表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

407/661

第407話 ジュネーブの研究施設へ強制突入

  俺達が観光客に紛れて歩いていると、巨大なガラス張りの建物が見えて来た。あの中にアビゲイルが言う研究設備があるらしい。駐車場には車が何百台も停めてあり、全てが研究者たちのだという。建物周辺は車通りも多く、一般人も多く歩いているようだ。


 そしてエイブラハムが俺に聞いて来る。


「ヒカルや、厳重な警備じゃ。ザ・ベールの力を借りずに、どうやって入るつもりじゃ?」


「こうだ」

 

 俺はするりと日本刀を抜いて構える。


 更に魔力を最小限にとどめ、被害範囲を計算する。


「剛龍爆雷斬」


 俺の日本刀からほんの小さな火の玉が、駐車場の奥へと飛んでいく。そして俺が皆に告げた。


「逃げろ!」


 俺が言うとタケルがアビゲイルを、クキがエイブラハムを掴んで走り出す。仲間達も慌ててそれについて行き俺が殿を務める。


 ゴバアッ!


「なんじゃぁ!!」

「きゃぁぁ!」


 エイブラハムとアビゲイルが叫んだ。研究施設の入り口から何台かの車が転がり出し、上からも車が降って来た。


「推撃」


 ゴドッ!


 車の直撃を避ける。


 ジリリリリリリリリリ!


 研究施設内からベルが鳴り響き、ビルから次々に人が飛び出して来た。


「ど…どうなっとるんじゃ」


「しばらく身を隠そう」


 すると遠くでウーウーとサイレンが鳴り響き始めた。クキが言う。


「緊急車両が来てるな」


 タケルが施設を見て言う。


「おーおー。研究員がパニックになって走り出して来たぜ。周りの人間達も慌てて避難し始めた」


「あれに紛れて入るぞ」


 俺は目の前の鉄の柵を斬る。


「ど、どうなっとるのじゃ…」


 柵を乗り越えてはいると、爆炎が立ち上っておりその周囲に消火器を持った男らがいる。逃げ惑う人達の間を抜けて、割れたガラス窓から建物内部に侵入した。


 するとようやく落ち着きを取り戻したアビゲイルが言う。


「こっちよ」


 まだ逃げ遅れた人らとすれ違いながら奥に進むと、警備服を着たやつがこちらに近づいて来た。どうやら銃を持っていて、俺達を異分子だと判断しているようだ。


「銃を持っておるのじゃ!」


 だが、タケルが易々と近づいた。


 ガゴン!


 銃を撃つ暇もなく、殴られた警備員が吹き飛んで静かになる。


「行こうぜ」


 更にアビゲイルが中に進み、地下に続く階段に差し掛かる。


「下ります」


 下に降りておくと既に研究者たちは避難したらしく、赤いランプがクルクルと点滅していた。アビゲイルを守りつつ地下三階まで降り、廊下に出て左右を見る。するとクキが銃を出して撃った。


 パスパス!


 どうやら監視カメラが二台あり、それを正確に撃ちぬいたようだ。サイレンサーが付いているので音は出ない。


 俺達が進んでいるとミオが言う。


「人間以外の気配がするわ」


 すると突如廊下の先に、三匹の犬が現れた。


「ど、ド―ベルマンじゃ」


 アビゲイルが言う。


「扉が開いて、実験動物が逃げたんだわ」


「き、危険じゃ」


 だがするりとミナミが先に進み、ド―ベルマンがミナミに飛びかかって来た。


 シュパン! シュパン! シュパン!


 ドサァ!


 犬の首が飛び、廊下にその骸が飛び散る。


「いきましょ」


「お姉さんがたは、し、素人なんじゃよな?」


「そうよ。女子大生よ」


「どうなっとる?」


 だがアビゲイルが気を取り直して言う。


「こっちよ」


 その先にすすみ、突き当りにガラス張りの自動ドアがある。入り口に認証用の機械が付いており、それを見たアビゲイルが言う。


「どうしましょう。ここは個人認証が無いと入れない。このガラスは防弾でバズーカも利かないわ」


「どいてくれ」


 俺が日本刀をかまえる。


「真空乱斬」


 ジュパッ! パラパラパラパラパラ!


 ガラス窓がバラバラになり床に落ちる。


「うそ…」

「どうなっとる…」


「行くぞ」


 通路を先に進みながら、エイブラハムが言う。


「なんかこう。特殊な通路を見つけるとか、鍵を開ける技師がいるとか、通気口を潜るとかそう言う事はせんのか?」


 タケルが言う。


「んなもん、したことねえよ」


「ほへぇ…」


 エイブラハムが呆けているが、それを無視して俺達は奥に進んだ。その先に進み、鉄の扉を斬って入った時それが出て来た。


 ふしゅるっ! ギギッ! ガアキ!


