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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第357話 偽装工作を始める

 自衛隊達とクキは、オオモリと共に海外に潜入する為の作戦を練っていた。衛星回線を使って各国の現在の状況を調べつつ、どのルートが最適かを何度も何度も検証しているらしい。そしてある時、俺達潜入組にお呼びがかかる。


 俺、ミオ、マナ、タケル、ミナミ、ツバサそしてクロサキが呼ばれて、部屋に入っていくと何らかの準備がなされていた。そしてオオモリから、部屋の真ん中に一人一人立つように言われる。部屋には黒く細い柱がたてられていて、それに何らかの機械が付いていた。


「えっと撮影します。まずはヒカルさんから」


 俺が聞く。


「これはなんだ?」


「カメラです。数台のカメラで撮影をしてヒカルさんの3Dを作ります。それから姿形をデータに収めて行きます」


「わかった」


 とりあえずオオモリに言われるままに、カメラで囲まれた中心に立つ。


「撮りまーす。適当に動いてください、各カメラに表情を向けるような感じです」


「こうか?」


 俺は適当に体をぶらぶらと動かしながら、柱についてるカメラに目を向けた。


「いいです。あとは笑ったり怒ったり適当な表情を作ってください」


「こうか?」


 笑った表情を作ったり、怒った表情を作ったりさせられているとオオモリから指示が出る。


「じゃあ手を上げたり下げたり。そうです! オッケーです!」


 俺がその場を離れて、みんながいるところに戻る。するとオオモリがパソコンで何かやりだして俺達に言う。


「見てください!」


 ディスプレイに俺のような奴が映っていた。それを見てミオが言う。


「ヒカルそのものだわ」


「ヒカルさんを完全3D化しました。表情や動きだけではなく、髪質や肌の色、笑った時のしわや目の動きをシミュレートしてます」


「すっごいリアルなんですけど」


「なんならヒカルさんフィギュアも作れちゃいますよ。欲しいですか?」


「あっ! えっ! えっと!」


「冗談です」


 オオモリがいたずらめいて笑うと、タケルがポカッ! とオオモリを叩いた。


「痛て!」


「からかって良い相手と悪い相手がいるんだよ」


「すんません」


 するとオオモリがまた、パソコンに向かいカブラギに言う。


「鏑木さん衛星通信を繋いでください。世界中のデーターにハッキングします」


「痕跡が残る前に切断しますよ」


「充分です」


 オオモリがパソコンで何かをすると、次々に俺のような金髪の白い肌の人間が映し出された。


「何をしているんだ?」


「スキャン中です」


 俺達が黙って見ていると、かなり俺に似たような人間が映し出しされて画像が止まった。それを見てオオモリが言う。


「うーん。ヒカルさんより少し細いみたいですが、おおよその部分で一致しますね」


 周りの奴らが言う。


「そっくり…」


「並べます」


 そいつの顔と体、俺の顔と体が画面上に並ぶ。それが立体的になっていて回転していた。


「オオモリ。それが一体なんだというんだ?」


「偽装の為の情報ですよ」


「偽装?」


「ヒカルさんは偽装パスポートを作って、この人に成りすます必要があります」


「なるほど」


 それを見てユリナも言う。


「こんなそっくりな人いるんだ? 何処の国の人?」


「フランス人ですね」


 そこでカブラギが言う。


「すみません、回線を切断します」


「充分です」


 俺は似ている奴を見せられている。どうやら俺はこいつに成りすまさなければならないらしい。


「では、AIウイルスが集めて来た、この人のプロフデータを見ましょう」


 次にいろいろな、外国の文字データが浮かび上がって来た。そしてオオモリが言う。


「AIで翻訳します」


 一瞬で日本語に変わった。


「読み上げますね。名前はルイ・リシャール、二十六歳のフランス人ですね。ブルゴーニュ地方の小さな山村の出身です。ビジネスレベルの英語も話せて、自然保護団体プラネットブルーの調査員で、大学時代は生物学を専攻していたらしいです。今は森林保護、特に希少動物の保護を専門にしているようです。情熱的な性格で、自然保護に対する使命感が強い。私生活ではキャンプが好きで、サバイバル術を体得していますね。あとはワインコレクターです」


