表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

385/661

第385話 既視感のある基地とゾンビ試験体

 俺達が基地を更に奥に進むと、見た事があるような設備が見えて来る。ある一室に入って研究員を始末し、オオモリが情報を抜いている時にミオが言った。


「作りは似ているのね。地下に伸びて…ただ規模は国の物より大きいみたい」


 ミオが言っているのは、日本でみたファーマ―社の基地の事だ。俺達もこの光景には見覚えがあり、違うのはあちこちにゾンビ化兵の気配がする事。


 クキがファーマ―社の女に聞く。


「随分厳重だな。侵入を警戒しているのか?」


「いいえ。彼らは試験体が暴走した時のセーフティ要員です。万が一試験体が外に出れば、この周辺は大惨事になります。そうなればこの研究所は封鎖しなければならなくなり、大きな損害が出てしまいます。ですので試験体を食い止めるための、兵士が必要になるのです」


「自分達の兵器を止めるための要員に、ゾンビ強化人間かよ」


「はい、元々はその為に作られた兵隊ですから」


 オオモリが言う。


「盛大なマッチポンプというか…、自分達で自分達の首を絞めてるみたいですね」


「そうかもしれません。このゾンビ物質が生まれてから、当社でも次々に新しいものが必要になり歯止めをかけているのです」


 クキが苦笑いして言う。


「兵器ってのはそういうもんだ。敵より強い銃を、敵より強い爆弾をと作っているうちに、核爆弾が作られた。今度はそれを守るための設備が必要になり、管理の為にシステムを発達させていく。戦争が起きれば技術革新が起きるのはそういうことだ」


 またオオモリが答えた。


「でもそれを覆すものが出てくるわけですね。例えばドローン爆弾とか」


「そう言う事だな。戦車を破壊するのには有用で、少ない兵隊でも多大な損害を与える事が出来る」


「でも今度はドローンジャマーが作られている…てことですか…」


「いたちごっこだよ。だからゾンビも全く同じ、いずれはそうなる」


 するとクロサキがボソリという。


「なるほどです。核も、化学兵器も、ナパームも非人道的ですが、生物兵器もそれらと何ら変わりません。ゾンビだけが特別と言う訳ではないと言う事ですか」


「人間は愚かだよ。だがゾンビはいわゆる核と同等の破壊力がある。人間を死滅させるだけの力がな」


 タケルが不敵に言う。


「なあに。軍事衛星を根絶やしにして、核の抑制にも成功したんだ。ゾンビだってうまくいくさ」


「そうだな」


 そしてマナが言う。


「ここでの情報はもうないわ。以前入手したデータとそんなに変わらない」


「てことは、やはりファーマ―社要人の居場所を突き止めるのが最優先だな」


 オオモリが首を傾げた。


「でも、ここまで来て、下っ端の社員名簿しかないというのはおかしいですね。ハッキングして侵入しても出てこない」


 クロサキが言った。


「恐らくは分けているのでしょう。大森さんでも突破できない場所に」


「なるほどです」


 そこで俺が口を挟む。


「研究員が来る」


 その研究員は通路を通過した。上階に続くエレベーターの方へと向かっているのだろう。それを見てファーマ―社の女が言う。


「交代の時間かもしれません。二十四時間稼働ですので、研究員は交代制になっています」


「ここまでに殺した研究員の死体を見られるぞ」


「急ごう」


「このさき研究員に遭遇したらどうする?」


「同じように始末するしかない。深くに入るほど我々が危険になる」


 クキの言葉に皆が頷く。俺が縮地でエレベーターホールに行くと、白衣がボタンを押して待っているところだった。眠ってもらうしかない。


「刺突閃」


 白衣がその場に崩れ落ちたのを確認し、皆と合流して先を急ぐ。


「一気に重要な場所まで下る! 何処か分かるか?」


 ファーマ―社の女は首を振った。だが何かに気が付いたように言う。


「私達でも入れない場所があります。その先に何かがあるのかもしれません」


「案内しろ」


「はい」


 女を連れて奥に進むと、部屋から次々に研究員が出て来てしまった。俺は皆に告げる。


「伏せろ!」


 俺の指示に皆が伏せる。ファーマ―社の女が立っているが、タケルがグイっと頭を掴んで床に平伏させた。廊下の曲がり角を曲がって来た研究員は、コーヒーカップをもちながら俺と目が合う。


 階層ごといくしかない。


「大龍深淵斬!」


 シュパ!


