘のヒーロー。ヒーローのような人、じゃなくてヒーローそのものなんですよ」


「「ヒーロー…」」


「そう」


 そこでアビゲイルが、タケルに背負われてる美桜に言った。


「本物のヒーローか…。でも美桜も私のヒーローよ。私のおじいさんを救ってくれたわ」


「咄嗟だったから」


「ありがとう」


「うむ嬢ちゃんは。わしの命の恩人じゃ」


 話が落ち着いてきたころ、俺の気配感知に再びひっかかったので、天井を見て言う。


「どうやら今度は天井から大量に落ちてくるようだぞ」


 それを聞いてエイブラハムが慌てる。


「そ、それじゃあ! 早く逃げねば! は、早く!」


 俺は首を振る。


「いや。俺の仲間を傷つけた奴らは許さない」


「ど、どうするのじゃ?」


「こうだ」


 俺は天井の穴に向かって日本刀を構え、気と魔力を練る。建物を壊さぬように力を最小限に絞り込み、魔闘気が練り上がったところで剣を振るった。


「屍人炎龍鬼斬」


 日本刀から炎の龍が飛び出し、天井の穴に飛び込んで行った。


「な、どうなるんじゃ?」


「こうなる」


 しばらく待っていると、ずろろろろろろろろ! と穴から大量の焼死体が飛び出て来た。こいつらが穴に飛び込んだところに、俺は炎龍鬼斬を撃ち込んだのだ。


 それを見ていたオオモリとタケルとミナミが言う。


「なんか、配管に詰まった泥が出て来たみたいな感じっすね」

「詰まりが無くなって、これで通りが良くなっただろ」

「だね。これで配管工事もいらないんじゃない」


 アビゲイルとエイブラハムは真っ青になっているが、既にこんな光景には見慣れている仲間達が軽口を叩いた。というよりも、ミオをやられてかなり怒っているようだ。


「アビゲイル。奪取した物質を持ってどこに行く?」


「あ、ああ。そうね! そうだわ! 次はあなた方の体細胞と血液を分析したいの! 血液分離機なども使うから時間がかかるかも」


「ならば急ごう」


 クキが通路の監視カメラを破壊しつつ進んでいく。


「すまなかったな美桜。監視カメラを壊すために通常弾を使っていたばかりに」


「九鬼さんのせいじゃない。あんな仕掛けがあるなんて誰も分からないもの、それに私の気配感知が甘かっただけ。上には意識がいっていなかった」


「次は気を付ける」


 タケルの背中でミオがクキにニッコリ笑う。敵だったクキが、今では頼りになる隊長。その光景が俺は嬉しかった。本当の敵を前にして、一丸となっている仲間というものは良いものだ。


 次の研究室に到着し、アビゲイルはすぐさま医療機器を準備した。エイブラハムもそれを手伝い、俺の腕にベルトのようなものを巻く。


「何をするんだ?」


「採血よ」


「そんなまどろっこしい事をする必要はない」


 俺はガラスの管をアビゲイルに持たせる。


「持っていてくれ」


「えっ?」


 スパン! と自分の手のひらを斬って、ガラス管に血をどぼどぼと注いだ。


「ちょ、ちょっとまって」


 アビゲイルは慌てて管をおいて、次の新しいものを用意する。あっという間に五本の管が俺の血でいっぱいになった。


「も、もう充分よ!」


「よし」


 ヒール。


 俺は自分の手の傷を塞いだ。だがそれを見ていたタケルが言う。


「あのー…アビゲイルさん。俺は普通に採血してもらっていいかな?」


 そしてミナミも言う。


「私も…普通がいいな」


「わ、わかったわ。そうよね…普通そうよね!」


 そうしてタケルとミナミの採血がなされた。次にアビゲイルが体組織を取ると言うので、俺は腕の表面を切りとって渡す。


「か! 髪の毛とかでいいのよぉ!」


「そうなのか?」


「そうなの!」


 すぐにヒールで傷を塞いだ。そんな俺を尻目に、タケルとミナミが慌てて自分の髪の毛を引っこ抜いている。


「「はい!これ!」」


「あ、ありがとう」


 そしてアビゲイルはそれらを、何らかの機械に入れ込み試験を開始する。筒状の何かを覗き込み、穴に腕を突っ込んで機械の腕を操っているようだ。そして俺の体組織や血液を見ていたアビゲイルが、ガタン! と椅子を倒して立ち上がった。


「ど、どうしたのじゃ! アビゲイル!」


「おじいさん! みて! これを見て!」


「な、なんじゃ!」


 エイブラハムはアビゲイルに言われ、丸い筒を覗き込む。


「……はっ?」


「変でしょ」


「へ、変どころではないじゃろ…」


「…こんな…」


 クキが二人に尋ねる。


「どうされましたドクター?」


「ちょっと待て下さい! ディスプレイに投影します」


 アビゲイルが何かをディスプレイに映した。


「このナノ顕微鏡は世界最小単位を見れるものなの。ここにしかない機械よ」


「これは何なんですか?」


「ミスターヒカルの体組織。分子レベルの組織の拡大図よ」


 俺達にはその映像を見ただけでは詳しい事は分からない。だが俺の体組織についての謎がそこに示されているらしい。俺達はアビゲイルの更に詳しい説明を、息をのんで待つのだった。

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