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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第379話 ゾンビ試験をするファーマ―社拠点

 見張りが全てゾンビ化人間である可能性を考え、俺以外はゾンビ破壊弾を仕込んだ銃を持っていた。クキの指示で消音機を取りつけているが、気づかれるのを避けるために、出来るだけ使用を控えるように言ってある。極力俺の剣技で始末していく前提で、敵が潜むベルリン大聖堂に忍び寄るのだった。


「屍人刺突閃 三連」


 まずは建物の上で銃を携帯している見張りに打ち込んだ。そいつらはベランダの向こうに姿を消し、俺の気配感知でも確認できなくなる。屍人斬の応用で放った剣技だが、間違いなくゾンビ因子を破壊できているようだ。


 正面の道路を警戒している奴らはそれに気が付いておらず、一人がこちらの暗がりに向かって歩いて来た。クキが暗がりからゾンビ破壊弾を仕込んだ銃を出して、眉間に一発撃ちこむと力なく崩れ落ち、それを抱き留めて暗がりに引きずり込んだ。


「高島教授の薬が効いてるようだ」


 ゾンビ破壊薬は一気に体を廻り、死滅させるのが確認できた。


「やはり先兵はゾンビ化してるか…」


「そのようだな。みんなくれぐれも気を付けるんだ」


「レベルの上がった俺らが上か、ゾンビ化人間が上か分からせてやるぜ」


「慎重にな」


 そして俺達が、ベルリン大聖堂の裏手に回ると川が見えて来る。下に下る階段があり、その先で銃を持った二人が話をしていた。


「屍人刺突閃」


 一気に二体の頭を撃ちぬいて倒す。そして階段を下り建物を見ると、鉄格子がかかったドアがいくつもあった。


「俺が鉄格子を斬る。タケルが押さえてくれ」


「あいよ」


 キン!


 鉄格子が外れ、こちらに倒れて来るのをタケルが押さえた。それを静かに脇にどけ、さらにドアの鍵を斬って、そっとその扉を開けてみる。中は廊下になっていて、ここからの侵入者を想定していない為か、警備に立つ人間はいないようだ。


「入るぞ」


 俺が先に入り込み、気配感知で人間の配置を探る。そして床にしゃがみ込み、皆に内部のゾンビ化人間と通常の人間の配置を知らせるために話す。


「こちらが正面。そこに二人のゾンビ兵、そしてこの奥の部屋に十人いてコイツらは人間だ。さらに二階の通路にゾンビ兵四人、部屋に数名いるが、どうやらこいつらは人間だ」


 俺が言うとクキが答える。


「なるほどな。兵隊はゾンビ兵でそろえたって事だ。そいつらが人間らを護衛しているってわけか」


「そのようだ」


「ゾンビの兵器化は順調に進んでいるようだ。ある種完成形の一つなのだろうな」


 それを聞いてマナが言う。


「不死身の兵士なんて恐ろしいわね」


 ミオが顔をしかめて言う。


「しかも人間の意志を保ったまま、ゾンビ化するなんて最悪ね」


 確かにその通りだ。普通のゾンビは自分がゾンビになっている事など理解していない。ゾンビ化兵はどのように言われてその体になったのだろう? 自分の体が、死人同様になると知っていてやったのだろうか?


 タケルが言う。


「大方、不死身の体を授けるとか、身体能力が上がるとか騙されてんじゃねえのか?」


「ならば…速やかに葬ってやるのが奴らの為だ」


「だな」


 そして俺達は暗い通路をヒタヒタと、十人ほどの人間がいる方向へと進んでいく。部屋の前の廊下に、二人のゾンビ化兵がいたが俺の屍人刺突閃で瞬殺した。


「いつもながら見事。おそらくゾンビ化兵がやられるなんて思ってないだろう」


「まったくだぜ」


 俺達がドアに忍び寄り、スッと細く開けると中で人間達が話をしていた。それは英語で話されており、俺にもおおよその言っている事が分かる。どうやら彼らはドイツ人ではないらしい。その部屋は教会の大聖堂で、白衣を着た連中が十人ほどパソコンなどの機器を確認していた。白衣の奴らは何かを話しているようだ。


