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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第312話 隣国潜入作戦

 潜水艦を動かす為に、自衛隊が一般の船乗りを訓練し充分な数の乗組員を揃えた。一般人だった者にも優秀な人はいるらしく、自衛隊顔負けの操船をするのだそうだ。そのおかげもあり、俺達は日本海の海中を問題なく進む事が出来ている。


 潜水艦の中で仲間達は作戦について話し合いをし、何度も再確認をしていた。これに乗るまでも、ずっと自衛隊との合同訓練に明け暮れていたのだが、それでもギリギリまで確認作業は怠らなかった。


 そして俺はタケルと話をしている。


「タケル」


「ん?」


「日本って言うのは凄い国だよ」


「そうか?」


「ああ、仲間達だけじゃない、生存者も自衛隊も凄いと思う」


「そう…かもな。なんか俺もこんな時代になって初めて、日本の事を知ったのかもしれねえ」


「勤勉で向上心があり、いつも工夫をして常により良くしていこうとしている。そのおかげで俺達もこうして冒険に出られるんだ。彼らの期待を裏切らないように、絶対に成功させて帰るぞ」


「もちろんだ」


 そして何よりも目を見張るのは自衛隊という組織だった。彼らの優秀さは、前世の騎士団などとは比べものにならない。個でも凄いのだが集団となると無類の強さを発揮するのだ。その中でもここ数ヵ月の訓練で知ったのはクキの凄さだった。奴は組織の戦いという分野においては天才と言えるかもしれない。前世の天才軍師など霞むほど、何百何千と戦術を知っているのだ。前世にクキが居たら、俺達のパーティーの軍師として引き入れたいほどだ。


 カブラギ達から聞いたクキの過去の話では、米英との合同訓練での模擬戦で常勝だったらしく、米英の軍隊でも有名人なのだとか。


「みんなの能力を発揮すれば、間違いなく成功するはずだ。頼りにしてるぞタケル」


「ああ。いつまでもヒカルにおんぶに抱っこしてらんないからな」


「俺達で皆を守ろう」


「わかってる」


 すると突然そこに自衛隊がやってきて告げた。


「未確認の船舶が近づいています」


「わかった」


 俺とタケルが操舵室に行くと、そこにクキもいて話し合いをしていた。


「ヒカル」


「どうなっている?」


「今エンジンを切った。海流を読んでしばらくは身を潜めるそうだ」


「そうか」


 すると自衛官も俺に伝えて来る。


「大丈夫です。訓練通りですよ」


「わかった」


 そして室内に静寂が訪れる。機械音が流れているが、それは敵の船舶を捉えている物らしい。しばらくそれとにらめっこしていた自衛官が言う。


「潜水艦ですね」


「相手も海中にいるのか?」


「そうです。ですがらいげいより深く潜れる潜水艦はありません」


「やり過ごせるのか?」


「もちろんです」


 しばらく経って自衛官達が目を合わせ頷いた。


「圏外にいきました」


「見つからなかった?」


「絶対に見つかりませんよ」


 頼もしい。


「浮上して進むぞ!」


 そして潜水艦は再び進みだし、俺とタケルとクキは皆がいる部屋に向かった。俺達が顔を出すとヤマザキが言った。


「敵の船が来たんだって?」


「やり過ごしたらしい。作戦の話し合いをしよう」


「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」」


 そして俺達はまた話し合いをした。日本からは数時間で到着してしまうらしいので、もう間もなく作戦開始の時間となるだろう。何度も作戦についての確認をしていると操舵室から連絡が入った。


「現地に到着しました。各員配置についてください」


 俺はアオイに言う。


「大丈夫か?」


「みんなと一緒なら」


「俺が護る。一番最初にアオイの仕事があるからな、気持ちを整えてくれ」


「わかった」


 そして潜水艦の船長と共に、ヨシズミ二尉がやってきた。


「みなさん。準備はよろしいですか?」


「問題ない」


「では。浮上します」


 それが操舵室に伝わり潜水艦は海上に向かっていく。海上に浮上し自衛隊員がもろもろの装備を担いで潜水艦の外に出た。俺達もその後に続いて甲板に出ると、既に外は夜になっていた。俺達はウエットスーツを着ているので暗闇に紛れる事が出来ている。


 クキが言う。


「穏やかだな」


 そして自衛隊員達が、ゴムボートを広げて一気に空気を入れた。するとクキが皆に号令をかける。


「装備の最終点検だ。武装確認!」


 皆が武装を確認して親指を上げていく。


「全員時間合わせ!」


 皆が腕時計を操作し時間を合わせた。


「乗り込め」


 押し出されたゴムボートに皆が乗り込むと、ヨシズミが言う。


「予定の日時に迎えに来ます。皆さんの御武運を祈ります!」


 俺達が振り向くと甲板の上に乗った自衛官達が全員敬礼をしていた。俺達はそいつらに手を上げて暗い海へとボートを進めていく。そしてユミが空を見ながら指示を出した。


「二時の方向へ」


 俺達のボートが滑り出す。


「上陸用意」


 皆が体を起こし降りる準備をする。


「行くぞ」


 ボートを降りると、そこは腰くらいまでの深さだった。


「俺がボートを持つ」


 ボートに傷かつかないように俺が持ち上げて陸に上がる。そしてクキが指示を出した。


「ウエットスーツを脱げ」


 皆がウエットスーツ脱いで装備を身に着けていく。


 そして俺が言う。


「計画通り、俺が先行し周囲の状況を確認する」


「「「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」」」」


 俺が周りを見渡すと、周囲は崖になっており人の気配はない。一気にジャンプして数十メートルの崖を上がる。そこは森になっていて周囲には民家も無く人の気配はないようだ。俺は崖のそばの大木にリュックから出したロープを結び、崖の下に投げ込んでやる。そしてライトをつけクルクルと下に合図を送った。


 びんびんとロープが動き、下からライトでクルクルと合図が来たので、そのロープを掴んで一気にたくし上げていく。するとロープにはアオイとミオがくっついて来た。


「よし、次だ」


「「はい」」


 二人が解き再びロープを落とす。それを数度繰り返し全員を崖の上へと引っ張り上げた。


「じゃあアオイ。やってくれ」


「うん」


 アオイが集中し始める。するとどこからともなくバサバサと音が聞こえて来て、俺達の前に小さな鳥が現れた。それを見て女達が口々に言う。


「かわいい」

「なにこれ」

「くりくり」


 するとそれを見たミオが言う。


「ミミズクね」


「アオイ。これで周囲を調べられるか?」


「やってみる」


 アオイがミミズクに手を伸ばすと、ミミズクがアオイの腕に乗ってきた。そしてアオイは何かをミミズクに呟いて手を上にあげる。ミミズクは羽を広げて夜の空へと羽ばたいていくのだった。

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