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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第349話 公安機動捜査隊が調べた情報の重要性

 クロサキ達はゾンビ世界になる前と、そしてゾンビ世界になってからも捜査を続けていたようだ。こんな世界になっても、必死にファーマ―社を追い詰めようとしていたらしい。俺達のように実力行使で集めた情報というより、潜入してコツコツと集めた情報だ。


 それらを見てオオモリが説明し始める。


「僕らが集めた情報は、どちらかというとゾンビ研究によるものが多かったですが、黒崎さん達の情報はそうではないみたいですね」


「はい。私達は軍事研究までたどり着いていませんでしたから、あなた方の集めた情報は衝撃でした」


「それはそうだと思います。でも黒崎さんの公機捜が調べた情報は、まだゾンビパンデミックする前の情報もありますね。それに、生きているファーマ―社社員の音声データもありますし、経理などの金の動きや総務系の情報も多く含まれています。一番特質すべき点は、ファーマ―社や関連する重要人物がマークされている事です。我々のデータではそこまでの情報はありません」


「どちらかというと企業の方に入り込んでいましたから」


「申し訳ないのですが、かいつまんで説明する事は出来ますか?」


「わかりました」


 パソコンがディスプレイに繋がっており、クロサキはオオモリかに変わってパソコンを操作し始める。すると画面上に何かの表が映し出され、それを見ながらクロサキが説明していくのだった。


「ファーマ―社は元より大きな企業でした。ですがある時の企業買収騒ぎで、大きめの負債を抱えたのです。もちろん利益はあるので、それを補填する力はあったのですが、それをすれば株価に影響を及ぼす可能性が濃厚でした。ですから、それを隠すために大々的に新薬を発表する必要があったのです」


 皆が黙って聞いている。


「その新薬が、これまでにない、様々の病気に効くという薬。そして体を修復するという新物質でした。それはセンセーショナルな物で、恐らく皆さんもテレビやインターネットなどで見ていたのではないでしょうか? いろんなものに作り変える事が出来て、万能の未来薬だと言っていたのです。見たことはありませんか?」


 ユリナが答える。


「確かに見たわ」


 マナも言う。


「わたしも」


 するとそこにいた俺以外の皆が、ウンウンと首を縦に振っている。


「ですが先行して発表をしていながら、動物実験や人体の治験はおろそかにしたのです。出来るだけ早く世界に売りつけて、収益化を図りたかったのですね。結果、それらはきちんとした検証をせずに、世に出されてしまいました。ですが、そんな意味不明なものを、手放しで買う国はありませんでした。たった一つの国を除いては…」


「日本ですね…」


「そうです。日本の政治家に多額の献金がばら撒かれていた話はしましたよね。政府にファーマ―社関連の人が多数入り込んでいたのです」


 みんなが神妙に聞いている。


「しかも当時の総理がそれを大量に、更に長期契約で買い付ける事を約束したのです。もちろんそれは利権の為にでした」


 そしてグラフの途中を指さして言う。


「ここが始まりでした。あれほどの大企業の収益が倍に膨れ上がり、負債などのニュースはかき消される事になりました」


 タケルが舌打ちをして言う。


「保身のためにこんなことをしでかしたのかよ」


「そう言う事です」


 そしてクロサキがパチパチとパソコンを叩き画面を変えた。そこには一人の男の顔が浮かび上がっている。そしてクロサキがみんなに聞いた。


「見た事ありますよね?」


 するとヤマザキが答える。


「ファーマ―社CEOの、モーガン・ウイリアム」


「そうです。彼がこの時の最高責任者でした。その新薬の飛躍的な売れ行きを見て、もっと日本に売りつけ、それを更に世界に拡大しようとしたのです。ですが…」


 クロサキが悔しそうに言う。


「彼は薬の素人だったのです。ただ儲かる薬が出来上がったと喜んで、治験も済んでいないものを喜び勇んで売ったのです」


「広げたって訳か…」


「はい」


 そしてまたパチパチとパソコンを叩く。


「次にこれが、最初にゾンビ因子を開発したと思われる人物です」


「科学者っぽい」


「そうです。彼女は科学者のアビゲイル・スミスといいます。この人物が、遺伝子に入り込み活性化する素材を開発したのです」


「ゾンビの生みの親ってわけか」


「そうなります。そして…」

 

