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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第370話 シベリア鉄道を遮断する

 二日間、皆は特製スマートフォンを利用しつつも、それぞれの部屋を行き来して話し合った。列車の狭い通路には何部屋ものドアがあり、その中では旅人たちがそれぞれの思いを胸に旅をしているのだろう。二日もあると何度か顔を合わせる人がいて、すれ違う時に挨拶をしてくれるようになった。


 この人達のモスクワ到着を遅らせるだけで助かる可能性は高い。わざわざ危険性の高い場所に行く必要は無いのだ。俺はそう思った。


 そして間もなく俺たちが乗る列車は、下車予定のイルクーツクに到着する。既に全員が下車の用意をしつつ、警戒を怠らないように注意をしていた。


「着いたわ」


「行こう」


 ミオがきゅっと髪の毛を後ろに縛り引き締まった顔をしている。ツバサもかなり緊張したような表情で、口が真一文字に結ばれていた。


「あまり気負うな。周りの人と比べて違和感があるぞ」


 俺の言葉に二人は、ハッとした顔をして見つめ合う。


「そうだったかも…。やっぱり慣れない事をするのは緊張するわ」


「私も」


「リラックスだ」


「「わかった」」


 列車を出ると、離れた場所からクキとクロサキたちが出て来るのが見えた。この駅には何本もの線路が連なっており他の列車も止まっている。すると後ろから列車がやって来た。


「あれは…これからモスクワに行っちゃうのかしら…」


 今動いている列車は止めようがない。ここで騒ぎを起こしてしまえば、俺達は目的地につけなくなるかもしれないからだ。俺達だけじゃなく、クキやクロサキ達も立ち止まってその列車を眺めていた。


「なにあれ。後ろが見えない」


 ミオが言う。列車が目の前を通過し始めるが、ミオもツバサも驚いたような顔をしている。その列車は、いつまでもいつまでも続いているようだった。


「百両以上あるんじゃない?」


「貨物列車だわ」


 俺がツバサに聞く。


「カモツ列車?」


「荷物だけを運ぶ列車よ」


「という事はあれに乗客は乗っていないのか?」


「そう、乗務員だけね」


 それを聞いて少しほっとした。そして俺が二人に言う。


「皆が貨物列車に意識がいっている今がいい」


「やるのね?」


「ここで待っていろ」


 俺は音もなくそこから消え、乗って来た列車の反対側に現れる。丁度その横を貨物列車が走っており、俺の姿は対面からは見えなくなる。俺は縮地で先頭の車両まで移動し、そこでじっくりと連結部分を見た。


 数か所を破壊すればいいようだな。


 俺はバッグに隠し持っていた日本刀を抜き取り、先頭車両の連結部分を斬る。


「断鋼裂斬」


 連結部分は音もなく斬れた。俺はそこで脚力強化を施し、一気に後方の車両に向かって走りながら、各連結部分を真空裂斬で切り離して行く。後方車両にたどり着き、ミオに言われたとおりに列車の上にある電線を狙う。


「断鋼裂斬」


 シュピ! とほとんど音もなく電線が切れてぶら下がった。それを確認し、俺はすぐにミオたちの所に戻る。


「待たせた」


「待ってないわ。貨物列車はまだ続いている」


「あれのおかげで目くらましになった」


「終わったのね」


「そうだ」


 俺達が、列車を破壊した事など忘れてしまったかのように何食わぬ顔で歩いていると、ミオが言った。


「凄く綺麗な駅だわ。シベリアのパリと言われるだけはある」


 ミオは俺の助言通り、平常心でふるまう事にしたようだ。


「本当ね。とてもいい景観」


 ツバサも冷静にふるまっている。駅の構内に入ると人がごった返していて、ベンチにたくさんの人が座っていた。


「駅中も、とても綺麗」


 確かにそのようだ。すると、オオモリたちが店で何かを買っているのが見える。


「オオモリたちが食料を買っているぞ」


「私達も買いましょう」


 オオモリたちが動いたのを見て俺達も店に行き、あれこれと選んでミオが金を払う。それを鞄に詰め込んで、俺達も駅を出るのだった。駅前にはずらりと車が並んでおり、駅を利用する人たちが乗り降りしているようだ。


 ツバサがポケットからスマートフォンを取り出す。


「集合場所が決まったみたい。地図が送られて来た」


「いきましょう」


 街を歩きながらミオが言う。


「街も凄く綺麗。始めて来たけど、こう言う所はワクワクするわ」


「ミオは旅行が趣味だからな」


「覚えててくれたんだ」


「皆の事を覚えている」


「うれしい」


 駅の前にある小高い丘に登る階段を上がると、そこは木々が生い茂っておりポツリポツリと民家があるようだ。人の気配はなく、俺達は地図を頼りに集合場所へと進む。少しすると空き地があり、中に入っていくと皆が待っていた。


 挨拶もそこそこに、クキが俺に聞いて来る。


「どうなった?」


「列車は切り離した。電線も斬ってある」


「仕事が早い」


 そこでオオモリがパソコンを広げて、俺に見せて来た。


「この先のイルクート川というところに鉄橋がかかっています。そこを破壊すれば、しばらくは復旧出来なくなるでしょう」


「どこだ?」


「ここから北に二キロと言ったところです」


「分かったすぐに行って来る。皆はこのあたりで待て」


「ここじゃ目立つ。この先に公園があるようだから、そこを待ち合わせ場所にしよう」


「わかった」


 するとタケルが皆に言う。


「んじゃ、おりゃ車をパクって来るぜ」


「決まりだな」


 俺はすぐさま北に向かう。脚力強化をしているので、一分くらいで二キロ先の川へたどり着いた。オオモリが言っていた通り、川には列車用の鉄橋が架かっている。しかし、右を見ると車両用の橋も架かっており、今は車通りが多い。


 なるほど…。これを破壊すれば目立つな。


 そう思ってオオモリに渡されたスマートフォンで連絡を取ろうとするが…、使い方が分からなかった。


 はて…。こうだったかな?


 画面に触れて動かすが、スルスルと次の画面に変わるだけで何も分からない。自衛隊基地で教えてもらった時には無いものを、オオモリが列車の中で作って入れたと言っていた。俺はそれをあまり良く覚えていない。


 こうなったら勘に頼るしかない。タケルの奴がどのくらいで仕事をするかが勝負だ。ここでの騒ぎが大きくなれば、その周辺でのタケルの仕事がやり難くなるだろう。アイツが車を回収するまでの時間を逆算するしかない。


 そこで俺はその場でじっと待つことにした。それから三十分ほど経過した頃、俺はようやく鉄橋に向かい日本刀をかまえる。周囲に人はおらず距離は約百メートル。


「大龍深淵斬」


 剣撃が飛び鉄橋の手前側を斬った。


「大龍深淵斬」


 そしてさらに対岸の方を斬るが、斬れ味が良すぎて崩れない。次に俺は鉄橋を支える柱を狙う。


「冥王斬」


 すると柱が砕けてゆっくりと鉄橋が落ちて来る。


「よし」


 俺がすぐさま約束の場所へ戻ると、同時にタケルがマイクロバスに乗って来た。どうやらドンピシャだったようだ。


「みんな! 乗ってくれ。ナンバーも適当に付け替えてある」


「わかった」


 俺の調整はバッチリだった。何度も一緒に仕事をしているうちに、阿吽の呼吸と言うものが出来上がっているらしい。そして、俺達の乗ったマイクロバスはイルクーツクの町を後にするのだった。

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