 俺が驚いてオオモリに聞く。


「そんなことまで分かるのか?」


「まだまだ詳細が分かります。とりあえずは機械が抜粋してくれた内容です」


「とにかくコイツになりきると?」


「そう言う事になります。そのようなパスポートも作ります」


「なるほど…」


 今まで他人に成りすました事など一度もない。自分にそんなことが出来るか不安だが、それをしないと皆を危険に晒してしまう。


 俺がそんな事を考えているのを見透かしたようにクキが言う。


「すぐって訳じゃない。潜入までに訓練を繰り返し、コイツに成りすませるようになったらいいだけだ。特殊作戦群では現地に紛れる事もあったが、それは訓練による賜物だ。だから焦るな」


「わかった」


 仲間達もクキの言葉を聞いてうんうんと頷いていた。そしてオオモリが言う。


「じゃあ次はミオさん」


「は、はい」


 ミオがカメラの中心に立って、俺がしたようにいろいろと動かされた。するとまたディスプレイに、ミオの3Dが映し出される。


 それを見てタケルがオオモリに言う。


「くれぐれも言っておくが…、お前、美桜のフィギュア作らねえよな?」


 すると女達がギロりとオオモリを睨む。


「つ! 作りませんよ! さっきのは冗談ですってば!」


「一応もう一言言っておくが、愛菜のも作るなよ」


「うっ、あ、はい。もちろんです…」


「作るなよ」


「当たり前じゃないですか! 作るわけ無いでしょ!」


 オオモリが顔を真っ赤にして怒り出した。それを聞いてタケルが言う。


「まあ、次すすめろ」


「わかってますよ!」


 そして、オオモリはまたカブラギに言った。


「鏑木さん! 回線をつないでください」


「了解」


 するとさっきと同じように、いろんな人間の顔がパラパラと移り変わっていく。


「一応言っておきますが、日本人は省いています」


「なるほど」


 そしてパラパラとめくられていた画像が止まった。


「一致です」


 それを見てタケルが言う。


「綺麗なのに、似ているのが出てくるもんだなあ」


「では、この人の詳細を」


 そしてまた外国の文字が映し出され、それが日本語に変わった。


 オオモリが読み上げる。


「シユ・チェイ。中国人で…あ、ダメだなこれは。目立ちすぎてしまう」


「どういうことだオオモリ」


「女優ですよ。新人賞を取ったり、最優秀助演女優賞を取ったり有名な人です。流石にこれになりすましたら騒ぎになります」


 するとクキが言う。


「有名人か…使えない事もないがな、移動中は違う人に成りすました方が良い」


「では次点で出たこの人です」


 そう言ってミオに似ている人を映し出す。


「リファ・シェンミン。中国人で広東省広州市の出身です。外資系の会社で海外事業部に勤めています。楽観的な性格で、英語も話せますね。好きなものは飼い猫と恋愛映画、ゲームも好きなようです。ゴキブリや虫全般が嫌いらしいです。学生時代は武術大会で優勝した経験がありますね、南拳を習っていたようです」


 それを聞いてミオが言う。


「私はその人に成りすませば良いわけね」


「そうなります」


「ちょっと近い部分もあるから、ある程度は素で行けそう。中国語も英語も大丈夫だし」


「強いですね。とにかく訓練してこの人になりきりましょう」


 そう話してオオモリが次にタケルに言った。


「じゃあ次はタケルさんを撮ります」


「よろしく頼むわ。俺が何に似てるか楽しみだ」


 そう言ってタケルはカメラの真ん中に立つのだった。


 するとマナが俺に言う。


「大森君、こともなげにやってるけど、これって凄い事よ。万全を期すにはこれくらいじゃないとダメってことね」


「なるほど」


 カメラの前でガッツポーズと取っているタケルを見ながら、俺は先ほど映し出されたフランス人の事を思う。どうやら、俺はこの世界ではフランス人という人種に似ているらしい。新しい試みに、俺は何故か心が湧き立つのだった。

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