「データはどのくらい取れてる?」


「パンデミック速度は想定通りですね。だがゾンビが被害をもたらす範囲は少し広いか」


「だな。この広がり方だと、ゾンビを戦争に活用するのも微調整が必要だ」


「まったくね。やはりゾンビ化兵とは違って、ノーマルゾンビは無差別に人間を襲い始めるから使い勝手が悪いわ」


「そのようですね。ですがゾンビ化兵のように手術をもってして、胞子を埋め込むのは手間がかかりますしね」


「やはり試験体の方が実用的なのかね?」


「しかしあれは、現地に運ぶのに自分達に被害が及ぶ可能性がある。制圧後にあれの掃討をするのにもリスクがあるだろう」


「試験体は日本くらい壊滅した場所でなら使えますがね」


「そうだな」


「「「「「「あはははははは」」」」」


「まあ、もう少ししたら、実行部隊が帰って来る。それまでデータを取れるだけ取ってしまおう」


「「「「「「はい!」」」」」」


 なんと言う事だ。ファーマ―社は本当にベルリンを使って、ゾンビの試験をしていたらしい。そこに誰かが入って来た。


「報告です!」


「なんだ?」


「実行部隊からの連絡が途絶えました」


「なに? ドイツ軍にやられたか?」


「わかりません!」


 少しざわつくが、一人が言う。


「この建物を護衛している奴らを向かわせろ。状況が分かりしだい撤退する。これ以上のデーターはまたどこかの都市でやればいい」


「は!」


 勢いよく入って来た奴が出て行った。


「ゾンビ兵が無力化されただと?」


「まあ多勢に無勢だったのでしょう」


「ミサイルでも使ったか…」


「そんなところでしょうな。そろそろただの暴徒じゃないと気づいたのではないかな」


「日本などの情報も入ってきているのですかね?」


「ほとんどがデマだと思うように仕向けているがな」


「馬鹿な連中だ」


「「「「はははははははは」」」」


 タケルや、みんなのこめかみの血管がブチ切れそうになっている。


「なあ、殺して良いか?」


「やりましょ。相手はゾンビ化兵じゃないし」


「殲滅よ」


 タケルもミナミもツバサもキレている。だがクキが静かに言う。


「機器を壊すな。そして一番偉い奴を確保する。それだけは忘れるな」


「「「了解」」」


 ひとまず冷静さを保たねばならない。そして俺達はスッと扉を開けて中に侵入する。皆はレベルが上がっているので、すり足や認識阻害のような力を持っていた。中に入っても、誰も俺達には気が付いていない。全員が周りを囲み逃げ場を無くした。


 ひゅっ!


 とクキが軽く口笛を吹いたと同時に、一気に皆が中央に詰め寄っていく。それに気が付いた奴が、白衣の下から銃を取り出そうとした。しかしそれは服から外に出される事無く、腕ごとミナミが斬り捨ててる。


「ぎゃ」


 と叫ぼうとしたところで、クロサキの警棒が頭を弾き飛ばす。そこでクキが言った。


「騒ぐな! 全員床にふせろ!」


 だがまだ言う事を聞かない奴が、近くに立てかけてあったショットガンに飛びついた。


 ガツン!


 そいつの頭が脳天から潰れる。タケルがモーニングスターをそいつの頭に落としたのだ。そこでクキが言う。


「あまり殺すな」


「すまねえ」


 流石に事態に気が付いた白衣の奴らが、慌てて床にふせた。そしてクロサキが言う。


「あなた方のリーダーは誰?」


 だが誰も手を挙げない。ミナミが近くで寝そべっている奴の太ももを、日本刀で刺した。


 ドス!


「がああああ!」


 流石に叫び声を出した。すると入り口の扉が開き、ゾンビ化兵が飛び込んで来る。


「やれ! このテロリストたちを!」


 叫ぶ白衣の言葉を聞いたタケルが言う。


「どっちがだよ」


 叫んだ奴の頭を蹴り飛ばすと、首がボキリとおれてしまった。もちろん入って来たゾンビ化兵は、何かを出来るはずもなく、俺の屍人刺突閃で床に転がっていた。


「た、助けてくれ! 止血を! 止血してくれ!」


 ミナミがさした奴が叫ぶが、ミナミは日本刀を抜いてまた腰のあたりに刺した。


「黙って」


 すると一人の男が言う。


「ここにいるのは、研究員だけだ! 管理者は皆二階の部屋にいる! 我々はやらされているだけだ!」


 するとクキは呆れたように言った。


「あーあ、吐露すんの早すぎるし、もっと上手い事言ったらよかったな。俺はもう止められんぜ」


 とクキが言い終わるかどうかの時には、全員がそこにいる研究員を殺害していた。それだけ、はらわたが煮えくり返っていたのだ。


「スッキリしたぜ!」

「私もよ!」

「ほんと! 清々したわ!」

「わたしもですね。犯罪を犯していると言うのに清々しい気分です」

「僕もです。こんな奴らは生きてちゃいけない!」


 俺には皆の気持ちが痛いほど分かる。自分達の家族や友達が皆殺しにされたのだ。ここでこいつらを許せるような奴は一人もいない。


 だがクキが冷静に言う。


「大森! 指示をくれ。ここにある機器の必要なものを回収する。それをより分けたら、直ぐに二階のお偉いさんに挨拶に行くぞ!」


「「「「「「了解!」」」」」」


 オオモリとマナの指示の元、そこにある機器からデータを回収していく。調べている暇はないので、手早く集めて他は一カ所にまとめた。


「よし。じゃあ顔を拝みに行くか」


 皆が頷いて、大聖堂を後にするのだった。暗がりを進むと二階に続く階段があり、俺が先に縮地で上がって、廊下を歩くゾンビ化兵を仕留めた。皆に手招きをすると全員が注意深く二階に上がって来る。


「こっちだ」


 俺達は静かに、敵の管理者がいるという部屋に向かうのだった。

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