「きゃあ!」

「なんじゃ! あれは!」


 俺たちの前に出てきたのはゾンビでも特大、異形の試験体だった。


「ほら、俺達のデータで見たろ。あれだよ」


「こんなところで作っていたのね…。恐ろしい」


「あ、アビゲイルよ! そんな事を言っとる場合じゃない! 逃げんと!」


「でもミスター九鬼は言ったわ。ヒカルの側が世界一安全なんだと」


 それを聞いたクキが言う。


「おっ、学習したようだな博士」


 だがエイブラハムが慌てて言った。


「そ、そんな余裕をぶっこいてる場合かの! こ、殺されてしまうがな!」


 俺は無造作に試験体の前に歩いて行く。その試験体はデカいネズミの上に人間の首が乗っており、二本の手がウロコの生えた触手になっていた。その触手が一斉に俺めがけて、突き下ろされてくる。


「あぶないのじゃ!」


「ヘルフレイムフラッシュ」


 黒い炎が日本刀から発せられネズミが包まれる。それが次第に小さくなっていき跡形も無くなった。


「行くぞ」


「行くぞって、そんな冷静に…どうなっとるのじゃぁぁぁぁ!」


「いいから爺さん。いちいち驚いてたら身が持たねえぞ」


「わ、分かったのじゃ…」


 そうしてアビゲイルが言っていた研究室に到着した。俺が入り口を破って入ると、今まで見た事の無いような風景が広がる。それを見てマナが言った。


「すっごい近代的…ロボットアーム?」


 とにかく広く天井が高い。所狭しと機械が並んでおり、いろんなものが研究されていたようだ。


「こっちよ」


 アビゲイルについて行くと、再び自動ドアがあった。だがアビゲイルが言う。


「これは壊さないで」


 俺達は黙って従い様子を見る。


「えっと、ヒカルさんとタケルさんとミナミさん。私と一緒に入ってもらえるかしら」


 三人は頷いた。自動ドアの脇の暗証番号を押すと、問題なくドアが開く。どうやらこの番号は共通らしい。そして中に入るとおかしな服が並んでいる。


「それを着て欲しいの」


「なんだあ? こりゃ? 潜水服みてえだな?」


「防護服よ。この先にはありとあらゆる病原菌があるわ」


「おっかねえ」


 俺達がそれを着ると、アビゲイルがテープで袖や足首を留めてくれた。アビゲイルも着たので、ミナミが袖口と足首をテープで縛る。


「ありがとう。では入ります」


 プシュー!


 奥のドアが開くと、冷気がこちらに入って来る。


「中はマイナス三十度の世界よ。防護服を着ていないと数分もいれないの」


「わかった」


 まあ。別に俺はマイナス百度でも大丈夫だが…。


 中に入ると様々なガラスケースがあった。アビゲイルは迷わず奥に進み、奥にあるガラスケースの前に立つ。


「これを静かに破ってほしいの」


 アビゲイルが言う。


「分かった」


 俺が剣を構えて、スッと下ろした。


 キンと鍵が切れる。するとアビゲイルがそれを開き中からケースを取り出した。


「これが…オリジナルよ。私が見つけた最初の因子」


 アビゲイルがその下の引き出しを引くと、それを入れるケースが出て来た。それにしまい込み蓋をして鍵をかける。


「ミスタータケルはこれを持ってて」


 それをタケルに渡した。そしてアビゲイルはまた違う場所に移り、違うケースを見て言う。


「ミスターヒカル。ここもお願い」


 俺がケースを切ると、アビゲイルは同じように手を入れて物を取り出す。


「これは副産物で出た、ゾンビ因子の核」


 それを抜き出してケースに入れミナミに渡す。


「丁寧に」


「はい」


 そしてアビゲイルはもう一か所を周り、同じようにケースを斬らせた。中に入ってるものを取り出して言う。


「これがゾンビ因子に命を与える物質」


 そう言ってケースを取り出して入れる。


「これでいいわ。まずはここを出ましょう」


 そうして俺達が外に出ようと防護服を脱いだ時…。


 外から銃声が聞こえた! 俺が日本刀で入り口を切ろうとするが、アビゲイルが言う。


「まって開けるから!」


 表のドアが開くのが異様に長かった。人が一人通り抜けられるようになったので、俺はすり抜けて外に飛び出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