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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第338話 仲間達からの癒しの時間

 基地に帰ったら、心配していた仲間達が一斉に飛び出して来る。自衛隊のヘリコプターは再び富士山に飛び去って行ってしまった。まだいろいろとやる事があるらしい。


「「「「ヒカル!」」」」


 ミオとミナミ、ツバサ、マナ、おまけにアオイが俺にがっしりとしがみついた。


 そしてユリナが言う。


「良かった…ヒカル。無事だったのね」


「問題ない。少し魔力切れを起こしただけだ」


「それって初めてじゃない?」


「究極奥義を発動させる為、魔力を一晩中解放していたからな。全部を出し切って意識を失った」


 するとミオが言う。


「無理はしないって言ったじゃない!」


「してない」


 するとミナミがグイっと引っ張って言う。


「どこがよ!」


 ツバサとマナも言った。


「そうよ。意識を失ったって聞いたわ」

「そこにあんな大雪が降ったら、心配もするわよ」


「寝てただけだ」


 するとタケルが言う。


「わりい! 俺が大袈裟に騒いじまった。だけど本当にみんな心配したんだよ」


「すまん」


 だがクキが仲間達に言った。


「コイツは神の力を振るったんだ。それが数日の睡眠で治るんだぞ、心配するだけ疲れるってもんだ」


 そのクキにヤマザキが言った。


「そう言う九鬼さんも、いよいよまずいんじゃないか? と言ってたよね?」


「言ってたか?」


 するとみんながうんうんと頷いていた。クキはバツが悪そうに頭をかいている。俺は女達をそっと押し、足にしがみついていたアオイを抱き上げた。


「心配させて悪かった。だがみんなの応援で頑張れたよ、だからアオイも泣かなくていい」


「うん」


 そしてユンが言う。


「ねえねえ。せっかく作った料理冷めるしぃ。ヒカルっちもお腹減ったって言ってんじゃん」


「そうだわ」


「はやくはやく!」


 食堂に連れていかれると、タカシマやミシェルも待っていた。


「帰って来た!」

「よかったわ」


「待たせた。そして良い匂いだな」


 するとミシェルがニッコリ笑って答える。


「みーんなで作りました。ごちそうですよ」


 大きなテーブルをくっつけて、その上に所狭しと料理が並んでいる。見たことも無い料理もあり、なんとも言えないいい香りが漂っていた。


 ぐぅうぅぅ! と腹がなる。


 リコが言う。


「とにかく、早く食べて! 死にそうなんでしょ!」


「死なん。が、死にそうなくらいに腹は減っている」


「牛もニワトリも採れたてを使ってるんだから」


 ぐつぐつと煮えたぎる鍋と、茶色の塊が盛り付けられた皿、焼いた牛の肉に、なんと生の野菜まで並んでいる。


「座って座って!」


 俺が座ると、周りに女達が陣取る。


「食べて!」


 俺は珍しい料理に目を丸くして聞く。


「ミオが持っているそれはなんだ?」


「生卵よ。今は各地でニワトリの養殖も再開してるの。まあ、まだまだ貴重だけど」


「そんな貴重なものを」


「自衛隊の人たちがヒカルにって集めて来てくれたの」


 すると反対に座るミナミが、皿に盛りつけた茶色い塊をハシでつかみ、俺の口元に持って来た。


「はい、あーん!」


「自分で食えるが」


「いいから! あーん!」


 パク! と口に入れると、周りの皮がぱりぱりとしていて中から肉汁がしたたり落ちて来た。コイツは美味い。いつもの保存食を加工した食い物や、野生の牛を焼いただけのものとは違う。


「美味い!」


「冷凍じゃない唐揚げよ。新鮮な鶏肉から揚げたんだから」


「もっとくれ」


「はい、あーん」


 俺がもう一個それを口に入れて噛んでいると、次はミオが皿に割った生卵に、鍋からすくった肉を入れて俺に差し出してくる。


「はい。こっちも! あーん」


「ああ」


 それを口に入れた瞬間、なんとも言えないうまみが口いっぱいに広がった。


「美味い!」


「これも全部、天然の物で作ったすき焼きよ! 野菜も卵も肉もぜーんぶ貴重な、新鮮な物ばかり」


「たまらん…」


「はい、あーん」


 俺は次々に食っていく。今度はご飯の上に何かが乗っているひとつまみの食べ物を、ツバサが俺に差し出して来た。


「あーん」


 パク。…これはこれでさっぱりしていてうまい。


「漁師さん達が湾内で獲ったったおさかなだって。それで作ったお寿司よ」


 するとヤマザキが言う。


「まだ新鮮な魚介が出回ってはいないからね。これも自衛隊の人らが持って来てくれたんだ」


「そういうことか」


 すると今度はツバサがスプーンに乗せた白いものを差し出して来た。


「ほら、こっちも」


 パク。


「ほっほっ」


「熱かった?」


「だが美味いな」


「牛乳も手に入ったからね、ポテトグラタンを作ったのよ」


「美味い」

 

