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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第313話 隣国の基地に潜入

 アオイがミミズクを使役して飛ばし、周辺の情報を伝えて来る。小型のドローンも持ってきているのだが、クキが言うには足が着くかもしれないから緊急時にだけ使おうという事になった。


 そしてアオイが言う。


「緑と茶色の車がいっぱい置いてあるところがある」


 基地らしき場所を見つけたらしい。


「どんな感じだい?」


「人はあまりいない。特に入り口に数人が見張ってるだけ」


 敵は特に警戒している様子はないようだ。恐らく俺達がここに上陸している事は誰も知らない。それを聞いてクキがみんなに言った。


「基地に侵入する。だがかなり距離があるからどこかで車を調達しよう」


 皆が頷いた。アオイが方角を示して、俺達がそちらに向かって歩いて行く。湾岸沿いの松林を抜けるとコンクリートの道路が現れる。


 クキが言った。


「嬢ちゃんの言うとおりなら三キロ先に住宅がある」


 それにタケルが答えた。


「そのあたりで車両を奪取しないとな」


「なるべく目立たない、運送屋のトラックとかが良いだろう」


「行こう」


 そして俺達がしばらく暗い畑を歩いて行くと、街の明かりがポツリポツリと見えてきた。


「見つからないように」


「だな」


 建物の中だけじゃなくて、路地を歩く人の姿もあるようだ。だが既に仲間達は、クキのお墨付きをもらった潜伏能力がある。ここは訓練の成果が発揮されるところだ。集団で暗闇から暗闇へと進んでいくと、荷下ろしをしているトラックが居た。


「乗組員は一人」


「宅配だな」


「あのトラックを貰う」


「よし」


 業者が建物からでてきて、後ろの扉を閉め運転席に向かうところで俺が気を刈り取る。


「上の服を脱がせろ」


 クキが言い、タケルが業者の服を剥ぎ取る。


「縛って目隠しをしろ」


 皆が言われるままに業者の手足を縛り目隠しをした。クキは業者が着ていた制服を着て帽子をかぶり荷台の扉を開く。


「業者と一緒に荷台に乗り込め。荷物を入り口にまとめて影に隠れるんだ」


 皆が荷台に乗り込んで、クキが運転席に乗り、アオイが真ん中に俺がその隣に乗った。


「道案内を頼むぞ嬢ちゃん」


「うん」


 アオイの案内の元、クキが運転をして基地に向かった。だが事もあろうにクキは真っすぐに基地に入っていく。


「嬢ちゃんは足元に隠れろ」


「うん」


 すると番兵が車を停め、クキが窓を開けて答えた。しばらく何かを話していたが、番兵はクキに降りるように言う。そして後ろの方に連れて行ったので、俺は足元に隠した日本刀を握る。アオイの鼓動が伝わってくるが、俺は落ち着かせるために頭にポンと手を乗せた。


「問題ない」


 アオイが頷きじっとした。しばらくしてクキが戻り運転席に乗った。そして番兵が俺にぺこりとお辞儀をしたので、俺もお辞儀を返した。


「行くぞ」


 トラックは難なく基地に入り込んでしまった。


「何をした?」


「何の事はない。荷物を届けに来たって言った」


「後ろの奴らは見つからなかったのか?」


「うまく荷物を積み上げて、後ろの方に隠れていたよ。流石は訓練が役に立ってる」


「そうか。何か俺の方をじろじろ見ていたが大丈夫だったか?」


「本社から上司が視察に来たって言った。そしたら、お互い下っ端は大変だな! だとよ」


「疑う要素も無いって事か」


「有事でもない限りそんなもんさ」


 そしてトラックは基地内に入り込み、ビルの入り口から曲がった暗がりに入った。そこでクキがトラックを止めて言う。


「行くぞ」


「ああ。アオイは俺についてこい」


「うん」


 アオイは震えていた。無理もない、子供なのに他国の軍隊の基地に侵入しているのだ。自国で敵に遭遇するのとも訳が違う。


 クキが荷台に回り扉を開けると、皆がぞろぞろとおりてきた。


「さて、ここまでで嬢ちゃんの仕事は終わりだ。次は大森と愛菜ちゃんの出番だぜ」


「わかりました」

「やるわ」


 そしてクキが言った


「俺が先を行って侵入する、ヒカルは露払いを。タケルとミナミは殿を」


 皆が頷いた。


「美桜ちゃん。地図だ」


「はい」


 地面に地図を広げて、クキが懐中電灯で照らした。この地図は自衛隊から入手した基地の地図だった。


「ここがコントロールセンター、司令塔だな。現状の位置がここ、ヒカル、敵はどうだ?」


 俺が地図を指さして言う。


「こことここに気配がある。恐らくは見張りだ」


「制圧しよう。あとは真っすぐに司令塔だ」


「任せろ」


 暗がりから飛び出し、俺はすぐさま周辺で警護している兵士を黙らせる。


「刺突閃」


 クキに言われた通り、軍人に容赦はしなかった。間違いなく即死させ、すぐにその死体を陰に隠して行く。俺が手を上げると、皆が暗がりを縫うようにこちらにやってきた。


 クキが言った。


「音もなくか…。つくづくヒカルが敵じゃなくて良かったと思うぜ」


「少し前は敵同士だったけどな」


「こんなバケモノだって知ってたら噛みつかなかったさ」


「どうだか」


 そして俺達は再び司令塔に向かい壁に張り付いた。


「よし」


 俺は一気に屋上に飛び、岸壁でつるし上げたようにロープを垂らす。次々に屋上に釣り上げて、俺達は屋根の上に集まった。


そこでミオが俺に言った。


「この下に人はいないわ」


「よし」


 俺はそこに立って、剣技を繰り出す。


「断鉱裂斬」


 屋根を丸く切り抜き、ズボっとその部分に手を突き入れる。そのままふたを開けるように屋根を取り除くと、暗い建物の中が見えた。


 するとミナミが笑って言う。


「ミッ〇ョン・イ〇ポッ〇ブルのイー〇ンも真っ青ね」


 俺はそのシリーズは全てDVDで見た。


「あれを参考にした。あれは凄い奴だ」


 皆が俺を見てにんまりと笑う。するとタケルが言った。


「ハリウッドも馬鹿にならねえな」


 クキが笑った。


「ちげえねえ」


「よし。入るぞ!」


 皆が頷き、俺が先に侵入し皆も次々に降りてきた。俺はアオイを抱き留めてヤマザキに言う。


「アオイを頼む」


「任せてくれ」


 そしてクキが言う。


「ヒカル。こっからは完全に手加減無しだ。そしてみんなも、危なかったら迷わず撃て。殺さなきゃやられる戦いが始まるぞ」


「わかった」


 皆も頷いた。そして俺達は部屋の入り口を抜け出るのだった。

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