第301話 謎の軍隊との戦闘
街でバイクを入手した俺は、猛スピードで煙が上がる場所へと向かった。どうやら戦闘があったらしく、あちこちで火の手が上がっている。更に都市部に入っていくと、大きく銃火器の音がなり響き、そちらの方に多くの人間の気配を感知した。
「ハルノ!」
どうやらハルノ達はビルに追い詰められているようで、断続的に銃を撃ち込まれ砲撃にさらされていた。隠れているビルは崩壊寸前で、俺の到着が遅れていたらかなりマズい状況だったろう。俺はそのままバイクのスロットルを開け、ハルノ達が潜伏するビルを通り過ぎて敵がいる方向へ突進した。
すでに身体強化と金剛、結界を張っているので銃は全く効かない。俺は腰から一本の日本刀を抜いて走るバイクの上に立った。俺の全身を弾丸の火花が包み込み、突進するバイクの上で全て受け止める。次の瞬間バイクにロケットランチャーが撃ち込まれたので、俺は勢いのまま飛び上がり空中に踊り出た。バイクが派手に爆発し、敵はその爆心地に向かって銃を撃ち続けていた。これでハルノ達から俺に的を変える事に成功する。
俺は高い所から敵兵達の中心に飛び降りるが、まだ敵は何が起きているのか分かっていない。明らかに自衛隊とは違う服装の兵士達が、燃えるバイクに向かって銃を構えていた。
俺は数名の兵士が固まっている後ろに立って推撃を繰り出した。まとまって吹き飛んだ兵士らは、ビルの壁にぶつかって潰れる。その爆音に気が付いた、他の場所の兵士がこちらに銃を打ち込んできた。俺は縮地でそいつらの正面に現れ、そこにいた八人の首が飛ぶ。
するとビルの上階から俺に向かって銃が降り注いだ。縮地でその場所を離れ、ビルの一階から一気に敵がいる場所に飛び移る。ベランダで銃を構えていた奴らは、突然現れた俺を見て何が起きているのか理解できないらしい。すぐに全員を斬り捨てて、俺は広範囲に気配感知を広げる。
「なるほど」
敵もプロのようで一か所に固まってるわけじゃなさそうだ。周辺のビルに潜み敵を警戒している。だがハルノ達とは数が圧倒的に違い、数百人が潜伏しているようだった。
「このままだとハルノ達が危ないな」
俺はいったん屋上に走り、端から端に走ってハルノ達がいる方向へと飛んだ。距離にして五百メートルほど飛んだ俺は、そのままハルノ達の気配のするビルの屋上へ降りる。すぐに階下へ向けて走ると、ハルノ達を発見した。
「ハルノ!」
「ヒカルさん!」
突然現れた俺に自衛隊員隊が驚いている。
「他の連中はどうした?」
「やられました。残ったのは我々だけです」
「何故無茶をした?」
「逃げ遅れた市民がいたので、致し方なかったのです」
市民らを守るために自分達が犠牲になってしまったらしい。
「よくやった。後は任せて、撤退しろ」
「ヒカルさん一人で?」
「むしろ、このままではお前達を巻き込む」
「わかりました。みんな撤退だ!」
「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」
残っていたのは十名だった。どうやら五名が死んでしまったらしい。だが十五名で数百名を食い止め、被害を五名でとどめた事の方を褒めるべきだろう。
「俺がオトリになる。その間に撤退しろ」
「はい」
俺と一緒に自衛隊員を外に出し後ろから逃がした。俺はそのまま目立つように路上に歩いて行く。すると俺を発見した敵が、一斉に銃を撃ってきた。金剛と結界で全ての攻撃を弾き、俺はゆっくりと攻撃してくる奴らの方を向いた。そして目立つように道路を走り出す。ジグザクに走り敵をかく乱すると、攻撃は当たらなくなってしまった。
俺はわざとハルノ達が逃げる時間を稼いでいた。
「よし」
ハルノ達が敵の攻撃が及ばない場所まで逃げたのを確認し、俺は数百人の敵兵に突っ込んでいく。それからは一方的な蹂躙となってしまった。だが敵の情報を聞き出すには数名だけ残せばいいだろう。次々にビルに侵入し、あちこちに死体の山を築いていく。
それから一時間もせずに敵兵は沈黙するのだった。俺は数人をビルにあった消防のホースでぐるぐる巻きして引きずり出す。兵士達の言葉が全く分からないので、どうやら日本人ではないようだが見た目は日本人に似ていた。
そいつらを一旦、安全領域に放り投げ俺は軍隊がいた町の方向を向いた。
「大地裂斬」
魔気を纏った俺の大地裂斬はその一区画を切り裂く。大地が大きく割れて、ビルや建物が地面に飲みこまれ沈んでいくのだった。これで敵の追撃は遅れるはずだ。
「さてと」
俺はグルグル巻きにした兵士達を、乗り捨ててあったトラックに押し込める。その車はエンジンが壊れていたので、俺はそのトラックごと持ち上げてハルノ達が逃げた方向に走った。
俺が進んでいくと、ハルノ達が道路に出てきた。
「と…トラックを持ち上げている?」
「本当だ」
「そんな事が…」
だが俺はその会話を遮って言う。
「敵を捕らえた。調べよう」
「あ、ああ。わかった!」
そして俺は車を降ろし、ハルノ達がトラックから縛られた奴らを引っ張り出す。すると丁度そこに、トラックに乗り込んだヤマザキ達が到着するのだった。