「じゃあもう一回。ふーっふーっ。あーん」


 今度はいい感じの温度になっている。俺は一切、手を使わずに口に美味いものを詰め込まれ続けた。


「あの。もう食わせなくていいぞ、みんなも食いたいだろう? 俺の事は良いから…」


「「「「だーめ」」」」


 するとユミが笑って言う。


「モテ男は辛いわねえ。でも心配させた罰だわ、みんなが満足するまで付き合って」


「「「「はい、あーん!」」」」


 仕方ない。俺はされるがままにしておくしかなかった。すると今度はヤマザキがにやりと笑って、俺に酒の瓶を見せた。


「それは?」


「凄いだろう? これは未セーフティーゾーンで回収した奴だ」


 そう言ってヤマザキがグラスに酒を注ぎ俺に渡してくる。


「ほら」


「ああ」


 それを飲むと、めちゃくちゃ深みがあり、それでいて、こってりした料理をさっぱりと流し込んでくれる。しかも後味がいい。


「美味いな」


「ロマネコンティだよ。めっちゃくちゃ高級な酒だ。これ丸ごとやる」


 そう言って酒瓶を俺の前に置いた。


 すると空になったグラスに、ユリナが酒を継ぎ足してくれた。


「まだあるからね」


 俺は美味い料理を食いながら、次々に高い酒を飲んだ。ただ飲むのも美味いが、良い料理と一緒に飲む酒はまた格別だった。体の芯から、エネルギーが漲って来るのを感じ取る事が出来た。


「力が湧く」


 そしてタケルが言う。


「おい! みんな! ガンガン、ヒカルにガソリン入れろ!」


「「「「「「「はーい」」」」」」」


 うれしかった。もちろん前世で戦った後に、四人で酒を飲むことはあった。だがこんなに至れり尽くせりで、感謝の気持ちに包まれながら酒を飲むのは初めてだ。しかも空になった鍋が下げられて、次の料理が運ばれてくる。俺が目を白黒させているとミシェルが笑って言う。


「ヒカルは今日はキングね。しっかりと浸ってみんなの気持ちを受け取らなくちゃ」


「十分すぎるほどだ」


 オオモリが言う。


「ヒカルさんのおかげで、僕もこんなにうまいものにありつけてます。あざーっす!」


「なんだお前。飲んでんのか?」


 タケルが聞くとオオモリは笑って答える。


「だって、めでたいじゃないですか。本当に凄い日になりました」


 それを聞いて俺が言う。


「そうだな。オオモリのシステムは凄かった。おかげで一晩で人工衛星を狩り尽す事ができたんだ」


 タケルがオオモリの背中をバンバン叩いて言う。


「マジでお前も役に立ったぜ!」


「嬉しいっす!」


 するとクキが少し真面目な顔をして言う。


「あんちゃんよ。ここに自衛官が居ないから言うけどな」


「はい?」


「おまえ、危険人物だとマークされてるぜ」


「えっ! ぼ、僕がですか!」


「ここだけの話だがな」


「み、みんなのいる前で言っちゃったじゃないですか!」


「いいだろ。俺も今は自衛隊じゃないし、ここにいるのは仲間だけだ」


「だ、だと僕はどうなります?」


「一人であんまり自由には動けんかもな」


「そんなあ…」


 そして俺はクキに聞く。


「俺とならどうなんだ?」


「ヒカルと一緒なら誰も文句は言わんさ」

 

 するとオオモリは半分泣きそうな声で言う。


「ヒカルさーん。僕は一生ヒカルさんについていきますぅ!」


「別に構わんが」


 それを聞いたユミが威圧的に言う。


「それはだめよ。ヒカルはヒカルの人生があるんだから」


「も、もちろん邪魔はしません!」


「ふーん」


 突然オオモリが立ち上がって言う。


「あの! ぼ、僕も頑張りましたよね!」


 タケルが答える。


「だな」


「そ、それじゃあ! 僕も愛菜さんにあーんを!」


「馬鹿ヤロ―! お前には十年はええ!」


 タケルはハシで唐揚げをつまみ、グイっとオオモリの口に突っ込んだ。


「む、むぐぐ」


「俺がたーんまり食わしてやっからよ!」


「じ、自分で食べます!」


「「「「「「「「「あははははははは!」」」」」」」」」


 なんだかんだといいながらオオモリも笑っている。俺は、仲間とのこの時間を過ごすために戦ってきたのだと実感した。これからも続くであろう戦いの為に、今はゆっくりと英気を養う事にするのだった。

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