 俺を中心に円を描くように剣技が振るわれる。部屋の壁が斬れ機器が斬れ、そして研究員やゾンビ化兵が真っ二つに切れて床に落ちた。


「行くぞ!」


 俺が言うと皆が立ち上がり、ファーマ―社の女だけが何だかわからず聞いて来た。


「な、何があったのです?」


「この階層を全て斬った」


「な、何を言っているのかわかりません」


 だがタケルが女の首根っこを掴んで言う。


「つべこべうるせえんだよ! とにかく来い!」


「は、はい!」


 あちこち切れて破壊されている。どうやらゾンビ兵が異常を感じて、下の階からあがってきてるようだ。俺はすぐさま階段の入り口に立ち、上がって来たゾンビ兵を屍人斬で始末する。


 ファーマ―社の女が言う。


「その下です」


 俺達が下の階に下り、ファーマ―社の女がいうように通路を進むと、鉄製の扉が見えて来た。そこに行ってファーマ―社の女が言う。


「この先です。私のIDも生体認識もしません」


「もういらない」


「爆弾でも仕掛けるのですか? これはかなり厚いですよ」


「いや」


 俺が鉄の扉に向かって剣技を繰り出した。


「鉄鋼斬!」


 ギィン! と鋭い音がして、鉄の扉が崩れ落ちる。だがそれと同時に警報が鳴る。


 ビーーーービーーーービーーーー!


「本番だぜ!」


「やるしかないわ」


 その扉の先は、これまでの部屋とは全く違っていた。明らかに防御力の高い壁に囲まれ、ドアのひとつひとつが分厚くできているようだ。オレンジの灯りに照らされた仲間達が、警戒レベルを上げている。


 俺が言った。


「みんな! 試験体に気を付けろ! 恐らくこの先に必ずいる」


 コクリと頷いて、俺達は更に奥へと進んでいく。するとこれまでとは違い、ゾンビ兵とファーマ―社の兵が入り交ざって出て来た。そのことごとくを俺達が倒し、余裕で先に進んでいく。


 その最奥に間違いなく、これまでとは全く違う扉が見えて来た。


 俺が言う。


「この先で、多くのゾンビ兵が銃を構えている。皆、近くの部屋の壁に隠れろ」


 皆が身を隠すのを見て、俺はその厚い扉に向かって剣を構えた。ここで魔力操作を間違えば、この基地ごと吹き飛ぶため、俺は極力魔力を抑え込んでいく。精神を集中し一点突破のイメージを膨らませた。


 抑えろ…抑えろ…。訓練した通りだ。


「剛龍爆雷斬」


 ほんの小さな一センチほどの火の玉となり、俺の剣から分厚い壁に向かって飛んで行った。


「結界! 金剛!」


 身体強化をかけて様子を見る。


 火の玉が扉にくっついた瞬間。


 カッ!


 ドッゴオオオオオオ! と扉が爆発をして、勢いよく奥へと吹き飛んで行った。扉の奥にいた大量のゾンビ兵とファーマ―社兵ごと奥の奥まで吹き飛ばし、全てをトマトのようにぺちゃんこにしてめり込んだ。


「ふう」


 魔力制御は成功。大きな被害を出さずに、大量のゾンビ兵を倒す事が出来た。力を極限まで小さくすることで、こう言う場所でも使えるように訓練して来たのだ。


「みんな! いいぞ!」


 俺の言葉に、出て来たクキが言う。


「凄まじい爆発だったな!」


「敵は沈黙した」


「よし! みんな! 行くぞ!」


 だが俺が壊した壁から、ずるりと何かが出て来た。それを見たタケルが言う。


「試験体のお出ましだな」


 そこにはバカでかい、ナメクジのような体に、触手がいっぱい生えた試験体がいるのだった。その試験体はずるりずるりとこちらの方に近づいて来る。全員が警戒し、敵の攻撃に備えている時だった。


「きゃああああああああああああ!」


「よせ!」


 ファーマ―社の女が大きな叫び声をあげたのだ。俺は咄嗟にファーマ―社の女に飛びかかり、反対側の通路へと飛び込む。ファーマ―社の女がいた場所を、触手が何本も走っていった。


 味方は!


 全員の気配が正常だった。仲間のレベルを上げて来て正解だと確信する。皆は今の攻撃でも自分の身を守る事が出来たのだ。俺は皆を守るために、元の通路に戻ろうとした。


「いやあああああ」


 そこでファーマ―社の女が、恐怖のあまり叫びながら通路の奥へと走り去ってしまう。だが今は仲間の安全が優先だった。巨大な試験体が相手ではどうなるかわからない!


 みんな!


 しかし杞憂に終わる。仲間達は早速、タカシマが作った試験体破壊弾を撃ち込んだのだ。


 パン! パン! パン! パン!


 グゥェエエエエエエエエ! 試験体はのたうち回り、少しずつとけるようにしぼんでいく。動きを止めて完全に活動を停止した。


「巨大ナメクジには高島製の塩が効くってな!」


 タケルが勝ち誇ったように言う。そこで俺は皆に謝った。


「すまん。女を取り逃がした」


「いいんじゃね? ここまで来たら開放するって約束もしてたし」


 確かにそうだった。


 そしてクキが言う。


「さて。ここまで深くに来れば、情報の一つやふたつあるだろう! 探すぞ!」


「「「「「「了解」」」」」」」


 俺達はその階層の部屋をひとつひとつ、しらみつぶしに探し始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