第380話 ファーマ―社の管理者を捕える
ファーマ―社の幹部がいるという部屋に走るが、そこで俺は異変に気が付いた。突然部屋の中の人間達が、窓から外に出ていくような感覚がしたのだ。
そこでツバサが言う。
「ん? ヘリの音聞こえない?」
「逃げられる!」
バン! と扉を破壊して部屋に入ると、そこには銃を持った人間がいた。俺に向かって銃を撃って来たので、日本刀ではじき返す。そいつらがそのまま窓から逃げようとしたので、俺は剣技を繰り出す。
「飛空円斬」
ドチャッ! ドチャッ!
二人の人間は体を真っ二つにさせて、内臓をばら撒きながら落ちる。俺が脱兎のごとく走り寄り窓から外を見た。
「ヘリコプターだ!」
皆が窓際に集まり外を見た。道路上にヘリコプターが降りており、二人の人間が護衛されながらヘリコプターに走っていた。
オオモリが言う。
「一階に監視カメラがあったようですね。我々の様子が見られていたようです」
監視カメラの映像が映っているパソコンが置いてあった。
クキが言った。
「ヒカル! ヘリのローターを狙え!」
「わかった」
俺は窓から離れ日本刀をかまえた。
「断鋼裂斬!」
俺の剣技は壁を破壊し、グルグル回るローターの付け根を斬る。するとローターが外れて、グルグルと飛んで広場の地面に刺さった。突然の光景に、走り寄っていたヤツラが尻餅をついている。
「行くぞ!」
俺はミオとマナを掴んで、ひょいっと窓から飛び降りた。タケルがツバサを抱いて落ち、クキがオオモリを掴んでいる。ミナミとクロサキは一人で飛び降りた。
するとヘリコプターの中にいる奴らが俺達に気が付き、筒状の銃をこちらに向けている。
クキが叫んだ。
「撃たせるな! ミニガンだ!」
「風裂斬!」
俺の刀から暴風が発せられ、ヘリコプターの内部にいる奴を反対側に吹き飛ばした。ゴロゴロと転がって倒れて動かなくなった。一気にヘリコプターに乗り込んで、操縦席の二人の首を斬る。
「制圧した!」
俺が振り向くと、クキ達は護衛を倒し二人の人間を確保していた。タケルが俺に親指をあげたので、俺も同じように親指を立てる。
既に反撃する気力も無いらしく、手を上げて無抵抗の意を示していた。
クキが尋問した。
「ファーマ―社だな?」
「そ、そうだ! お前達はなんだ!」
「十字軍だよ」
「じゅ、十字軍だと?」
「俺達の事はいい、あんたらベルリンをこんな風にして随分だな」
「…お前達には関係ない」
するとクロサキが言う。
「立派なテロ行為よ。国際的な法廷に立ってもらう必要がある」
「お前達にそんな権利は!」
するとクキは、捕えた護衛の人間の首根っこをつかまえて起こした。
「拒否権は無い」
「な、なんだと! 黙秘だ!」
パン!
クキは護衛の頭を拳銃で撃った。頭から血を噴き出して倒れていく。
「こうなりたいか?」
「ま、まて! わかった! 金か? いくら振り込めばいいんだ?」
「そうだな…。国を修復しなきゃいけないもんでね、最低でも十兆ドルはいるかね?」
「じゅ十兆ドルだと! そんな…馬鹿な!」
「ファーマ―社中からかき集めれば、そのくらい集まるんじゃないのか?」
「ばかな! そんな金集まるわけはない!」
「いやいや。それでも足らないんだよ。こんなことしたらな」
「……」
「さて、お前達はどこから来た?」
「……」
「えっと、次はお前だな」
クキがスタスタと歩いて、タケルが押さえつけている護衛を掴み起こした。何の躊躇もなく拳銃で頭を撃つ。
パン!
「ひっ!」
「やめてぇ!」
「さて、残るはあんたら二人だ」
「まて! 十兆ドルなんて無理だ! な、何をすれば助けてくれる!」
「洗いざらいしゃべれば、そんな気分になるかもな」
「言う! 何でも言う!」
もう一人の女が叫んだ。
「ねえ! 話したら本当に助けてくれるんでしょうね!」
「解放はしてやるかもしれない」
「じゃあ言うわ! 私達はファーマ―社の本社から派遣されてきたフランクフルト支部の社員よ。管理の為にここにいるの!」
「管理?」
「研究と兵士の管理よ!」
「ある程度の地位があるわけだ」
「現場ではそうよ! でも会社では中間管理職、だから大したことは知らないわ」
「…どっちでもいい。俺達をそこに案内しろ」
すると一瞬二人が顔を見合わせる。
「私が!」
「俺を!」
「私よ! 私の方が知ってるから!」
「いや。俺が案内する!」
「どっちでもいいよ。早く決めてくれ」
「私!」
「俺だ!」
するとクキが一枚のコインを出した。それを二人に見せて言う。
「人の書いてある面が表だ。コイントスをするからどっちか決めろ」
「「……」」
「どうした?」
「決められない!」
「十秒で決めろ」
ピン! とクキがコインをはじいて手の甲に落とし隠した。
「お、表だ! 俺は表!」
「私が表よ!」
「うるさい! 俺が表だ!」
「私よ!」
「おまえらわざとやってんのか?」
かちゃり。
クキが銃を突きつける。
「もう一回やる。二人でどっちかに決めろ」
「俺が表だ!」
「…じゃあ裏でいいわ…」
男が勝ち誇ったような顔で女を見ている。女は神経質そうな目つきで、歪んだ眼鏡を治しながらも震えていた。
「じゃ」
ピン!
パシッ!
クキが手の甲にコインを乗せて隠す。それを二人の前に持って来て、そっと手を外した。
裏だった…。
「お」
パン!
男は眉間から血を噴き出して倒れる。女は失禁してしまったようで地面が濡れている。
「行くぞ」
するとベルリン大聖堂の窓から、ぴょんぴょんと三人のゾンビ化兵が飛び降りて来た。この一大事に、救出しようと思っているのだろう。それを見た女が言う。
「あははは! やったわ! 私はやった! 早くこいつらを片付けなさい!」
どうやらゾンビ化兵に絶対の自信を持っているらしい。俺がすぐに剣技を繰り出す。
「屍人刺突閃」
ドサ! ドサ! ドサ!
「銃で撃っても無駄よ!」
女が勝ち誇ったように言う。もちろん俺は銃を使ったわけではない。女はじっとゾンビ化兵を見ているが、もちろんもう二度と動く事は無い。
「ねえ! あなたたち! なにをしているの! 戦いなさい!」
クキがしゃがみ込んで女に言う。
「おもちゃは動かんよ」
「馬鹿な!」
「さて、一緒に来てもらおうか」
女が項垂れる。タケルとオオモリが女を立たせ、俺達はベルリン大聖堂に入るのだった。内部の電子機器と、本部との連絡方法の説明をしてもらわねばならない。既に女は死んだ魚のような目になっており、観念したように引きずられながら歩くのだった。




