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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第319話 制圧と生存者捜索

 外にいる敵兵を全て沈黙させた俺達は、再び軍の基地へと入り込んだ。ここには自家発電の施設があるらしく、施設内部の電源は生きているようだ。という事は施設内の機器も、ほとんど稼働している可能性が高い。敷地にもゾンビは入り込んでいるが、俺達はそいつらを処理しつつ奥に進んだ。気配感知ではまだ各所に生存兵がいて、ゾンビの襲来に備えて区画ごと閉鎖しているようだ。


 バス!


 クキが銃を構えて狙撃した。クキが狙ったのは天井に設置されてある監視カメラだ。クキは監視カメラを見つけるのが早く、持っている狙撃銃で簡単に破壊する。


「行くぞ」


 基地内はクキの指示に従い、俺は敵の気配を感知したら教える事になっている。そして上の階に進む時、俺は皆に言った。


「階段を登ると最初の部屋に兵士が潜んでいる。俺が先行しておさえるから、ゾンビを処理しつつ上がってきてくれ」


「「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」」


 俺は近くの窓ガラスをあけて、そこから上階に飛んだ。二階は窓を開けており外のゾンビを監視している兵が見える。そいつを殺して部屋に飛び込むと、軍人は入り口を固めてバリケードを作っていた。


「飛空円斬」


 すぐに部屋の中の軍人は真っ二つになる。すると入り口付近から音がしたので、俺は入り口に作ってあるバリケードをどけて外に出た。そこに仲間達がやって来る。


「どうだ?」


「兵士が潜んでいた」


「逃げ遅れた奴らだな」


「ゾンビは残しておいた方が好都合だ。兵士達の身動きを抑制する」


 そしてオオモリが言う。


「なら真っすぐ管制室へ急ぎましょう」


「だな」


 それからはゾンビを処理しつつ、真っすぐに最上階に向かう。頑丈な鉄の扉の前に、二人の兵士が銃を構えて立っていたので俺がそれを仕留める。そのまま扉を切り裂いて、俺達は一斉に中に雪崩れ込んだ。すると兵士達がこちらを振り向き、先にクキが一人の眉間を撃ちぬく。突然の事ではあるが、銃に手を伸ばしたのは流石軍人と言ったところだろうか。


「刺突閃 十連」


 一瞬で部屋の中にいた軍人は全員倒れた。刺突閃や飛空円斬のような低レベルの剣技を使い続けているうちに、更に精度が高まって来たようだ。


 そしてクキが言う。


「よし。緊急警報は押されてない。大森と愛菜は早くシステムを制御してくれ」


「「はい」」


 オオモリとマナが端末に座り、持って来た機器を接続してシステムを制御し始める。更にオオモリが作ったネットワークを破壊するウイルスを流し込み、AIが作成して偽情報を送ってやった。


 するとミオが言う。


「通信が繋がってる。相手が話してるみたい! どうしよう?」


 それを聞いてオオモリが言う。


「大丈夫ですよ。AIがそれに対応して答えますから」


「どう答えるの?」


「基地で一部ゾンビの襲撃にあったが、全て制圧して正常な状態になった。増援の必要は無いが、破壊された施設の修復が必要である。現地で物資を調達するが、足りない場合はこちらから要請する。って答えますね。あとはそれに準じた言葉で適当に返します」


 クキが苦笑いしていった。


「更にネットワークが破壊されて混乱するか…。恐らく敵さんも、しばらくは気が付かないだろうな。これで俺達の生存者救出時間が稼げるってもんだ」


 そして俺が言った。


「ここにまだ生きている兵士がいたら、機器を修復して連絡を取るんじゃないか?」


 だがオオモリは大きく首を振った。


「恐らく誰にも修復出来ないはずです。それに敷地内の全ての扉の電子ロックを解除しましたから、どんどんゾンビが入り込んでくると思います」


「それでも兵士は潰して行こう」


 そしてクキが言う。


「だな、遅くなるにしても異常値を感知した本部が、増援を送ってくるのは確かだしな」


 それから俺とミオが気配感知で生きている兵士を見つけては処分していく。基地内はゾンビで一杯になってきており、万が一生存者がいても生き残るのは至難の業だろう。


「そろそろ行こう」


「了解」


 俺達はトラックを見つけて乗り込むのだった。恐らく自衛隊は、ドローンを使ってゾンビ破壊薬を散布しながら南下してくるはずだ。どれだけの生存者が見つかるか分からないが、俺達はこの基地周辺から生存者を探し始める。


 それから数時間かけて基地周辺を捜索したが、俺達はある異変を感じた。


「撃たれてるな…」


 クキが死体を見て言った。


「その死体はゾンビじゃない」


「生きてるうちに撃ち殺されてるって事だ」


「という事は?」


「恐らく敵さんの指示は、日本人は全てゾンビに感染しているとされているんだ」


 それを聞いてヤマザキが苦虫を潰すような表情で言った。


「みなし感染で殺される? 既にゾンビにやられていると仮定して、周辺の市民を殺したって事か?」


「間違いない。あちこちに似たような死体が転がってる」


 皆がシンとして、タケルが床を叩く。


 ドン!


「ざけんなよ。生存の見込みがあったのに殺すのかよ」


 クキが言いにくそうに言う。


「すまん。俺達ファーマ―社の雇われはゾンビ因子を認識するゴーグルをかけていたが、一般の国の兵士にはそんなハイテク機器は無い。みなして除去しなければ自分達の身が危険になるだろう。恐らくは区別なく生存者はゾンビと一緒に撃たれたんだ」


「クソ野郎が!」


 だがそれを聞いていたユリナが言う。


「武。怒るのは分かるし、私も怒り心頭よ。でももし私達が軍隊で、ゾンビだらけの地に配置されたら同じことをしたかもしれないわね」


「……」


 ユリナの言うとおりだろう。状況が違えば考え方も違う。ゾンビだらけの地に来て、恐ろしいゾンビを見たら生存者すらもゾンビに見えてしまうだろう。それを撃ってしまうというのは、残念ながら理解できる行動だ。


 そしてクキがそこにあった死体を見て言う。


「この集団は恐らく助けを求めて走ったんだろう。それがそこに見えるバリケードから撃ちおろされて殺されたってところだ。助けてもらう為に、この基地に走った人間がどれだけいたか分からん」


 それを聞いてタケルが言う。


「助かると思ったんだろうな…」


「ああ」


「しかしよ。殺したと思った奴らがゾンビになって基地を囲んだってわけだ」


「そう言う事だ」


「まあ…納得は行かねえが、少しは無念もはらせたかな?」


「だな」


 ミオが深くため息を吐いて言う。


「因果応報というやつね」


 皆が頷いた。そして俺達は基地周辺の捜索を諦めて、郊外に向かって走り出すのだった。

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