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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第390話 暴かれていくファーマ―社の陰謀

 ファーマー社から盗んだ膨大なデータは、衛星通信で日本のサーバーに送り込んでいる。そしてそれは既に、日本の自衛隊達と共有されているらしい。現在は衛星を使って、カブラギたち自衛隊との通話が繋がっていた。


「送っていただいた情報は、現在サイバー部隊が精査しています」


 クキが答える。


「そうか。よくサイバー部隊を設立できたな?」


「一般公募ですよ。生存者の中から、エンジニアやプログラマーなどを募りました。皆、ファーマー社に恨みを持っている奴らですからね、既に血眼になってデータとにらめっこですよ」


「頼もしい限りだ。で?」


「まずは、ファーマー社の計画についてですが、ゾンビの軍事利用は副産物でした。本来の計画はそれではなく、我々が想定していたものより、更に恐ろしい計画が仕組まれているようです」


「だろうな。ゾンビの軍事利用でも十分金は稼げると思うが、それでは地域や期間が限定的なものになる。恒久的に資金を生み出す事は出来ない」


「はい。そこでファーマー社はゾンビの利用価値を上げるために、政治を利用し故意に戦争を仕掛けているのです」


「それはおおむね分かっている。で? その奥にある計画って言うのは?」


「世界の人間の意識を、限定的にコントロールする事です」


 それを聞いてクキも俺達も静まり返る。おおよそ推測はしていたが、改めて確認する事によって、更に世界が深刻な状況に直面している事が分かった。


「具体的に分かるか?」


「全ての解析が終わっているわけでもないので我々の推測も入りますが、分っているところでは7G回線を使う作戦のようです」


「6Gより、さらに進化した回線か…」


「はい。恐ろしいのは、完全なゾンビ化や支配では無いのです」


「どういうことだ?」


「完成した物質を体内に入れた人間はゾンビにはなりません。生きて自分で考え自分で人生を歩むのですが、ファーマー社の計画に関連している利益に関連した状況や、利益に反した場合にのみ使われるようです」


「具体的には?」


「例えば日本がファーマー社からの薬品購入を渋るとしましょう。しかしその購入決定の場やファーマー社が有利に運びたい時だけ、7G回線でファーマー社の完全なイエスマンにすることが出来るのです。国家元首だろうが、一般市民だろうが関係なくファーマー社の意のままに全てを受け入れます。それが過ぎればファーマー社はそのシステムを切り、人々は何事も無かったようにファーマー社の提供した物を受け入れ、まるで昔から使っていたかのように当然の事になってしまうのです。もう誰もそれを気にする事もありません」


 それを聞き、俺達は完全に言葉を失う。


 眉間にしわを寄せたクキがぽつりと言った。


「世界を…完全な傀儡にする事が出来る…か…。それも洗脳もしないで」


「はい。世界は操られるままに全てを受け入れ、ファーマー社の利益の為に生きる事になります。全てをゾンビ化などしてしまえば利確できなくなるので、あくまでも生きて普通の政治をさせ国民には生産をさせ、誰も疑わずにファーマー社の利益の為に生きさせる。それが彼らの最終目標です」


「いずれ、ファーマー社無しでは世界は動かなくなると言う訳か…」


「そのようです。言わば、これまで金融で世界を縛って来た一部の財閥から、物理的な力で支配を取って代わろうとしているのです」


「その7G回線と洗脳物質は完成しているのか?」


「まだです。それにゾンビ因子も完成体ではなく、それで各地で試験をしているようです」


「合点がいったよ」


「はい」


 そして音声の向こう側が、タカシマに変わった。


「九鬼君。高島じゃ」


「はい、教授」


「まずは、ゾンビ因子の開発者である、アビゲイル・スミスを捕える必要がある」


「当初の予定通りですね。ですがフランクフルトにはいませんでした」


「彼女はもうファーマー社を辞めておるようだ」


「そうなんですね」


「データによれば、彼女は生家に帰ったらしい」


「生家に? それはどこにあるのです?」


「彼女の生まれは、ドイツではなくルクセンブルグだ。彼女は自分の地元に戻ったらしい」


「地元ですか。わかりました」


 するとカブラギが変わる。


「まずは潜伏していると想定される地点を送ります。その地図を頼りに捜索をお願いいたします。鍵は彼女が握っていると我々も睨んでいます」


「わかった」


 するとカブラギが声のトーンを変えて言う。


「えーと。次の行動に映る前に、皆さんとお話がしたいそうです」


 すると向こうで、ユミが出て来た。


「武! あなたみんなの足を引っ張ってないでしょうね?」


「ひっぱってねえよ」


「そう。それならいいんだけど…」


「まあ心配すんな。俺達は生きて帰る、だから待ってろ」


「うん」


 それから、ユリナやリコやユンが次々に出て来た。アオイは泣きながら話をしていたが、どうやら子供達の面倒を見てくれているらしい。


「大丈夫だアオイ。皆を死なせはしない」


「うん! だってヒカルお兄ちゃんは勇者だもんね!」


「そうだ。俺は勇者だ」


「任せたよ!」


「任された」


 最後にヤマザキが出て言う。


「大変な任務を買って出てくれてありがとう。我々は皆の成功を信じている。日本の大地を踏みしめるまで一人も欠けさせないでくれ。ヒカルだけが頼りだ」


「ああ」


 そして最後に、クキとカブラギが話をして通信を切った。


「ふう」


 タケルがため息をつくと、皆も気を緩めたようだ。


 そしてクキが言う。


「さて。聞いての通りだ。隣国のルクセンブルグに向けて出発する。出発時間は〇二〇〇(マルフタマルマル)の二時間後となる。食事や準備を済ませてくれ」


「「「「「「はい!」」」」」」」


 そして俺がぽつりと言った。


「クキ。やはり自衛隊は優秀だな、この短時間でそこまで調べたか」


 クキが笑って言う。


「現場が困らないようにするのが、残った奴らの仕事だ。当然の事をしているだけだ」


 タケルがウンウンと頷いて言う。


「プロフェッショナルっつうわけだ。彼らのおかげで俺達は次の作戦に移れるってこったな」


「これからまだ解析は進むだろう。その前になんとしてもアビゲイル・スミスをつかまえるぞ」


「だな」


 そして皆は準備を終えて、高級ホテルを後にするのだった。

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