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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第376話 封鎖されたベルリンへの侵入

バリケードの向こう側では、あちこちで煙が立ち昇り、ただならぬ雰囲気が伝わってくる。しかし俺達が中に進入する事は叶わず、近づけば撃たれてしまうようだ。空にはヘリコプターが飛び交っており、夜の都市を照らし続けている。物々しい雰囲気に包まれており、一触即発の状態である事がわかる。


 その状況にオオモリが焦って言う。


「早く行かないと、取り返しがつかなくなりますよ!」


「ばーか、落ち着けって」


「でも武さん。この騒ぎを押さえられる人がここにいるんですよ!」


「んなこたあ、分かってるよ。でもここを強行突破なんかしたらマズいだろうが」


 それを聞いたクロサキが頷いた。


「そうです大森さん。そんな事をしたら、私達は犯罪者として国際手配を受けてしまいます」


 クキも言う。


「だなあ。こんなとこを突破したら、間違いなくテロリスト集団として認識されるだろう。そうしたら今後の俺達の活動がやりにくくなる」


「そうか…」


 皆は、そんなことは全く気にしていないようだ。


「つーこった! みんな車に乗った、乗った!」


 タケルに言われて皆が車に乗り込み、バリケードからUターンして距離を取っていく。


 そしてマナが言う。


「顔がバレたら、偽装しているどこかの国の本人にも迷惑がかかるだろうし、私達のパスポートの偽装がバレてしまうからさ」


「そうでした。すみません。彼らが頭ごなしに撃つとか言って来るからカッとなりました」


「あれが普通の対応だ。暴動が外に広がらないようにしているのと、中に入れば危険だから戻るように言ったのもある。それだけだ」


「はい、すみません」


「で、何処から入るかだな。大森、地図を出してくれ」


「はい」


 離れた場所で車内の灯りをつけて、皆がオオモリのパソコンを見る。そこにはベルリン周辺の地図が表示され、道路の様子が網羅されている。


 クキが地図をなぞりながら言う。


「主要な幹線道路はダメだろうな。だがまだ暴動が起きたばかりで、閉鎖されている区画は限定的だろう」


 それを聞いてクロサキが言う。


「ベルリンは大都市ですからね。一気に隔離なんて出来るわけがない、九鬼さんの見立てではどのくらいかかると思いますか?」


「さっきのは警察じゃない、軍隊だ。ドイツ軍は優秀だからな、明日の昼には完全な包囲網が出来るだろう」


「侵入するならそこまでがリミット」


「ふふ。そんなに時間をかける気はない。なあ大将」


 クキが俺に言う。


「二時間以内に侵入する」


「だそうだ。それならば…」


 クキが地図を指でなぞって、ある所で止めた。


「グルーネヴァルト、この森林を進んでいこう。都市部に近づいたらファーフェル川の沿岸を探す、このあたりのどこかに必ずボートがあるはずだ」


 ミオが言う。


「それを奪う?」


「そう言う事だ」


 話が決まって、俺たちが乗るワゴン車が渋滞の道路を横切り、住宅街を抜けると森林地帯に入る。クキの読み通りこのあたりには、まだ軍隊の手が及んでいないようだ。森林地帯の舗装されていない道路を進んでいく。


「どこか森の中に車を捨てた方が良い。見つかりづらい所に」


 クキが言い、タケルが車を森の木々の中に突っ込ませた。


「行くぞ」


 クキの号令で、俺達は荷物を背負い車を降りる。このあたりには人はいないが、森林地帯の為に真っ暗だった。仲間達の数人が懐中電灯を取り出し、あたりを照らして進んでいく。既にレベルが上がっているので、少しの灯りでも昼間のように進んで行けているようだ。


「川が見えたわ」


「広いな」


 そしてクキが言う。


「このままベルリンに向かって歩いて行くぞ」


 そのまま皆が川べりの雑木林を進んでいくと、何やら川に建物が建っている場所がある。そこに行くと川に船が浮かんでいるのが見えた。


「よし」


 クキが言うとタケルが感心したように言った。


「さすが九鬼さん」


「こういう観光地にはあるもんだ。幸いにもベルリンの騒ぎがあって休業中のようだ」


「手ごろなのを探そう」


 俺達は暗闇の中で、全員が乗れそうなボートを見つける。


「コイツが手ごろだ」


「動くと良いんだが…」


 皆が乗り込んでいき、タケルが操舵室でいろいろといじり出した。するとエンジンがかかりボートが振動し始める。


 クキが言う。


「まったく、車ドロだけじゃないのか」


「ユミに少し教わったんだよ。つーか九鬼さんよ、おりゃタイヤやガソリンは盗んだことあるけどよ、車やバイク本体は盗ったことねえからな」


 するとクロサキが言った。


「今…聞き捨てならない事を言いませんでしたか? タイヤやガソリンは盗んだことがある?」


「やべえ。ここにポリがいたんだった。だが時効だよ、時効! 中学や高校のガキん頃の話だ。勘弁してくれよ。バイクだって解体屋からもらって組んで乗ってたんだ。涙ぐましい努力だぜ」


「冗談です」


 一瞬皆が沈黙して、くすくすと笑いだす。そしてミナミがクロサキに言った。


「黒崎さんも冗談言うんですね」


「笑ってもらえてよかったです。公機捜でも堅物って言われていましたので」


 クロサキが恥ずかしそうに言うと、クキがクロサキに言った。


「いや。トウシロばっかりの現場だったからな。あんたが一緒で今回の潜入も楽になった。堅物が一人居ないと締まらないんだよ。まあ冗談の一つくらいは御愛嬌だ」


「そんな事は…」


 それについては俺も同じ思いを抱いていた。クロサキがパーティーに入っている事で、かなり安定感が出ている。


「俺もクキと同意見だ。クロサキがいる事でやりやすくなっている」


「ありがとうございます」


 タケルがボートを動かしながら、クキに言った。


「橋の下をくぐるぜ」


「そのまま進め」


 流石はクキだった。軍隊は包囲網を作りきれておらず、川は監視されていなかった。俺達が乗ったボートは橋の下をくぐり、夜闇の街を流れる川を進んでいくのだった。

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