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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第405話 ジュネーブ秘密の拠点にて

 俺達がフェリーを降りジュネーブの町に入ると、直ぐにザ・ベールの人間がハンジに接触して来た。そのまま組織の人間と共に、フェリーターミナルから歩いて七分ほどの大きな建物に来る。


 都市部にあるその建物の内部を見て、エイブラハムが目を丸くした。


「ハンジさん。こんな立派な所に拠点があるのかの?」


「ええ。むしろ都会のど真ん中で、人も多いからこそ都合がいいのです」


「見つからんもんか?」


「むしろ目立たないのです」


「まあ…確かに…チューリッヒでも、都会のど真ん中にあったか」


「そう言う事です」


 なるほど、木を隠すには森ということだ。また、その室内を見ていた女達もざわついていた。


「これって、めっちゃお金持ちの家よね?」

「本当、会社にもなりそうなくらい大きいし」

「アジトって言うから、安アパートみたいなものを想像してた」

「それとは真逆ね…」


 するとハンジが言う。


「事実は小説より奇なりです。気に入っていただけましたかな? お嬢さんがた」


「はい。素敵です」


 そしてハンジが通路の途中で止まり、エイブラハムとアビゲイルに告げる。


「ここには、いろんな感情を持った人間がいます。恐れ入りますが、お二方はこちらの部屋で待機を」


「わかったのじゃ」

「分かりました」


 それを受けてクロサキが言う。


「では私もご一緒に、お二人のボディーガードをいたします」


 するとミナミとツバサも手を挙げた。


「私達も一緒に居るわ」

「任せて」


「分かった黒崎、そうしてくれ。ハンジさん、そう言う事でいいかな?」


「かまいません」


 五人を置いて通路を行きハンジが両開きの扉を開くと、そこは広い会議室のような場所だった。その中に三十人くらいが座っていて、ハンジが入ると席を立って整列をする。ハンジが手を上げて挨拶をした。


「紹介しよう、日本からのお客さんだよ」


 すると中の人らがざわつくので、クキが代表していった。


「我々は日本からきた」


 すると待っていた人らの一人が言う。


「本当に日本から?」


「そうだ」


「日本人は死滅したんじゃないのか?」


「まあ…それに近い。だが生存者も少なからずいる、九割は死んだがな」


「九割…ほぼ…壊滅という事か…」


「そう言う事になる」


「本当にゾンビが蔓延しているのか?」


「そうだ。国内のほとんどの人間がゾンビにされちまった。ファーマー社によってな」


 そこでオオモリが言った。


「あー、すみません皆さん。ネットでは盗聴されるといけないので、情報をお渡ししてませんでしたが、僕らが持っているデータを直接お見せします。それを見ればおおよその事が分かると思います」


 それを聞いてハンジが言う。


「という訳だ。我々も見たが想像を絶するものだったよ。だがこれで決心が固まったと言えるだろう。これから皆にも見てもらうので、覚悟して見るといい」


「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」


 オオモリとマナがセッティングをして、アルプスの時と同じように皆に情報を見せ始めた。通訳にミオ、動画の係にオオモリとマナを残し、俺達は別室でハンジから作戦の内容を聞く事にする。


 ハンジに見せられたのは、ジュネーブの地図と施設の位置関係だ。


「博士がいう研究施設はここです。ここから約四キロ、徒歩で一時間ほどの所にあります」


「都市部を通っていく訳だな」


「そうなります。我々の部隊は先に潜伏をして、安全なルートを選んでお知らせします」


「わかった。ファーマー社がいるという情報は?」


「目下、ファーマー社が拠点にしていると目されているところは三カ所です。我々がアビゲイル博士を連れてくると想定して、網を張っているのでしょう」


「なるほどな…」


 タケルがパン! と拳を手のひらに叩きつけて言う。


「俺らが、ぶっちめてやんよ」


「威勢がいいですね。ですが敵も諜報機関並みの能力を持った奴らです。むやみに突進するのは危険かと思います」


 クキがハンジに聞く。


「組織の人間は、さっきので全部ではないね?」


「ええ。既に計画は始まっていますので、百名ほどがジュネーブの都市に潜伏しています」


「百名か…」


「足りないと?」


「いや。敵が人ならそれもいいんだ。だが万が一、データで見せた試験体やゾンビ化人間が出てきたら退かせた方がいい」


「ああ…あれですね。あなた方は対応できると?」


「ヒカルがな。まあ俺達もそれに対しての弾丸は持っているが、自分らの分だけだ。百人に渡せるほどの数は無い」


「なら我々はオトリでもなんでも…」


 俺は少し気になる事があったので、ハンジの言葉を遮って言う。


「ここはなんだ?」


「そこは国連ですね」


 分からなかったので、俺はもう一度詳細を求める。


「国連とは?」


 すると代わりにクキが答えてくれた。


「ヒカルは知らんだろうが、国際機関だ。百九十三ヶ国が集まった、平和に対する脅威を解決する機関だな。国際紛争の解決や平和と安全を維持しているんだ」


「平和と安全の維持? 出来ていないようだが? なぜ日本やベルリンのような現象が起きる?」


「まあヒカルがそう言うのも分かる。確かな情報という訳ではないが、国家間のしがらみもあるし、主要国のお偉いさんも、そして金も絡んでいる。戦争抑止など実質は出来ていない。世界各地で紛争は無くならんし、今回のようなゾンビパンデミックには完全に無力だな」


「なるほど…」


 それを聞いていたタケルが言う。


「まったくよ。世の中どうなってんのかねえ…ぜーんぶ、ぶっ壊してやりてえよ」


 国が集まった機関か…。俺は更にクキに聞いた。


「もし…だが。そこで大きな事件があったら世界はどうなる?」


「そりゃ、注目されるだろうな。世界中でニュースになるのは間違いない」


「ほう…。そして、丁度そのそばに研究施設があると?」


「そういうこったな」


 そこでハンジが何かを察したように言う。


「ちょ、ちょっと待ってくださいヒカルさん。まさか国連で騒ぎを起こそうとしていますか?」


「注目を浴びるのなら好都合ではないか?」


「好都合って…下手をすれば消されますよ」


 タケルが何かに気が付いたように言う。


「いやいやハンジさんよう、ヒカルを消せる国があるなら見てみたいけどな。それよりヒカル! おもしれえじゃねえか! ようは犯罪者にならなきゃ良いってこったろ? そう言う事だよな?」


「そう言う事だ」


 それから俺が考えていた事を、ハンジ、クキ、タケルに打ち明けた。三人は目を丸くしていたが、クキが笑い出す。


「ハンジさん。荒唐無稽だと思うか?」


「そう思いますね」


「いや。間違いなく出来る。大将ならそれをやってのけるだろうし、俺達の隊にはオオモリがいる」


「どういう意味でしょう?」


 するとクキが言う。


「ハンジさん。メディアを集める事は出来るかい?」


「あえて騒ぎを起こすと?」


「まずは綿密に計画を立てるとしようじゃないか」


「わかりました」


 そして俺達は、対ファーマー社の計画を立てるのだった。隣りの部屋ではミオが、構成員たちに説明をしている頃だろう。


 それから三時間後。隣の部屋からオオモリたちがやって来た。俺たちは大まかな作戦を立案し、入れ替わりで構成員が集まる部屋へと入っていくのだった。

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