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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第343話 膨大な情報と口を割らない女

 カブラギ達、第一空挺団も続々と戻ってきており、それぞれが手掛かりになりそうな物や、残っていたパソコンの端末などを回収してきている。それが大部屋の一か所に集められ、その膨大な量を見て仲間や自衛隊達が呆然と眺めていた。


 書類の束も大量に積み重ねてあり、それを見てオオモリが言う。


「端末に入っているのだけでも膨大だと思いますが、この資料のデータも全て入力する必要がありますね。とてもじゃないけど、僕一人じゃどれだけかかるか分からないですよ」


 それを聞いてカブラギが言う。


「生存者の人達にも声がけをして、ITに長けている人を集めましょう」


「そうしてもらえると嬉しいですね」


 するとハルノが言う。


「隊長! それならば大森さんには、現状分かる範囲の物や端末を先に洗ってもらった方が良いでしょう。データ入力と整理は全て、我々と生存者でやった方が良いと思います」


「確かに、そうしたほうがいいな。よし! 大森さんは現状生きているデータから洗い出しをお願いします。データ入力と整理は我々にお任せください」


 部屋に次々と入って来る自衛隊の手には、パソコンや書類が抱え込まれており、しばらくは終わりそうになかった。


 そしてクキがカブラギに言う。


「鏑木二佐。実はファーマ―社の社員を捕縛して来たんだ。尋問は少ししかやっておらず、いまは独居房にそれぞれを放り込んである。特に調べたい女が一人居るんだがな」


「それは有力ですね」


「だが、少し問題もある」


「なんです?」

 

 そこでクキはカブラギに説明をした。現状セーフティーゾーンでファーマ―社員だとバレれば、私刑により、なんらかの処分をされる可能性がある事。だがファーマ―社の社員ならば、何らかの情報を握っている可能性もあり、勝手に民間で処罰されると道が閉ざされてしまうという事を伝えた。


「まあ、生存者達の心情的には分からんでもないですが、それはそれで難しい問題です。もちろん元社員と言うだけで、自社でやっていた犯罪行為を知らない人もいるでしょう。ですが甘い汁を吸ってきたのも事実ですし、下手に自衛隊で私刑をやめさせるような権限もありませんね。そういった事は自衛隊ではどうしようもないかと」


「法律が機能していて、警察組織があるなら別だろうがな。まあ、一応耳に入れておこうとおもってな」


「わかりました。念頭に置いて、確保出来るときは確保するように指示を出しておきましょう」


「よろしく頼む」


「ただそうなって来ると、ファーマ―社と取引のあった会社に勤めていた人なども、何らかの危害を加えられる事になりそうですね」


「そうだな。日本でファーマ―社と取引していた製薬会社の社員や、食品会社の社員はたくさんいる。じきに矢面に立つことになるだろう。残念ながら、それを止めるすべはないだろうな」


「まあ…生き残っていればの話ですがね」


「それが居たんだ。四人も」


「という事は、潜在的にいるという事ですね。取り調べはいつから?」


「これが落ち着いたらすぐに」


「わかりました」


 次々に自衛隊が帰ってきて物資を運び込んで来た。オオモリはすでにメディア解析用プログラム開発に入っており、マナも付きっきりでデータを閲覧していた。日が暮れて来たころに、全国に散らばっていた自衛隊員達が戻って来る。


 俺がその物資を見て言う。


「凄い量だな」


 それにツバサが答える。


「大森君と愛菜が頑張ってるし、私達も協力できるところはやらなきゃ」


「俺もやろう」


 そう俺が言った時、クキとカブラギが俺の所にやって来た。何やら急ぎの用件があるらしい。


「ヒカル。尋問しているところだが、お前も来てほしい」


「わかった」


 ツバサが言う。


「それも重要だわ。行って、こっちは私達に任せておいて」


「ああ」


 俺はクキらに連れられて、ある部屋に入っていく。そこには椅子に手錠をかけられて、目隠しをされた女が座らされていた。暴れるでもなく、大人しくそこに座って待っている。ヘッドホンをつけられており、俺達の声が聞こえないようにしているようだ。


「ヒカルを連れて来た」


「では再開しましょう」


 そして自衛官がヘッドホンを外した。


「連れて来たぞ」


「あ、教祖を?」


「俺は教祖ではない」


「人々に変な事を吹き込んで先導しているじゃない」


「吹き込んでなど居ない。俺は治して回っただけだ」


「治して回るって、医者でもあるまいし」


 そしてカブラギが言った。


「ずっとこの調子です。我々が自衛隊だと言っても信じません」


 そこで俺が言った。


「こんな狭い部屋だからじゃないか? 自衛隊達のヘリコプターや外の様子を見せればいい」


「そうしますか」


「それが良いだろう」


 カブラギが女に言う。


「変な動きをするなよ。この人にかかれば、あんたは一瞬で真っ二つだ」


「また…。まあいいわ、何を見せてくれるの?」


「確たる証拠だよ」


 そして自衛官二人が女の手錠を外し、両腕を持って立たせる。そのまま周りを囲んで、部屋を出て玄関を抜けた。訓練場では自衛隊員達がせわしなく動き、次の作戦行動に向けてヘリコプターや武器の整備をしていた。


 クキが言う。


「じゃ、見せてやれ」


「わかりました」


 女の目隠しをバッと外す。すると女はその光景を見て絶句していた。


「本当に自衛隊なの…」


「だからそうだと言ったろう!」


「そうだったのね…」


「さすがに信じてくれたか。何か話す気になったか?」


「……」


 また黙ってしまった。女は何かを知っているようだが、それを話したがらない。


「仕方ない。強行手段に出るが文句を言うなよ」


 とカブラギが言った時、女が答えた。


「自衛隊は薬品を投与されたんじゃなかったの? それで全滅したと思っていたわ」


「我々の指示で、第一空挺団はあの薬品を投与してはいない」


「本当なの?」


「そうだ」


 すると女は、カブラギを見つめてぽつりと言う。


「日本の警察組織はどうなったか分かる?」


 カブラギが答えた。


「確認していない」


「そう…」


「何か知っているなら話してもらおうか?」


「さっきまで聞かせてもらった話は全て真実?」


「そうだ」


「分かった…連れて行って」


 そうして俺達は再び尋問する部屋へと戻る。女もどうやら観念したようで、何かを話すつもりでいるのだろう。


「手錠はしたままでいいね」


「いいわ」


 目隠しとヘッドホンを外されて、女が座らされ周りを自衛隊とクキと俺が囲む。


「じゃあ、聞かせてくれ。あんたはファーマ―社のなんだったんだ?」


「私は…モグラよ」


「「「「「?????」」」」」


 意外な答えに、俺達には何の事か分からなかった。


 そして俺達は、更に意外な情報を聞く事になるのだった。

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