 クロサキがまたパソコンを操作する。


「これは見た事あると思います」


 ヤマザキが言った。


「マーガレット・ブラッドリー国務長官」


「そうです。彼女は恐らくこの薬の危険性を知っていた。それなのに、ゴーサインを出したのです。そして次です」


 次に画面に映ったのは男だった。


「彼は薬開発部門の総責任者である、ガブリエル・ソロモン。動物実験もそこそこに、治験を飛ばして薬剤を外に出した人物です」


「そんな危険な事を…」


「そうです。それを知らずに日本人は体内に入れてしまった」


「何人も絡んでいるという事だな」


「はい。ですが我々の捜査で、ひとりの暗躍している人物が浮かび上がってきました」


 次にディスプレイに映ったのは、日本人のような風貌の男だ。だが顔がはっきりと映っておらず、しっかりと確認する事が出来ない。


「謎の男です。ですが我々は、名前を突き止めました。イーライ・ウーミンと名乗っています」


「名乗っている?」


「本名か分かりません。ですが、事が起こるたびに、この男の影が見え隠れするのです。ですから公機捜はこの男を捕えようとしました。残念ながら、そのしっぽすらつかむことは出来ませんでしたが」


 タケルが言う。


「コイツが怪しいってことだな」


「はい。それ以外にも絡んでいる人間は大勢いますが、今の五人が要注意人物として、捜査の対象に上がっていたのです。もちろんCEOや国務長官などに近づく事は出来ませんがね。そこでまずはこの、イーライに接触を試みようと潜入した訳です」


「ダメだったんだ…」


「はい。その四人を追い詰める為にも、まずは末端から裏をとらねばなりませんでしたから。そもそも、あのような巨大組織を追い詰める事など、無謀だったのかもしれませんけど」


 そこで俺が言う。


「そんなことはないぞ。守りなど突破してつかまえればいい」


「それこそ無謀ではないですか?」


「そんなことはない」


「ですが…」


 するとタケルが言う。


「いやマジで。ポリスが邪魔をするならポリスを蹴散らして、軍隊が邪魔をするなら潰しちまえば良いって事になる」


「我々だけで戦争でもするつもりですか?」


 そこで一斉に全員が頷いた。誰一人として、それから逃げようとは思っていないようだ。


「というわけだよクロサキ。だからあんたらが調べた奴らを、きっちり追い詰めてやろう」


「そういえば…ヒカルさんは、核を日本刀で無力化したんですっけ?」


 それを聞いてヤマザキが言う。


「それだけじゃない。空母を斬って戦艦を斬って、戦闘機を斬って、衛星を斬ったんだ」


 するとクロサキがふざけ顔で言った。


「なら世界各国は、ヒカル個人と条約を結ばなきゃならないわね」


 だが誰も笑わなかった。むしろ皆が驚いた顔をして、ヤマザキが何か気づいたように言う。


「まるで…核だ。核抑止力というが、この力が知れ渡れば…ヒカル抑止力という言葉が生まれるかもしれんな」


「ヤマザキ、それは嫌だ。そんな事をしたら、俺はバケモノ扱いされて怖がられる」


 ヤマザキが気まずそうに言う。


「たとえ話だよ」


 半分本気だったヤツの顔だ。


「そうか」


 クロサキが大きく息をつきながら言う。


「全部…本当って事ね…。分かりました。では次に移ります」


 そして次は地図が展開された。それを見てミオが聞く。


「これは…世界の…」


「そうです。我々が潜入捜査の結果調べ上げた、ファーマ―社の非公開の拠点になります」


 それを見て皆がざわつく。ユリナが手を上げて聞いた。


「あの、ファーマ―社の会社や工場って言う事ですか?」


「ここを見てください」


 クロサキが指さしたのは福島の原発跡地だった。そこにも印が付けられており、今は黒くバツがつけられている。


「俺が消滅させたファーマ―社の地下研究所だ」


「あれは…あなたが?」


「危険だったのでな」


「では…ここは?」


 そう言ってクロサキが東京の一部を指す。


「そこは強力な試験体がいたところだ。核攻撃になった更地で、地下に研究施設があった」


「やっぱり…」


「だがそこももうない」


「そう言う事ですか」


 だが地図を見てクキが言う。


「黒崎さんよ。つうことはよ? この世界地図に印が付いた場所はあれかい?」


「同じような施設がある可能性がある場所です」


「そう言う事か、だと俺は一カ所知ってるな。あそこは、ファーマ―社のものだったのか」


「知っている?」


「仕事をもらった時に、その周辺にいる敵対する武装組織を排除したことがあった」


「傭兵時代の話ですね」


「そうだ」


 俺達が探していた情報がここに集まっていた。それらはクロサキ達が、ファーマ―社が通常運営していた時に潜入して調べた物らしい。俺達が調べていたのは、事後の情報だったと言う訳だ。


 クロサキが言う。


「そして私が見せてもらった、あの秘密工場の実験。あんなのが原発跡地で行われていたなんて」


「どうやら話が繋がってきたようだな」


「そのようです」


 それからは、俺達の情報と知っている事、自衛隊の知っている事、そしてクロサキが知っている情報のすり合わせの作業となるのだった。

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