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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第348話 優しい奴ら

 俺達はクロサキのアジトから、パソコンや物資を回収し基地に戻って来た。そのほかのパンッパンに詰め込んだ買い物袋の束を、皆が持っているのを見てカブラギが聞いてくる。


「ど、どうしたんですそれ!」


 そう言われて、ハルノと部下の目が泳いでる。だがそれにユミが堂々と答えた。


「黒崎さんが潜伏していた場所がショッピングセンターだったんです。ここには子供達もいますしね、仲間達の着替えも無いと困るので回収して来たんですよ!」


「そう言う事でしたか! して情報はどうなりました?」


「先に大森君のデーター室に運んでます。閲覧をしたい時はデーター室にどうぞ」


「わかりました」


 そうしてカブラギは部屋を出ていく。それについてハルノと部下達が出ようとした時、ユミが彼らを呼び止めてこっそり言った。


「あとで部屋に取りに来て」


「分かりました。ありがとうございます」


 仲間達が親指を立てて笑顔で合図をした。それを見てハルノ達も親指を立てながら部屋を出ていく。


 そこでミナミが言う。


「行けなかったみんなと、子供達も呼んでくるね」


 そう言って部屋を出ていった。俺達がテーブルの上に荷物を置いて待っていると、タケルが俺に言う。


「ヒカルは残念だったな」


「まあ仕方ないさ」


 それを聞いたマナが言う。


「ル〇ヴィ〇ンにはアウトレット無いのよね。値引きはしないブランドだから」


「まあ仕方ねえさ! また今度どっか探しに行こうぜ!」


「わかった」


 それを聞いていたクロサキが、俺に聞いて来る。


「ヒカルさんの、それって…こだわりなんですか?」


「これは仕立ても良いし、なんと言っても見栄えが良い。なんというかやる気が出てくるんだ」


「…プッ!」


 クロサキに笑われる。俺は何かおかしなことを言っただろうか?


 するとミオが言う。


「確かにね。最初に見る人は違和感があるわよね」


 ミオまで言った。俺は自分の体を見下ろして、どこに違和感があるのかを探してみる。だが何処からどう見ても、とても見栄えのいい形をしている。


「どこがだ?」


 タケルが苦笑いして言う。


「あんまヒカルを困らせんなよ。俺はカッコいいと思うぜ! こんなスタイリッシュな奴がいるんだなって感心したもんだ」


 するとミオが慌てて言う。


「私だってカッコ悪いとは言ってないわ! もちろんカッコイイと思ってるし!」


 あまりにも大きな声を出して言うものだから、みんなが唖然としてミオを見ると、ミオはハッとしてみるみる顔を赤くした。


 クロサキがミオに言う。


「うふふふ。可愛らしいです」


「いえ、そんな」


「本当に。でもヒカルさんの服が本人のこだわりだったなんて。私はそのせいで…」


 と言いかけて口をつぐむ。俺はその先を促した。


「言ってくれていい」


「ごめんなさいね。そのせいで教祖様だと思ったんです」


「この格好のせいで?」


「そう。だって御伽噺の英雄は、ハイブランドのスーツなんて着てるわけないし。そもそもハイブランドのスーツで身を固めているイケメンなんて、胡散臭いと感じたんです」


 それを聞いていた仲間達が、みんな大きく頷いている。どうやらそれに関しては、皆が共感を持っているようだ。


「でも悪い気持じゃないです。きっとあなたのような年齢で、そのブランドを着ている事が違和感だったんです」


 そしてタケルが言う。


「まあ、確かにそう思うのも無理はないか。どう考えても高級ホストか、青年実業家かって感じだもんな。まあでも、カッコよくないっすか? こんなスタイリッシュな奴が、少年漫画のヒーローのような力を持ってるんですよ?」


「それはわかります。カッコイイなって思います。本当にスタイリッシュで」


「脱ぐともっと凄いんだぜ!」


「ははは、そうなんですね…」


 するとユミがタケルの頭を叩く。


「セクハラ! 黒崎さん困ってるじゃない」


「だってよう、本当の事だし! みんなで一緒に風呂に入った時なんざ、お前ら全員ほれぼれして眺めてたじゃねえかよ!」


「あら? でも…それは…美しいものを見たらねえ、美桜?」


「わ、私は…」


「み・て・たよねー」


「み、見てた…」


 そんなやり取りを聞いていたクロサキが言う。


「なんか、すっごくいいですよね。みんな変に気を使う訳でもなく、思った事を話せる関係性で」


 そしてユリナが答える。


「だって、戦友ですから。ここにいる皆が、日本を復活させるために戦って来た戦友」


「私も仲間に入れますかね?」


「もちろんですよ」


 そこにミナミが、仲間達と子供を連れて来た。そこでユリナがみんなに言う。


「みんな! 新しいお洋服だよ! 好きなのえらんでいいよー!」


「「「「「わーい!」」」」」


 広い食堂のテーブルを繋げて、その上に回収した服を広げていく。子供達が一斉に群がり、それぞれの気に入った服を取って行った。テーブルが片付いたところでユリナがもう一度言う。


「じゃあ今度は大人の番だよー」


 そう言ってテーブルに服が出され、皆が気に入ったものを選んでいくのだった。クロサキもそれに混ざり、自分が回収した服を手に取っている。これから一緒にやっていくうえで、こういうことは非常に重要な事だ。楽しみも苦しみも一緒に分かち合う事で絆が強まっていく。


 と、俺達がワイワイやっているところに、オオモリが飛び込んで来た。


「ヒカルさん! 皆さん! 来てください! 黒崎さんの情報にかなり有益なものがありました!」


 するとタケルが言う。


「ばーか。今いい雰囲気だったんだぞ。お前空気読めっつーの!」


 そう言ってタケルは、オオモリの頭をわきの下に挟んでぐりぐりするのだった。

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